宮下紘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大学准教授である著者が最近起きたプライバシーに関する事件やアメリカ、ヨーロッパでの考え方など自身の知見などを元に解説した一冊。
プライバシーという曖昧な概念を日本での歴史と捉え方、アメリカとヨーロッパでのプライバシーの考え方の違いなどをプライバシーをめぐる事件などから知ることができ勉強になりました。
また、ベネッセの名簿売買やリクナビの個人データ販売の問題、新型コロナウイルスにおける接触確認アプリなど最近の事例から法律としてある個人情報保護法とプライバシーの権利の関係や違いやインターネットにおける忘れられる権利など読んでいて考えさせられることも多くありました。
そんな本書の中でも義務の章典と権利の章典で企業か個人のどちらにフォーカスを当てるかで解釈がかなり変わってくることやGDPRが今の日本の法制度では対応が難しいことなどは勉強になり、印象に残りました。
本書を読んで今の世の中においてネットのなどの普及によりプライバシーに関する問題は新しい局面を迎えているとともにアメリカやヨーロッパの動向を踏まえて日本のプライバシーについての本質的な理解をもっと深めないといけないと感じた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
個人情報保護の問題については、この数年、日本では個人情報保護法の改正、EUのGDPRの施行等、大きな変化が生じている。
本書は、全体を通して、プライバシーの保護、個人情報の保護はなぜ求められるのか、その核心は何なのかについて、主に法学的観点からの考察がされている。興味深いのは、第四章「プライバシー保護法制の国際動向」で、EUと米国の取組姿勢の違いや具体的な規制の在り方に関して、政府からの「個人の自由」を確保することに主眼を置くアメリカに対し、「個人の尊厳」を重視するEU、両者の対象が論じられている。
個人情報の保護と、データの有効な利活用、両者のバランスをどう図るのか。個人個人でも考え方は違うだろうが、制度的にどのように構築するか難しい問題だと思う。そうした難しい問題を考える上で、本書のような原理的なところからの考察は、極めて有意義だと思われる。 -
Posted by ブクログ
2013年に国家による個人情報の監視の実態をメディアにリークしたエドワード・スノーデンが、亡命先のロシアから日本に向けたメッセージ(警告)です。
技術の進歩によって、以前とは比較にならないほど簡単に・低コストで国家が個人を監視することが可能になりました。
そして2001年9月11日にアメリカで起こった同時多発テロをきっかけに、ムスリムの監視強化という形で現実のものになります。
問題は国家による監視が適切に行われていることを監視する仕組みがないまま、なし崩し的に個人の監視が常態化してしまったことです。そして、同様のことが日本でも行われる可能性があるということです。
執筆されたのがトランプ大統領就任前・GDPR制定前ということで現在とは状況が若干異なるものの、個人監視の実態を知らなかった身としては、決して聞き流すことができない内容でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ政府による監視の在り方は9.11を境に変わった。事後的な捜査から事前の監視へ、特定の容疑者への狙い撃ちから不特定多数の一般市民を含めた無差別な監視へ、対象を人物からデータへ。
プライバシーと安全のバランスをとる(特にセキュリティについて適切な評価がなされる)ことが必要であり、政府による監視に対する現状の有効策は市民による監視(監督)と言える(それが有効に機能するように仕組みを構築することも必要)。また、捜査機関に協力/情報提供する主体(企業等)の透明性確保の問題も重要。
また、そもそもマス・サーベイランスにおけるAIの活用はフォルス・ポジティブ(偽陽性)比率が高いため、テロリスト判定の役に立っていないとの見方もある。
ただし、インターネットの仕組み上、情報(通信)の大部分はアメリカを通りアメリカ企業を経由するので、アメリカ政府は他の国の政府よりもはるかに多くの情報を傍受することができる(かつ、アメリカ自由法によってメタデータの収集が停止されたのは米国人を対象とした場合のみ)という点には留意しなければならない。