葦舟ナツのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
僕はこの本を評価したいのか、したくないのか正直わからない。
ひきこもりの兄とその弟。兄との接し方ががわかっていない母。父はいない。そんな家庭で育った弟の物語。
小さな子どもの頃は大好きだった兄が、年齢を重ねていくにつれ仲が悪くなり、ついにはお互いを憎み合う関係に。弟は自立できない兄とそれを容認する母を、兄は人並みの生活を送る弟を。同じ血が通っているというだけで仲良くできるわけではない。
弟は家族の影響を受けて人を愛するということができなくなってしまっています。人を好きになる、愛するってどういうことなんでしょうか。私もはっきりとしたことはわかりません。
そんな弟が出会うのが家庭環境に難 -
Posted by ブクログ
筋道がたった作品が好きな人にはオススメできないというのが感想です。
この本では、ありふれた日常の描写が多いのですが、他の小説と違ってその話が別のところにつながるということはなく、ありふれた日常はありふれた日常として終わってしまいます。だから、話がいろいろとつながっていることが好きな人は違和感を覚えると思います。でも、実際に考えてみると、全てが全て繋がっているということは普通に生きていればなく、繋がることもなく終わってしまうことの方が多くあると思います。そんなことを思わせる作品でもありました。
この本の終わり方に関しても、好きな人、好きじゃない人がはっきりわかれると思います。作者もそれを承知 -
Posted by ブクログ
親から肉体的な虐待を受けた千草と、同じように親から精神的な虐待を受けた啓太は、残念ながらお互いを大切にしながらも埋め合うことはできなかった。でも、ふたりで過ごした時間があったからこそ自分たちが欲しい物に手が伸ばすことができたんだと思う。
啓太が、〝千草がちゃんと欲しい物に手を伸ばしますように〟と思う場面が、オイラは痛かったなあ。オイラがガキたちに思う気持ちもそうだから。叶えてあげられればいいんだけど、むしろ我慢させてばかりいる。きっと啓太のように自分で切り開いていくんだろう、何かしらトラウマみたいなものを抱えて。
結果はどうであれ欲しいものは欲しいと言って手を伸ばして、もしそ