〈在日〉という生き方 差異と平等のジレンマ

〈在日〉という生き方 差異と平等のジレンマ

ビジネス・実用
1,705円 (税込)

8pt

3.0

「異質」な存在が日本を変える。日本人でもない。韓国・朝鮮人でもない。「異質」な存在として日本社会を生きる60万在日コリアン。2つの祖国に揺れた力道山。「日本人」を志向した新井将敬。日本というシステムと闘う孫正義──彼らの半世紀を通し、「祖国」や「民族」の意味を問い、日本社会の「内なる国際化」をとらえなおす。(講談社選書メチエ)

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    Posted by ブクログ

    エスニック・マイノリティとして日本社会を生きる在日コリアンたちの世界を、彼らの「生き方」という視点から読み解いている本です。第1部では在日コリアンの歴史が簡単に解説され、第2部では力道山、重光武雄、新井将敬、孫正義らのライフ・ヒストリーがたどられています。

    在日コリアンと一口にいっても、現在では同族結婚より国際結婚をするひとのほうが圧倒的に多く、また日本国籍をもつ者と韓国・朝鮮籍をもつ者、さらに日本名を名乗る者と民族名を名乗る者など、多様化が著しくなっています。また、彼らのあいだでの在日コリアンとしてのアイデンティティにも大きな幅が存在しています。

    著者はこうした状況を踏まえて、在日コリアンが差異と平等のディレンマのなかにあるとし、そのうえで国民国家の枠組みのなかで在日コリアンをとらえるのではなく、よりグローバルな観点からとらえなおすべきだと論じます。これは、多国家民族集団として日本の内外でさまざまな影響を与えあうエスニック・グループとして在日コリアンのあり方を考察するということを意味しています。

    近代ヨーロッパにおける市民社会に生きるマイノリティ・グループが、参政権の獲得から教育や社会福祉を受ける社会的権利の拡充へと進んできたのに対して、在日コリアンは公民的権利や社会的権利の一部は認められながらも、参政権については認められてきませんでした。このことは、社会のメンバーが「市民」として参与する公共性の空間が適切に形成されず、またその重要性が必ずしも十分に認識されてこなかったことによるのだと思われますが、このことが日本的な風土おけるマイノリティについての議論のあり方に影響を与えているように思われます。著者の主張するようにグローバルな観点から在日コリアンの問題をあつかうことは、こうした特殊な条件を無視してしまうことにならないかという疑問を感じます。

    0
    2018年02月05日

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