朴一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
パク・イルさんの講演をだいぶ前に聞いたことがある。そのとき聞いた内容のうち、小学生時代、日本人の友だちを自宅に呼ぶ前に家の中から在日とわかるものを必死で隠してキムチのにおいを消したという話や、女子学生が提出したレポートに、自分と付き合っている彼が実は在日コリアンだったことを偶然知ったときの心の中での葛藤についての赤裸々な告白がびっしりと書かれているのを読み、与えた課題に関するレポートとはまったく違っていたにもかかわらず思わず「優」を付けたという話があったのを覚えている。
私自身の話もしておきたい。私は在日コリアンではないものの、小学生時代、苗字に“金”が付く同級生がいたが、同じ学校の上級生が「あいつはチョーセンやで」とか言っているのを耳にした。また、大学時代の同級生(男)が当時付き合っていた女性は在日コリアンで、大学の成績もすごく良くて、バブル期の当時に本来ならば就職で引く手あまたのはずなのに、二次面接に進めたのは韓国系の焼き肉のたれで有名なメーカー1社のみだったという話を聞いた。
やはり私が伝聞を書くよりも在日コリアン当事者のパクさんが直接伝えたほうが100倍リアル。入居差別や参政権問題(著者の認識では在日コリアンの「参政権回復」問題)などは私の知識や理解の枠外だったからだ。なおパクさんの話には、井筒監督や行定監督の映画のように美男美女の在日コリアンは残念ながら出てこない(笑)。それはパクさんが話を面白くしようとはするものの、“盛る”ことはなく、受け狙いなどの“添加物”を一切加えないからである。
また、私にはないものがパクさんの文章にはある。それは、在日コリアンとしての「正確な情報」「正しい姿」「理不尽なもの」を伝えたいという厳然たる決意だ。それは時には日本人の見解と衝突し、反対の立場のものもある。
しかし私は直接パクさんの講演を聞いたことがあるため、(パクさんがいくら厳しい言い方だとしても)それらをパクさんの敵意や無理解とは決して受け取らない。逆に私はパクさんといっしょにお酒を飲みに行き、これらの話題を“真剣に”したいと思っている。最良に近づくのに大切なのは、古代ギリシアでも行われた「対話」だというのが、パクさんの本からも感じ取ることができたから。
(ちなみにお酒で言うと、映画とかでは在日コリアンというと「マッコリ」が出てくるが、私は「百歳酒」のほうが好きだ。私が百歳酒を好きな“変わった”日本人だって?大いに結構。)
この本で1つうらやましいと思ったのは、P173に掲載されている、パクさんと故・勝谷誠彦さんとがボクシングで互いの顔にパンチを当てるようなポーズをしている写真だ。2人とも顔は笑っていることからも、テレビ番組では時に激しい議論を見せてはいたものの、お互い心の底ではわかり合っていたのだ。つまり論争はするが、芯の部分では共通の志を持っていた…そんな2人のような関係を日本人の私が在日コリアンと築けたらいいな、と真剣に思っている。 -
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1956年生まれ、在日韓国人三世、朴一(パクイル)著「在日コリアンってなんでんねん?」、2005.11発行。敗戦時、在日の人口は236万人、170万人が帰国、60数万人が日本に。そして二世、三世、四世として定住。1910~1945年の植民地時代、1950年の分断、在日コリアンの侮蔑と差別の歴史が紹介され、これからの展望が描かれています。在日コリアンで民族名(本名)を名乗るのは8%、80%以上は日本名(通名)だそうです。民族名では、学校に行けない、仕事ができない、家が借りられない・・・。金田正一氏、張本勲氏は知ってましたが、玉の海、三重ノ海は知りませんでした。
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◆1945年時点 日本帝国崩壊・植民地支配終結
236万人
170万人 帰国
↓
50年戦争
60万人 帰国断念
◆金嬉老事件
感想
★★★★⭐︎
小説『ある男』で登場していた人物が在日三世であり、かつ、授業のレポート作成のために手に取った。
映画『ラーゲリから愛を込めて』で、第二次世界大戦後にロシアで在留することとなった日本人の物語について描かれていた。この本も第二次世界大戦後の日本に残った韓国人、いわゆる在日の現状について述べたものであった。当然だが戦争が終結させれて終わりというわけではないのだなと改めて考えされられるものだった。
日本政府の在日に対する対応狂ってるなと感じさせるものもあり、日本人としてショックだった。日本人として誇れる政府であってほしいと思った。
学びの多い本だった。 -
Posted by ブクログ
最初はタイトルがタイトルだし、たまたま開いたページが「あの大物芸能人も実は在日」みたいなところだったから、そんな罪なミーハー心もあって読み始めた。ところがこれはなかなか骨太な本。在日コリアンの人々の古今の位置づけを詳しくわかりやすく解説してくれる。
しかし、読んでも読んでも日本という国の在日コリアンに対するひどい仕打ちにはいまさらながら愕然するというか、あきれるというか……。彼らが生まれた背景をつくったのは日本だというのに。ほかの国の人々に対してもこういうことが起きているのだろうか。寡聞にして知らないけれど、外国人労働者の受け入れなどに関するこの国の政策などみてもさもありなんって感じ。この国の政治の、この国の人々の病理をみせつけられるような本だった。日本ってなんでんねん、って感じ。 -
Posted by ブクログ
エスニック・マイノリティとして日本社会を生きる在日コリアンたちの世界を、彼らの「生き方」という視点から読み解いている本です。第1部では在日コリアンの歴史が簡単に解説され、第2部では力道山、重光武雄、新井将敬、孫正義らのライフ・ヒストリーがたどられています。
在日コリアンと一口にいっても、現在では同族結婚より国際結婚をするひとのほうが圧倒的に多く、また日本国籍をもつ者と韓国・朝鮮籍をもつ者、さらに日本名を名乗る者と民族名を名乗る者など、多様化が著しくなっています。また、彼らのあいだでの在日コリアンとしてのアイデンティティにも大きな幅が存在しています。
著者はこうした状況を踏まえて、在日コリアンが差異と平等のディレンマのなかにあるとし、そのうえで国民国家の枠組みのなかで在日コリアンをとらえるのではなく、よりグローバルな観点からとらえなおすべきだと論じます。これは、多国家民族集団として日本の内外でさまざまな影響を与えあうエスニック・グループとして在日コリアンのあり方を考察するということを意味しています。
近代ヨーロッパにおける市民社会に生きるマイノリティ・グループが、参政権の獲得から教育や社会福祉を受ける社会的権利の拡充へと進んできたのに対して、在日コリアンは公民的権利や社会的権利の一部は認められながらも、参政権については認められてきませんでした。このことは、社会のメンバーが「市民」として参与する公共性の空間が適切に形成されず、またその重要性が必ずしも十分に認識されてこなかったことによるのだと思われますが、このことが日本的な風土おけるマイノリティについての議論のあり方に影響を与えているように思われます。著者の主張するようにグローバルな観点から在日コリアンの問題をあつかうことは、こうした特殊な条件を無視してしまうことにならないかという疑問を感じます。