金成隆一のレビュー一覧
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ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪
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ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪
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朝日新聞の記者が、ここまでトランプ支持者に寄り添う取材をしているとは、ちょっと驚き!トランプ現象を理解したくて読んだが、印象に残ったのは、2人のリベラルな著者へのロングインタビューの中で出てきた、民主党の変貌への言及。民主党は、ベトナム以後、「もはや労働者階級の政党ではない」路線を選び、「見識があり、高等教育を受け、裕福な人々の政党」になってしまった。ルーズベルトは、なりふり構わず、ダムを作り、インフラを整備し、多くの労働者を雇った。失業した労働者の側に立っていた。今でも、人々は、これはルーズベルトが建てたものだと認識できる。が、同じ巨額なお金を使って、オバマは、同じエリート層が運営している大銀行を助けた。言われてみると、そうだったなぁ。日本もそうだが、「労働者」に寄り添えるかどうかは、リベラルの課題。「労働者」のイメージも変わってきていると思うけど。
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ネタバレオハイオ州トランブル郡ウォーレン。東海岸からアパラチア山脈を越えた先で、合衆国全体から見れば東側に感じるが、ここが「中西部」なのだと初めて知った。ことほどさようにアメリカのことはよく分からないが、このラストベルトと呼ばれる地域の普通の人々、具体的には、高校を卒業して「手を動かす仕事(Hands-on Job)」をし、時給を稼いで請求書をきちんと支払う(paying the bills)という形で自立することを誇りにする人々の生き様が生々しく伝わってきた。そして、昔は容易にできたそういう生活が次第に厳しくなり、貧困への転落を心配しながら不安の中に暮らしていることも。その意味で、中西部のアメリカ人の価値観と不安が少し理解できた。
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Posted by ブクログ
大統領選の1年前からトランプの動向を取材していた、朝日新聞記者のルポ本。著者自身始めた頃に本になることを予想できなかったのではないかと思うほど、トランプは一部の人の人気者程度だった。しかし、取材を進める中で、ミドルクラスだったアメリカ人、ブルーカラーで炭鉱や製造業に従事していたアメリカ人にはあまりにも深刻な現状があり、それを変革するにはトランプは格好のシンボルになったに違いない。ラストベルト(五大湖ちかくの製造業地帯)、ニューヨークなどの東側のアパラチア山脈を超えた地帯はトランプ王国と化していた。
日本からは全くわからないトランプフィーバーの裏が垣間見える内容だった。 -
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ラストベルトで出会ったトランプ支持者たちは、「素朴で、控え目な人が多い。自分の暮らしぶりなど誰も気にしちゃいない、自分の意見など誰も聞いちゃいない――。そんなあきらめのような思いを持っている人が多かった、と感じる」「トランプ氏本人は差別主義者かもしれないが、少なくとも私が取材している支持者たちは違う。人種差別主義者が、アジア人の記者と2年も3年も付き合い、自宅に泊めたり、交際相手を紹介したりしないのではないか、と思う」(339)。
2017年10月から「ラストベルト」のアパートで3ヶ月間過ごした定点観測をふくむ、「トランプ時代」のアメリカのルポルタージュ。しばしばニュースで耳にする「分断」のリアルをまざまざと突きつけてくるいっぽうで、これは5年後10年後の日本社会の姿ではないか、という疑問が離れなかった。もはや21世紀の合州国は、「国民国家」の体をなしていない。にもかかわらず人々は「ナショナリズム」にすがり、自分たちを「国民」として見て欲しい、という思いばかりを募らせていく。新自由主義的体制下における国家機構と資本主義の結合体は、ナショナリズムを成立させる基盤それ自体を破壊しているにもかかわらず、「ナショナリズム」は亡霊のように死なず、回帰してくる。この現象を、いったいどう考えればよいのだろうか。 -
