寄生虫や虫が大好きで生き物の観察を趣味にしている晃は自覚のある陰キャ。
晃がモテ男の康春を観察していることから始まる。
観察していることが康春にバレてつきまとわれるんですが、この康春の晃に対する察知能力?がすごい。
「自分と同じなんじゃないか」
とはなかなか気づかないと思う。しかも接点も無く話した
...続きを読むこともないような相手で。
康春がオープンにカミングアウトしていることによって、人の目が違ってくるのも考えさせられた。
例のことで人に何か言われるたびに康春が返す答がすとんと心に落ちる。
だからといって無理して付き合うこともないし、受け入れたり理解を得るというのが難しいこともわかっている。
晃の「このまま」でいられるものはほとんど無い、「伝えない」という選択はできるけど、それはどこにも向かわずに「死んで」しまうんだと、わかっているけどそれは哀しいし淋しいと思った。
衝撃だったのが「無遠慮な凝視」。
感情を伴う視線は善し悪し含めてあるけれど、憧れとか好意ではなく、存在を無視されるのでもなく、興味があって見るわけではなく、ただ「凝視されること」
怖かった。
なぜそんなに注視するのかわからない。
カミングアウトや告白によって人の目がこんなにも変わるものなのか。
同性愛者だとしても、それがどうして他人に言い訳したり反発しなくてはいけないのか。
人が誰を好きだろうと性癖が受け入れないだろうが、何も関係ないだろうに。
それに対する先生の言葉も良かった。
したいことをしたいように。
たとえ人と違うとしても、人と違うことや物に興味があるとしても関係ない。
ただ、あるがままを受け入れる。もしくは普通に接していればいい。
大切な人のことならなおのこと、理解したいと思う。
表紙やタイトルから受ける印象と違い、この作品はコメディですが、深く考えさせられる作品でした。