窪薗晴夫のレビュー一覧

  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    2017年に開催された公開シンポジウムの産物。総勢8人の研究者がオノマトペの謎に多角的に迫る。よくまとまっており、入門書としてはthe best of the bests。
    外国語のオノマトペはどうなっているか。外国人にとって日本語のオノマトペは難しいのか。オノマトペはことばの習得に役立っているのか。なぜ赤ちゃんことばに似ているのか、などなど。コラムでは、日本の漫画やアニメで多用される擬情語(クヨクヨ、ゲンナリ、ドヨーン)にも言及している。
    日本語からオノマトペをすべて抜いてしまったら、いかに味気ない言語になりはててしまうか。オノマトペの凄さも実感させてくれる。

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    2025年06月12日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    オノマトペというものが随分と気になっていた。中国語も英語も学んだ上で、日本語のオノマトペの表現の豊富さが好きだし、楽しい。ちょっと勢いで自前のオノマトペを使ってみても通じちゃったりする。
    でも至って真面目な本書、軽妙なオノマトペと難解な学術表現のギャップが甚だしいのだけれどそこまで含めた味わいといおうか。勉強になる上にシュールさにくすりと笑える楽しい一冊だった。

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    2020年04月28日
  • 数字とことばの不思議な話

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    この本でとりあげるものは「数字」を柱に、アクセント、発音、人称、語順、語彙、文法、言語習得と言語学のいろいろな分野にわたっていて、扱う言語も日本語を中心に、英語ばかりでなく他の言語の例も豊富に引き、まさに次から次へ疑問の扉を見つけていくつくり。
    毎日なにげなくつかっている数字の発音や表現の仕方などをよく観察することから、言語学にとどまらず広く学問の世界の、個別の小さな疑問から大きな法則を解き明かしていくおもしろさ、興奮が味わえる好著。

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    2011年08月09日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    身近に溢れるオノマトペ。
    知ってるつもりでも、言語学者にかかれば、その奥深さが見えてくる。

    オノマトペの音の構成、その仕組みには法則がある。
    モフモフは、学んでなくても「猫を触った感じ」「柔らかい毛布」などのイメージが自然とわいてくる。
    これは、その法則が自然と私たちの中に学習されているからなのだ…。
    言語学の本を学ぶと、なぜこんな複雑なルールを私たちは知らないうちに理解しているんだろうと、とても不思議な気持ちになる。
    ほんとに言語学って面白い。

    この本は、なかなか難しい内容を、とてもわかりやすくまとめていると思う。
    学びも多かった。
    とくに驚いたことは次のこと。
    一つ目、オノマトペの音に

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    2024年08月08日
  • 通じない日本語

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    ★世代差で通じない。
    既に自分も若い世代ではないから、知らない言葉が出てくる。
    ★地域差で通じない。
    地域によって意味の違う言葉
    アクセントやイントネーションの違い。
    これについては是非とも音声の聴ける工夫が欲しい。

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    2024年05月15日
  • 数字とことばの不思議な話

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    身近な言語のありかたにおける不可思議さについて、表題の「数字」を1つの端緒として、広く俎上に載せることに成功している。

    地域性や国際間の差異あるいは共通項、そもそもヒトの成長に伴う言語感覚の形成など研究の対象としての面白さは領域を跨る故の深さに裏付けされていて、そこから抽出された違和については「なるほど」と意識裡に今まで気づくことのなかった一方で、究明を進めれば見事な筋で説明のつくことも多く興味が尽きない。

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    2022年09月01日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    言語学未習者からはとっつきやすいトピックから、科学的な究明のあり方を追体験しつつ、その背後にあるアプリオリな感性の存在について哲学や生理学などに跨る広範な不可思議に触れられる。

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    2022年07月11日
  • 通じない日本語

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    多様な日本語の不思議さを理解できる良書。初めは世代間ギャップが生まれやすい略語や、知る人ぞ知る業界用語の考察。モーラという単位が鍵となって、規則性のある略語が生まれることが分かる。世代間で日本語が通じなくなるのは、元の言葉を類推できないからということか。後半は方言に関する考察。私の故郷は太平洋側の港町で、漁師の往来から東北から関西の言葉が地元の言葉に取り入れられ、そこに江戸言葉も入る、なかなか面白い土地柄。そうは言っても標準語圏なので、関西や著者の出身地・鹿児島との方言の比較は面白い。

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    2021年04月13日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    擬音・擬態語を意味するオノマトペ。
    本著はオノマトペに関するシンポジウムと同時に企画された、8編の異なるテーマの研究をまとめた一冊。

    我々が普段何気なく使っているオノマトペは、考えてみるとかなり不思議な概念だ。
    なぜ理解を超えて感覚で共有できるのか。どういった原則があるのか。などなど、言語の構造や認知過程はわからないことだらけ。
    本著ではそれらをはじめ、海外でのオノマトペなどにも触れている。

    各テーマごとのページ数が少ないため論考としてはボリュームが不十分ではあるが、そこらの同種の本よりよほど要点がまとまっており、テーマの面白さも相まってオノマトペ入門として良い一冊であった。
    気になるテー