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大統領に就任した途端に支持した米国民は失望するに違いない、そう確信していた。ところが、就任1年を迎える昨年の今ごろ、経済政策ではかなり評価され、外交でも速断を明確に下し、敵対国の首脳との会談をもこなして、政権担当能力は及第点を得ていた。先の中間選挙では、下院で敗れたが上院は守った。現在はメキシコ国境の壁建設をめぐり、政府機関の閉鎖を盾にゴリ押しの様相だ。道理の有無はともかく、実現性がいかにも乏しかった選挙公約を果たそうとする姿勢はあるんだわ。この本で取材を受ける米国中間層の皆さん、ご不満は分かるけれど、かつて圧倒的先進国だったころの米国には回帰できないし、すべきでもない。もはや重厚長大での経済発展はありえないし、往時の繁栄は貧国との相対関係によるんでしょうに。
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差別的・攻撃的で根拠のないでまかせを平気で口にするトランプが米国大統領になってしまったことは、日本から見ていると何かの間違い(事故)みたいに思えるけれど、この本を読めば実は彼がなるべくして大統領になったということがわかります。
かつて栄えた鉄鋼業などの重厚長大型産業が衰退し、移民が増え、企業が海外に生産拠点を移したことなどで失業者が増えたラストベルト(錆びついた工業地帯)と呼ばれる地域(ミシガン州、オハイオ州、ウイスコンシン州など)を中心に、トランプは熱烈に支持されてきたようです。トランプを支持する人たちは現状に不満を持ち、「アメリカン・ドリームは終わってしまった」、「自分たちは置き去りにされた」という思いを抱いている。エスタブリッシュメント(既得権者≒一部の富裕層)に対する彼らの反感と怒りが、トランプ勝利の原動力のようです。トランプは彼らに理想を語るのではなく、彼らの敵意を煽ることで支持を集めました。
自由貿易と移民を悪者に仕立て、「TPPから離脱する」、「メキシコ国境に壁を作る」などのバカげているけど単純で分かりやすい主張をするトランプ。その主張に希望を託さざるを得ないごく普通の(むしろ思いやりのある誠実な)人たち。やはりアメリカは病んでいるのですね。
“トマスの双子の兄フランク(42)が来て「この地図、ちょっと違うな」と言い、ノートに何やら描き加え始めた。メキシコ国境沿いの壁だ。「トランプが美しい壁を造るんだ」” ── トランプを応援している人たちは、こんなにも生真面目だから悲しい。
著者は朝日新聞記者。大統領選までのおよそ一年間に約150人もの人たちにインタビューしてこの本をまとめたそうです。インタビューの結果を書いた第1~6章はどこの街でも同じような話が多く少し退屈だと感じましたが、トランプ勝利の意味を分析する第7章を読むに至って、足で稼いで積み上げられた事実の重みが説得力につながっていると感じました。 -
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ネタバレメディア等で多くの米国民がトランプ大統領の誕生に反対しているように見えた中、なぜ(得票総数そのものはクリントン氏を超えなかったが)大統領選で勝利することができたのか、という問いに現場面から答えようとする本。
「反グローバリゼーションとポピュリズム~『トランプ化』する世界」(神保哲生氏等著)においてもトランプ大統領誕生の要因の一つとして語られていた、ラストベルトに住む人々への訴求について、実際に当該地帯に住みトランプ氏に投票した人々の生の声を知ることができる。
本書に登場するラストベルトの人々に共通するのは、かつて真面目に働けばそれなりに豊かな暮らしが出来た上向きの時代(著者はアメリカン・ドリームとも表現している)への郷愁と自身ないし彼らの子孫の(そうした生活を享受することのできる)ミドル・クラスからの没落に対する危機感であった。トランプ氏の発言には論理的でない(矛盾する)面もあったり、事実に即していない点、具体性に欠ける点などもあったが、彼らはトランプ氏の掲げる理想(大きな方向性)に共感するとともに、特定団体からの献金に頼らずストレートな物言いのトランプ氏に(エスタブリッシュメントが政治を支配する現状からの変化という)希望を見出したのである。
本書の最終章では現場でのインタビューを踏まえてトランプ大統領が誕生した背景と民主主義への影響についての考察がなされている。グローバリゼーションによって得をした(所得が大きく上昇した)のは先進国の最上層と新興国の中流層(先進国の中流層は相対的な敗者)であり、この点が本書で取り上げられたような人々が登場した背景になったと筆者は説明している。また、今回の大統領選によって、民主主義の根幹である政府の正当性や言論の自由(暴力の否定)が脅かされる恐れがあるとの指摘もなされている。
