森山優のレビュー一覧
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今まで読んだ開戦モノの本の中でも非常に分かり易い。内閣と統帥部。軍令と軍政。開戦と外交について、とかく二元論で語られがちな開戦へのプロセスにおいて、体裁を繕うことを重視したために明るそうなシナリオとしての開戦が残ってしまい、かつそれがアメリカの思うツボだった、と理解すべきなのだろう。
最も希望を持て...続きを読むPosted by ブクログ -
当時の日本の選択を政策決定の状況に焦点を当てて考察している本。
なぜ戦争突入したのかと考察する本はいろいろあるけれど、この本は白眉だと思う。
当時を考える際、考慮するものがたくさんありすべてを見て考えるのはあまり現実的でないので、「誰」によって、「どのような政治過程」を経てああなったのかに焦点を当...続きを読むPosted by ブクログ -
学校でここまで詳しく教わらなかったけれど、やはりここまで詳しく教わるべきだよな。資源のない日本は戦争できないということを。
責任という言葉が大好きな割に、責任を取るのが大嫌いな日本人の反省のための本。
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p14 天皇が生き残ったのは
東京裁判で戦争責任を一身に背負おうとした東条元...続きを読むPosted by ブクログ -
[暗黙の尻込み]1941年12月8日を迎えるまでに幾度となく決定がなされ、大仰な名称を冠せられながらも幾度となく覆された戦争に関する数々の「国策」。その策定プロセスを眺めながら、当時の日本の中枢が「非(避)決定」の状態に陥っていた様子を紐解いていく作品です。著者は、日米戦、特に情報・インテリジェンス...続きを読むPosted by ブクログ
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本書は、日米戦争における日本の開戦過程を詳細に検証したものだが、本書のような緻密かつ大胆な検証は読んだことがないと、興奮する思いを持った。
現在では「侵略戦争として断罪」されている昭和の戦争について、なぜ当時の日本はあのような無謀な戦争に踏み切ったのかと常々思っていたが、本書の「日本の政策決定シ...続きを読むPosted by ブクログ -
タイトルどおり、「日米開戦」にいたる41年9月以降の政策決定プロセスを丹念にミクロにおっかけて説明した本。
「日本はどうしてアメリカを相手に負けるに決まっている戦争を始めたのだろうか?」という長年の疑問が解けたような気がする。
結局のところ、だれもが自分の部門の利益とか、メンツとか、責任を追いた...続きを読むPosted by ブクログ -
『経済学者たちの日米開戦-秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く-』、「なぜ必敗の戦争を始めたのか―陸軍エリート将校反省会議」参照。
以下、引用。
それでは臥薪嘗胆、外交交渉、戦争という三つの選択肢から、なぜ臥薪嘗胆が排除されたのだろうか。それは臥薪嘗胆が、日本が将来に蒙るであろうマイナス要素を確定し...続きを読むPosted by ブクログ -
やや難しい専門的な部分もあるが、基本的にあ分かりやすくコンパクトにまとまっている。東郷や昭和天皇の関わりなど勉強になったし、あいまいにせずるをえなかった国策など、考えさせられた。Posted by ブクログ
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>「どの選択肢が自分の組織を守れるか」そう考えて話し合っていると、戦争が選択肢になっていた
というレビューが絶妙。
リーダーも国民も決定できない、リーダーが責任取ることも許さず、国を動かすエリートたちによる保身圧力が現代の日本と重なるPosted by ブクログ -
本書は、1941年、まさに開戦の年の陸海軍、外務省三つ巴のすさまじい「文書と権限の戦い」を、公式記録を徹底的に検討して再現した一冊。
著者は序盤で、一般に言い習わされている「軍部の台頭」という表現にまず着眼する。「軍部」という抽象的な悪玉を具体的に見ていけば、陸軍省、海軍省という巨大な官僚組織の一...続きを読むPosted by ブクログ -
交渉をまとめるための
ペーパー(書面)の上での戦争。
国内で意見をまとめることだけでも難事。
個人的な意訳。
海軍は、「陸軍が中国から撤兵すればいいじゃん」として
対米交渉を進め
陸軍は、「いざとなったら対米戦争を海軍にやってもらえばいいじゃん」と。
お互いに、「自分の利害のみ」で判断をしていた。...続きを読むPosted by ブクログ -
日米開戦という亡国となる重大な決定が、政治家、陸海軍、外務省をはじめとする官僚(陸海軍を指導した軍人たちも官僚といえるだろう)の組織利害を第一とする姿勢によって決められたことを描いたノンフィクション。玉虫色的な両論併記と非(避)決定という要素が現在の日本の組織にも通じる宿痾であることには、皮肉な笑い...続きを読むPosted by ブクログ
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共同謀議なんて,なかったんだな…。コンセンサス偏重で決められた「国策」には,多様な選択肢が盛り込まれすぎていて,重要な決定は先送りする矛盾に満ちたものだった。
外務省・大蔵省などの政府と陸海軍,軍部の中でも軍政部門と統帥部とで,国家の政策に関する考え方はかなり異なっていた。それを調整するために大...続きを読むPosted by ブクログ -
毎年8月に戦争関連の本を読むことにしているが、これは最近評判の書。
戦後60年以上経ち、開戦当事者のメモや独白録がここ10年ほどで様々でていることを知った。かなり正確に分析できる時代になりつつあると思う。
本書では開戦に至った経緯を当事者のメモを元に分析することで、現代の官僚組織論として読むこともで...続きを読むPosted by ブクログ -
大日本帝国憲法下の体制と、意思決定構造と責任の所在を明らかにしながら、局面ごとの意思決定の変遷を追ったもの。単純に軍部が暴走した、というものではなく、開戦回避の努力も重ねられていたことがわかり、自分の理解の幅は広がった。
しかし、どちらとも取れる内容、実質的に何も決めていない内容を、議論の結果として...続きを読むPosted by ブクログ