こまつあやこのレビュー一覧
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立松小春と三津原英(はな)の二人は、別々の小学校に通い目指す中学校も違うが、ノーレイン・ノーレインボー進学教室(略してノレノレ)で出会った無二の親友だ。二人は、小春がパパの要らなくなった名刺の裏に先生や塾生の絵を描き、英がそれに川柳風のキャッチフレーズをつける遊びを始める。そして絵札と読み札を分けて「ノレノレかるた」と名付け、卒業制作ならぬ「卒塾制作」とすることを思いつく。成績トップの市井くんの夢、ムスリムの衣南(いな)ちゃんの夢に触れ、いろいろな出来事を取り込みながら卒塾制作は順調に進む。しかし、小春本人に思いもかけぬ出来事が起こり、卒塾制作は完成一歩手前で頓挫してしまう。小春の中学受験はど
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ネタバレ主人公は中学2年の女の子。
父親の仕事の関係で二年半シンガポールで暮らし、二学期になって日本のもといた町に帰ってきた。
帰国子女として浮かないように、周りになじもうとしながら過ごしていたある日、図書室の本を延滞してしまいお知らせを渡される。
渡しに来たのは『督促女王』と有名な先輩。
お知らせの紙には、図書室にくるように、と手書きのメモが。
その日から、2冊目のタンカード(短歌を書くカード)を使った2人のギンコウが始まる。
シンガポールの言葉でリマは5、トゥジュは7。
5・7・5・7・7の短歌と、先輩とのギンコウ、1冊目のタンカード、2学期から給食を食べなくなった片思いの男の子、クラスで浮き -
ネタバレ 購入済み
中学入試出題率No.1
今年の中学入試でダントツ一位の出題率だった作品。講談社児童文学新人賞受賞作品。中学入試問題に使うにしては、ちと軽すぎやしないかと思えるぐらい読みやすく、コミカルな文体。ただ、内容とテーマはとてもいい。少女たちが紡ぐ短歌はまるで俵万智さんのような短歌。日常的な何気ない素材とリズミカルな言葉を巧みに用いた秀作ばかりで、読み手の想像力を大いに掻き立てる。その想像力が思わぬ誤解を招いてしまうことになるのだが…。人種や宗教、年齢、職業にとらわれず、自分らしく生きることの大切さを教えてくれる心温まる作品。
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マレーシアからの帰国子女が短歌に挑戦する話。
中学生だった頃「周りに合わせなきゃ」なんて1ミクロンも考えたことのない人間なので、「今時の中学生は大変なんだなあ」と思ったけど、たぶん昔からあったんだろうなー。こういう「打たれる杭になりたくない感」。あの、制服を着ただけで生じる意識の変化や閉塞感はなんなんだろうね?中学時代は黒歴史だわ〜。
という自分語りは置いておいて。
マレーシアという国のおおらかさ、短歌というものの自由さ、中学生の視野が狭いが上の鮮やかな発見、発想の転換など、清々しい作品でした。
個人的には福木はる『ピーチとチョコレート』に近い雰囲気を感じたなあ。青春。
中学生の一人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ続けて読んでいるこまつあやこさん。
小学生にもスラスラと読みやすい文章、かるたというタイトルから競技かるた(百人一首)をイメージしたが、そうではなく小さな中学受験向けの塾に通う2人が、オリジナルのかるたを作っていくお話だった。
この作者さんの得意な国際文化交流(イスラム教徒のヒジャブ)のエピソードもさわやか。
それぞれ思いを持ちながら自分の道を見つけていくのだが、一位の友人が御三家から志望校を変更することを親がそんなにすんなり受け入れられるだろうか、
中学受験をする主人公の父親が、良くも悪くも自由なタイプはかなりレアだよなぁ。など中学受験のリアリティはやや薄くライトな本でした。