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真珠湾攻撃から75年。戦争に至る不毛な現実を描く、決定版!1日に20通以上の外交暗号を解読しあう熾烈な日米英インテリジェンス戦争。ローズヴェルト、チャーチルら指導者が生の情報に触れることで強まる対日対決姿勢。松岡洋右外相に翻弄され、陸軍・海軍内の組織利害対立で指導力を発揮できない日本の中枢部――。エリートたちはなぜ最悪の決定を選んだのか?
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Posted by ブクログ
日米開戦に至る経緯を情報という側面から読み解いていく内容。当時は既に他国の暗号情報の解読が進んでいて、いろいろな各国の大使や駐在武官等とのやり取りが読み取られていた(日本は読み取られていただけではなく、他国の暗号も解読はしていた)が、誤訳や情勢の見誤りなどもあった様子が手に取るように分かって大変面白...続きを読むかった。国内も外務、陸軍、海軍、軍も省と現場、様々なところで隔絶、対立、情報格差、認識相違があったようである。 本書の中で触れられているが、日米の間にあの規模の大戦を引き起こす覚悟、準備、外交的課題があったのかどうか。それらが無いまま、お互いに引くに引けなくなり、「何となく」戦争に突き進んでしまっま感が否めない。 非常に興味深い一冊でした。
歴史学の立場から客観的に日米の意思決定プロセスや諜報について見ていく。今まで自分を捉えていた認識の枠組みを意識させてくれる。 日本の国策を決定するにあたっての寄り合い世帯的な、両論併記と非決定の概念が常につきまとっていた。松岡洋右が外相としてイニシアチブを発揮しようとする中でいかに日本を振り回したの...続きを読むかがわかる。 陸海軍もそれぞれの中で一枚岩ではなかったし、天皇も全く飾り物だったわけではなく、その意向は陸海軍に影響を与えていた。 蘭印や仏印の動き、独ソ戦に向かう中での日本の動き(渋柿主義と熟柿主義)、タイとの関係なども本書を通して細かく知ることができた。 南部仏印進駐からエスカレーションの歯車が噛み合ってしまい戦争が止められなくなってしまった事情がよくわかった。 オートメドン号事件、ハルビン情報も初めて知った。オープンソースのみに触れていた幣原やグルー、クレイギーなどの方が正しく情勢を分析できていたことも教訓だし、政策決定者がインテリジェンスでなくインフォメーションに直接触れ、その中から自分の見たいものしか見なくなる危険からも学ばなければならない。
日米開戦決定過程の検証。 首脳が加工されたものではなく、生情報ベースで判断することの難しさと恐ろしさが印象的。相互不信感がベースになるとそこから都合のいい情報しか見なくなる。 対内向けの言葉が、文脈で理解されない結果、一人歩きし暴走し出す。 日米戦争はイデオロギー戦争であった。
日米開戦前、日本の暗号が解読されていた(Magic情報)のは有名だけども、アメリカやイギリスの暗号も日本に解読されていたんですね・・・ で、この暗号解読だけど・・・ そもそも誤訳されたものもあるし・・・ 翻訳官自身の色眼鏡により、悪意とも思える誤訳もあったし・・・ 前後の文脈で解釈することなく文面通...続きを読むりに解釈し、真意を汲み取れなかったりもした・・・ さらに・・・ 解読された内容が政策担当者の都合の良いように取捨選択されたし・・・ 政策担当者の自説に合うものを、自説に合うように恣意的に解釈されたりもした・・・ 双方ともにバイアスがかかっていたし、そのバイアスによって情報が取捨選択されていたわけです・・・ 自分の立場、思惑を補強するために、都合のイイ情報だけを選ぶ、もしくは選んでしまうというのはまぁ分からないではないですが・・・ で、日本政府は交渉でどうにかなると都合良く考えて、入ってきていた情報を軽視していたし・・・ 軍部は早く交渉を終えて戦争へ、という方針だった・・・ アメリカはローズベルト大統領の意向が反映され、ドイツとの戦争に参戦するために、日本を戦争に巻き込むという方針で情報が解釈された・・・ 日米交渉の最中、Magic情報は交渉を担当するハルや、スティムソンら対日強硬派の偏見を増幅させ、日本への信頼感を大きく損なわせた、と・・・ 日米間の懸隔を埋めるのではなく、むしろ増幅させたんですね・・・ Magic情報で日本の「本心」を熟知していると信じた英米の政策担当者は、強硬論に傾斜し、結局日本の暴発を招くにいたった、と・・・ 日本、そして英米双方ともに見通しが甘かったし、インテリジェンスを使いこなすのではなく、集まった情報を政策担当者たちが自分たちの都合の良いように解釈して利用した・・・ 結果、戦争の勝者である英米も東南アジアの植民地を失陥し、想定以上の打撃を受けたし、中国は共産主義の国になってしまい、英米ともにあの戦争で得るものはほとんどなかった・・・ 