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    2018年08月26日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    ‪サブタイトル見て、この本大丈夫かなぁって思ったけど、なかなかにドン・ピシャリ、笑。読者層が厚いとは言えない言語学本で増版されてる理由も読んで納得。‬
    ‪オノマトペって、一見面白いのに学問すると掴みがたく苦手だったんです。積読本がいくつかあるくらい。説明もスッと入ってくる。‬

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    2018年02月17日
  • 通じない日本語

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    世代や地域でコトバがどう異なるのか、どう利用されるのかを説き明かす。
    言葉が持つ意味の変化や、略語の発生メカニズム自体は昔から変わっていないのには感心してしまった。
    「我慢」はもともと「自分をえらく思い、他を軽んじること」という意味なんだそうな。我慢を辞書で調べたことないけど、ちゃんとそう解説されているとも。
    「雰囲気」を「ふいんき」と発声するのが増えているのも「山茶花」や「秋葉原」と同じ理由らしい。これに発音やイントネーションの違いも加えると、日本語だけでも多言語コミュニケーションを考えるのに十分だよね。

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    2018年01月22日
  • 数字とことばの不思議な話

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    知識が増えれば増えるほど疑問も増える
    The more I learn,
    the more I realize I don't know.
    The more I realize I don't know,
    the more I want to learn.

    アインシュタインの言葉だそうだ。

    世の中には情報が溢れているが、それでもまだなおわからないことの方が多い。
    それをひとつひとつ解き明かしていっても、その先には更に謎が隠されている。
    本書はそんな不思議のうち、数と言葉に着目したものである。

    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。
    声に出して読んでみて

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    2015年03月18日
  • 数字とことばの不思議な話

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    1(ひい)と2(ふう)、3(み)と6(む)、4(よ)と8(や)は、いずれも子音が共通している(倍数の法則)とか、4と7は正順に読む時は音読みなのに、逆順の時は訓読みが出てくるとか、桁数の最初に1が立つ時、「1」を読むか読まないかとか、数に関することばの多様な問題が集められている。
    著者は語構成を音声の側面から考察してきた研究者だそうだ。
    それで数字をどのようなまとまりで捉えるかにより、アクセントが変わるといった話になっていくようだ。
    桁数の多い数をどのようなまとまりでとらえるかに、個人的には関心があったので、第七章が最も興味深く読めた。

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    2013年05月01日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    「言語の本質」から思い出して読む。オノマトペについて様々な研究者がそれぞれのテーマで語る。浜野祥子さんの『「スクスク」と「クスクス」はどうして意味が違うの?』が面白かった。人は音と意味に何らかの繋がりを見いだしている。音象徴という概念。k/g,t/d,s/z,p/bの組み合わせ。中学校のころ過去形の作り方でpkftsがedをつなぐということを習ったような気がする。新しいオノマトペを作る研究は新しい錯視を作る研究と似ているのかも。

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    2025年11月12日
  • 通じない日本語

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    限りなく読み物なのだが横書き体裁でところどころ学術書っぽい書きっぷりの部分もあって、なかなか向き合いスタンスがぱちっと決められない本であったが、興味深く読んだ。
    「通じない」を、世代差によるものと地域差によるものの2つに分け、さらに語句によるものと音韻によるものの2つのアプローチから分析解説したもの。
    略語の生成法則、語句の意味の上昇下降/拡大縮小、特定の地域でしか通じない俚言、助詞を略せる地域略せない地域、などなかなか面白い。

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    2018年10月18日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    音やモーラ形での印象の違いや、外国語のオノマトペなど興味深い話題も多かったが、章ごとに執筆者が異なる書の常として、テーマ間の繋がりが見えにくく、痒い所に手が届かない。オノマトペの研究はまだ浅いと記されているが、横断的な評価が読みたい。
    なお副題にあるピカチュウにはほぼ触れられない(というかこれはオノマトペでないのでは?)

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    2017年07月15日
  • オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

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    オノマトペとは擬声語、擬音語、擬態語などのことで、たとえば「ギャーギャー」、「ワンワン」、「ドッシリ」などである。本書はそのオノマトペについて日本語のそれに限らず、海外のオノマトペも含め広く分析、考察したもの。私は日本語は世界でもトップクラスでオノマトペの多い言語なのでは、と思っていたが、本書によれば実はそうでもなく、たとえば、日本語のオノマトペの概数は「2000語以上」なのに対し、朝鮮・韓国語では「5000語以上」、タミル語、ヨルバ語、イグボ語などでは「無制限」とのこと。一方、日本人に最もなじみのある英語は「数百語」。
    その他にも語の反復や音の分析等、広い視点でオノマトペの概要が掴める面白い

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    2017年07月08日
  • 数字とことばの不思議な話

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    ひとつ、ふたつ、みっつ。いち、に、さん。無意識のことばこそ秘密がたくさん!

    こういう話好きだ。1から10を読むのと、10から1を読むのでは、発音が変わる「4」と「7」の秘密とか。1,2,たくさんの法則とか。言語によっての違いなんて、もうわくわくします。なんでone, two, threeから、eleven, twelve, thirteen, fourteen,っていう-teenの謎とか。無意識だから何も問題ないけど、絶対外国語として日本語を習ったら「本」をマスター出来ない気がする。いっぽん、にほん、さんぼん、……って難しいことしているんだな、わたし。

    あまり数式とか出てこないし、むしろ言

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    2015年10月12日