サメをこよなく愛する自称シャークジャーナリストの著者のサメレポート。
サメに長靴を噛まれると悦び、サメ肉を美味しく食べ、珍しいサメが水揚げされたと聞けば日本中飛び回る。
人々のシャーキビイリティ(鮫に対する知識や熱い気持ちという意味の造語だそうな)を高めるために今日も世界を回る…というサメラブ本。
...続きを読む本の内容は、サメの生態系、サメと人との関わってきた歴史(築地では昔サメの水揚げが盛んだったとか)、サメの美味しい食べ方とレシピ、サメに発信器を付けてみた話、サメをこよなく愛する研究者たち…などなど。
イラストや写真も多いため、読んでも理解できない(生物としてかけ離れていて想像できない)ことが分かりやすく紹介されています。
【サメの歯】
サメの多様性を示すように、サメによって多様な歯が生えている。
顎の内側にかみつきようの機能葉、億に補充歯が何重にも並ぶ
ホホジロザメの歯は噛み付き様に二等辺三角形、アオザメは串刺し様の針のような細長い形、ネコザメはおちょぼ口でサザエさえも磨り潰すことのできる臼歯を持つ。
「生きている化石ザメ」と呼ばれるラブカは、見かけはウナギのようでエラはフリルのよう、さらに歯は一本一本が鳥の足のように三又に分かれている。
魚に丸い噛み切り跡が残っていたらダルマザメ。小さなダルマザメは、魚の体の一部分だけ噛み切って食べる。魚本体には影響なし。相手に優しく自分に優しい肉食魚…なのか??
【顎】
サメの象徴が「ジョーズ」というだけあり、歯だけでなく顎も凄い。
ミツクリザメは、エサをを見つけると長い吻(鼻)の下にある口がマジックハンドのように飛び出して捕食する…、と文章で読んでも最初理解できず、骨の写真と説明イラストでやっとわかった。このために「悪魔の鮫」と呼ばれるが、飼育するのは非常に難しく繊細で、淡白な肉は唐揚げにすると美味しい。
オオセは、水揚げされて6時間以上、頭は身体から切り離されているというのに、顎に触れたら噛み付いてきた。おそらくサメの本能で「口の近くのものはなんでも噛み付け」という筋肉反射。
【餌の捜し方】
サメの近くは、聴覚、嗅覚、触覚、視覚、電気受容間隔。
電気受容機関は、サメの鼻先の孔(吻ふん)。この吻で餌など他の生物が動くことにより生じる電波や、方向、水温を察知しているということ。サメはかなり高度なセンサーを備えている生物といえるわけです。
【出産】
サメは魚なのに交尾をする。オスには2本の性器があり、雌のどちらに雄がいるかによってどちらかを使うようだ。
その上子宮(正式には違うんだが)で子供を育てて赤ちゃんザメを生む「胎生」と、卵を産む「卵生」がいる。母サメの胎内で赤子同士が殺し合って生き残ったのだけが出てくるサメも。
…魚で交尾で壺中天。何がどうなっているんだか私の頭では全く理解ができない…
卵を産む場合も、卵殻というものに包まれるのだが、ネコザメの卵殻はワカメそっくり。海藻にまぎれて卵を隠す。
ナヌカザメの卵殻は、平べったく四隅に巻きヒゲがあり「人魚の財布」なんて呼ばれている。
【寿命】
ホホジロザメは70年近くの寿命を持ち、深海ザメのニシオンデンザメはなんと392歳?!観測できた脊椎動物最長、日本でいえば江戸時代初期の生まれ!
なお、研究チームによるとニシオンデンザメの平均年齢が272歳、北極鯨は211歳
…ええーー、深海で視覚ゼロで、平均時速1㎞の世界一のろい魚で(しかし素早いアザラシを捕食するという謎)、まっくらな海の底で300年も何をして生きるのだろう…私には理解不能…
他に特徴的なサメたち。
❐ツラナガコビトザメは、手のひらサイズの世界最小のサメ。しかも発光する!敵への目くらましか、残像を残して消えてゆく。
❐ハチワレの尾は長い。尻尾ビンタされると人間でも吹っ飛んでしまう。
❐サメといえばのジンベイザメ。大きな体だが餌はプランクトン。ではなぜ歯があるのかが謎。大海原をコバンザメを連れて悠然と泳ぐ。
❐ホホジロザメは映画「ジョーズ」のモデルとなり「人喰いザメ」と言われたが濡れ衣です!!
❐ミッシェルエポレットシャークはヒレを使って海底を歩く。
❐シュモクザメは「憧木鮫」つまりは「ハンマーヘッドシャーク」。頭部が左右に張り出して真上から見るとT字型。その両端に目と鼻がある。