一方、日本は自存自衛どころか、いわゆる国体護持すら危うい破滅的な敗戦を迎えた・・・ インテリジェンスの難しさは、情報を集めるだけでなく、それを精査し、分析し、バイアスなく取捨選択し、どう組み立てて意思決定するかまでセットですね・・・ この難しさは毎週土日に身を以て実感してますわ・・・ この他本書には、北部仏印から南部仏印進駐、対日全面禁輸、日米交渉、開戦までの日本の意思決定のチグハグぶりが余すとこなく書いてあります・・・ 支離滅裂・・・ 当時の国策の特徴は・・・ 玉虫色の決定であり・・・ それを陸軍や海軍、松岡外相がそれぞれ再解釈したり、反故にしたりできる、極めて曖昧な性格のものだった、と・・・ 妥協困難な場合は、両論併記で糊塗したり、文書化を避けたり、とりあえず決定したことにしてその場をしのぐっていうことをしていた・・・ そして、とりあえず決まった(ことにした)国策をどのように解釈するか、果てしない綱引きがずーっと繰り広げられた、と・・・ 読んでいて頭がクラクラしましたわ… 最悪なのが、これと同じことが開戦前だけでなく、戦争中も続いていくというね・・・ 結局敗戦まで同じようなことを繰り返してたわけですね・・・ そら泥沼化するわ・・・ っていうのがよく分かる・・・ 悲劇ですわ・・・ 日英米の情報戦の面から、どのように日米開戦に至ったのか、なぜ開戦が避けられなかったのかを紐解く良書・・・ オススメであります・・・
よく日本は情報音痴であり、情報戦に優れた英米に戦争に引き込まれた、とすらも聞き及ぶ。 では、実際にはどのように扱って開戦に至ったのか?を記載したのが本書である。 情報の取捨選択と判断という“インテリジェンス”の流通を鍵に、日本の対応、英米と比較をし、本書は書かれている。 イギリスは...続きを読む、いくつかのルートが情報を収集、首相の元に一元化していた。インテリジェンスは首相の元にのみ存在し、国家方針を決定していたようだ。 アメリカは、陸軍、海軍等が独自に情報収集を行い、インテリジェンスまで作っていたようだ。ただし、最終的にはそのインテリジェンスを含めて、大統領は収集し、新たにインテリジェンスを作って国家方針を作成した。そして議会・世論の同意が得られれば、決定となった。 日本も、陸軍、海軍、外務省が独自に情報収集を行い、インテリジェンスまで作っていた。インテリジェンスをもとに国家方針を作成し、天皇臨席の御前会議で同意が得て決定となった。 一見アメリカに似ているが、日本の場合、御前会議の前段階、つまり各ルートで作ったインテリジェンスからの国家方針策定の機関が不安定だったようだ。 当時の日本は総理、外務大臣ほか数名と陸海軍などで構成される大本営政府連絡懇談会が国家方針決定の最高機関だったようだが、法制化もされておらず、議長もあいまいなようだった。そして、各部門も内部はバラバラだった。 様々な部署が、様々な方面のバランスを取りつつ苦悩、迷走していく日本。これ、当時の現場の人たちも何がどうなっているのか、わかってなかったんじゃない?とにかく、戦前はそれだけ迷走していたのだろう。 ではイギリス、アメリカはどうだっただろう?うまくいっていたのだろうか? アメリカは大統領の権限が強いが、結局は日本の意図を正確にはとらえることができなかった。そのため真珠湾攻撃と緒戦の敗北を招いた。 イギリスはうまくいきそうであるが、それでも過度に日本を恐れるばかりに、やりすぎと思われた経済制裁を発動したりして結局は日本を追い詰めた。そして戦争には勝ったが、アジアの植民地はほとんどを失った。 結局、第二次世界大戦勃発は、日米英双方の情報の取り扱いの過誤の連鎖だった、そして、勝者はなかったのでは?というのが著者の意見。 じゃあ、どうしたら一番よかったのだろうかね?方針を決める時には、以下に先入観を省いて決めるか、ということだろうか。情報を収集する部局は情報収集に徹底、集めた情報からインテリジェンスを形成する部局、インテリジェンスを集めて意思決定部門に上げる部局。そして意思決定部門で意思決定とするしかないのだろうか?まあ、今は企業、国家ともこのようにやっているのだろう。 そして、本書の各国の失敗を見て、僕たちはどのように行動べきだろうか?自分はひとりなんで、部局をたくさん作ることはできない。自分が今、情報収集を行っているのか、インテリジェンスを作っているのか、方針を決めているのかを明確に分けることが大切なのではないか?
情報の利活用になぜ失敗するのかを学びたいと思い手に取りました。実際、情報過多になる中で自分の見たいものを見てしまう、意思決定に至るまでに割愛され歪んでしまう、全体を見ず確度の低い情報に頼ってしまう等、失敗のパターンが色々出てきて学びはありました。 トピックスの絞りこまれた本であり、歴史を学ぼうと思う...続きを読むと自分にとってはもうすこし前後の知識が必要だと感じました。
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