阿南友亮のレビュー一覧

  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    中国はなぜ軍拡を続けるのか、中国の国内状況から説明する。
    しかも孫文の中国革命から国共内戦時代を経て現在に至るまで軍事にとらわれずに辿るので、中華人民共和国の歴史を知るという意味でも大変勉強になる。
    建国当初、政府組織は実体がなかったため、解放軍が行政の前面に立っており、これは軍事管制と呼ばれた。解放軍の掌握が権力の基盤となるため、国家主席や党総書記よりも中央軍事委員会主席が重要なポストだった。十元帥の1人だった彭徳懐は、解放軍の現代化、正規化を目指したが、廬山会議で毛沢東の大躍進に中止を求め、これがきっかけで毛沢東と対立し、文化大革命では迫害にさらされがん治療も許されず悲しい死を迎えた。林彪

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    2024年02月19日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    【中国で展開されている軍拡というものは、尖閣問題の処理の仕方で左右されるような性質の問題ではない。それは、現代中国の政治構造に直結した問題であり、共産党が統治を続けるうえで欠かせない営みとなっている】(文中より引用)

    日本でもニュースになることが多い中国の軍拡。その現象に潜む中国・中国共産党の活動原理に切り込み、軍拡の意図について明らかにすることを試みた作品です。著者は、本書でサントリー学芸賞(政治・経済部門)を受賞した阿南友亮。

    そもそも「中国の軍って何?」というところから解き起こす目からウロコの作品。人民解放軍に限らず、広く建国後の中国についてもまとめられており、間口の広さと奥行きを兼

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    2020年09月16日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    第40回サントリー学芸賞(政治・経済部門)受賞! 、第30回アジア・太平洋賞特別賞受賞! 読み応えありました!!

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    2018年12月25日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    中華人民共和国、中国共産党、そして人民解放軍のこれまでの歴史を紐解きながら、表題のテーマに迫っていく。知ってるようで知らなかった中共史の勉強にもなって、中国が抱える権力構造や政治・経済・社会に対する西洋的価値観とは異質なものの見方も分かってくる。かといって、反中をあおるための本でもなく、著者の長年にわたる研究と経験の成果が発揮されている大変有意義な一冊。中国共産党の一党支配のロジックがよくわかる。
    70年代後半以降、日米欧に接近してきた中国に対し、援助・協力を与えれば次第に中産階級も育って民主化・自由化していくだろうという考え方がいかに楽観的すぎたかという著者の指摘は貴重である。

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    2017年11月03日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    中国もとい、中国共産党の統治のあり方の欠陥とそれを補うための対外政策としての排他的ナショナリズム。もちろん「国際社会」との関係も描いているものの、国内との関係、党内のパワーバランスなどから考えるというのは新しい視点。毛沢東時代からのチェンジに見えた鄧小平の「改革・開放」における欠陥、江沢民指導部における排他的ナショナリズム・「中華民族の偉大なる夢」、胡錦濤の難しさ、また今日も続く習近平指導部に至るまで書かれる(習近平指導部に至っては1期目まで)。
    「党軍」である人民解放軍のプロフェッショナリズムと党との関係性の相剋、党を支える組織としての解放軍のジレンマというものが見受けられる。国防部長の彭徳

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    2024年01月29日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    中国共産党という党派の本質とその私兵たる解放軍の行動原理を素人にも分かるように毛沢東時代から習近平の現代まで解説している。
    改革解放を経て、共産党とその私兵が底抜けに国富の私物化と搾取に走り、汚職にまみれていく様と国民の不満を抑えるための軍備増強と威嚇外交をやめられない様が描かれており、全く救いがない。もちろん自浄作用もない。
    中国人や中国人の国に偏見を持つ必要はない。
    ただし、中国共産党という党派の本質を理解し、その私兵の行動原理を知り、弱体化させるべく行動することは、日本人がこの先生きていく上で大事なことであると感じた。

    中国共産党という党派は人類の汚点であり、これが増長することで人類に

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    2021年02月04日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    ネタバレ

    【227冊目】とても面白かった。タイトルに「軍拡」とあるので人民解放軍について詳しく書いてあるのかと思いきや、そうではなく、むしろ解放軍を取り巻く政治力学や民間社会にその理由を求めている本。

     本書タイトルの質問に答える部分を引用すると、「共産党が暴力に依存する形で中国国内から湧き出し続ける『民主化』要求を抑え、そうした『民主化』要求に共鳴して内政干渉をしかけてくる可能性のある西側諸国を牽制し、さらには軍事力を誇示することによって『中華民族の偉大な復興』を演出しようとしているから」ということのよう。

     すなわち、日本や欧米に軍事的に対抗するために軍拡を続けているというのは物事の反面であって

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    2018年04月21日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    中国が軍拡に邁進する理由を毛沢東時代に遡り、米ソとの関係、経済格差、権力闘争と様々な角度から説明しており、説得力があった。この論によれば、日本一国の対応など全くといって影響がないと思われる。

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    2018年01月24日
  • 中国はなぜ軍拡を続けるのか(新潮選書)

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    網羅的かつバランスの取れた良書。

    支配層と被支配層の分断が甚だしいかの国では、支配層である共産党の独裁体制を維持するために、清朝以来の日欧米の横暴を強調し、それに打ち勝つ「中華民族の偉大な復興」神話を刷り込もうとしており、結果的に軍備拡張す続けぜさるを得ない状況に自らを追い込んでいる。

    その結果が習近平の強権的独裁だが、その体制がどこまで持つのか。

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    2018年01月11日