最初、読み進めるのが結構辛かったです。なぜなら知らない名前が次々と記され、そのカタカナをちゃんと読むのか、文字面だけを見て読み飛ばすのかペースが掴めなかったからです。まるで戦没者や災害の慰霊碑に記された人名を読むのか、眺めるのか、みたいな状況に近いかも。でもそれこそが本書が生まれた意味だと気づいて、そこからこの本の読み方が掴めたように思います。さらに後半に行くにつれ、知ってる名前も増えてきてどんどん読み進めることができました。そうなんです。この本ってデザインの歴史においての”hidden figures"(映画「ドリーム」の源題。)である女性たちの仕事を明らかにし後世に残すための「記念碑」なんだと思います。以前、光文社新書『アートとフェミニズムは誰のもの?』を読んだ時に、ジャクソン・ポロックとリー・クラズナーの関係を初めて知りましたが、デザインの世界においても男性の陰に隠れた「クラズナー」がいっぱいなのです。光の当たる石をひっくり返したら栄誉を受けれなかった隠された才能が溢れていて、それらがなければ男性デザイナーたちの栄光はなかった、というメッセージでもあります。その歴史が建築に対してインテリアやテキスタイルから始めざるを得なかった、という視点もデザインの見方を幅広くしてくれました。クラフトとデザインとアートとファッションとビジネスと、そしてソーシャル、さらにはテクノロジーと、動き続けるデザインの可能性。『女性たちのデザイン史』を見つめることは過去への眼差しであるだけではなく、未来へのパワーなのだと思いました。最終章のデザイン・アクティビズムはデザインという言葉の意味を大きく拓いてくれます。途中で読書放棄しなくてよかった!