本書に出てくるラストベルトの人々と同じような境遇の人は、我が国においても増加しているのではないかと実感する。マクロ経済的にはグローバリゼーション・自由貿易は是認されるべきものであろうが、急速な変化に乗り遅れ得る人々への対応・迅速な国内産業構造の転換をどのように行うべきか、政府には難しい舵取りが求められる、という点が含意されている。Brexitの例にも示されるように、今後当面は(先進各国において)グローバリゼーション及びそれに伴う急速な変化への反動として、このような潮流が予想されるだろう。 -
ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪
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ネタバレ2018年中間選挙から2019年1月までのアメリカ草の根政治状況の朝日新聞記者取材のルポルタージュ。この手の本は新鮮さが大切。再選後では賞味期限切れ。
・ラストベルト、バイブルベルト、郊外とトランプ岩盤地域を中心に取材する。バーでの取材、突撃取材により、人生を語らせトランプへの評価に踏み込むが、散漫すでにわかっていること。
・復員軍人援護法では復員軍人であっても農業労働者・家庭内労働者(ほぼ黒人)は支援対象外。
・民主党が支持層を専門職・エリートの移行し、経済のリベラルから文化のリベラルへ。伝統的支持層である労働者の支持を失う。
・選挙の最も大きな争点は仕事、減税と規制緩和は歓迎される。
・トランプは少数派と少数派に陥ろうとしている人々の連合を組んだ。 -
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一章は、アメリカの大統領、選挙の概要やその歴史を振り返る。私たちにとって、最もなじみのある日本の首相や議員との関係、あるいは、行政との関係とは大きく異なる制度であることがよくわかる。
今まではただ単純に大統領がどうやって決まるのか、といったところしか知らなかったが、なった後も、仕事の進め方、といったところも解説してあって、興味深い、勉強になった。
二章、三章は、予備選挙、党員選挙から本番まで追いかけている。これまた日本との違いを感じた。議員が首相になるのではなく、一般人でも大統領を目指せる、といった仕組みだからこそ、選挙が他人事ではないのだろう。
これまでの著者の他のルポを踏まえて読むと、この本は、中立的な視点に立っており、俯瞰的に追いかけれた。 -
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2020年の大統領選挙を経た2021年の現在から見返してみると、まさしくこの5年間に議論されていたことを2015年の段階で浮かび上がらせていた見事な取材力だと感じる。
MBA留学中に知り合ったアメリカ人のうち最も親しくなった友人がインディアナ州出身であった。他の多くのアメリカ人達が東西沿岸部出身であることに対して、彼は彼自身のことを他のアメリカ人達とは少し違うと言っていたが、まさにその背景はこの本で描かれているラストベルト、アパラチア山脈地方のバックグラウンドによるものであった。
彼の話を聞いた際にも感じた事柄であるが、アメリカを外から見る際にはこういったデモグラフィーの違いによる多様な背景があることを念頭においておかなければ見方を誤るだろう。
実際に2020年の大統領(選挙人)選挙でも依然トランプは7000万票以上を集め、2021年1月のキャピトル・ヒル襲撃を経て退任したあとも熱烈な支持者を集めている。かの共和党でさえもトランプ退任後もトランプ人気に配慮した政党運営をしなければならないことは、今後のアメリカ社会におけるデモグラフィーの動向がアメリカ政治、ひいてはスーパーパワーをバックグラウンドとした国際社会への影響にも強い影響を及ぼす可能性を示唆しているだろう。 -
ルポ トランプ王国2 ラストベルト再訪
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Posted by ブクログ
いわゆるエリートが闊歩するNYやワシントンでなく、庶民が暮らす労働者の街を巡ってトランプ大統領政権下のアメリカの実情を探る著書。
米国民主党員が前回選挙の敗因として挙げた「トランプが『今晩のメインディッシュは大きくてジューシーなステーキ(=労働者の雇用、賃金といった経済問題)です』と売り込んでいる時に、民主党は『メインはブロッコリー(=LGBTQ優遇や移民難民救済、BLM)。健康にいい』と言っているように聞こえてしまった」という例えが言い得て妙。
国民が本心で望んでいることを外してしまったと。だから本来民主党側であった人々もトランプ支持に回ったという。
また、トランプが勝ったのでなくクリントンが酷すぎたという意見も多い。あと、トランプの政権運営は支持するが人格が下品だから人前で支持していると言えないという意見も。
トランプ大統領の支持・不支持の大まかな理由が見えたような。2019年9月発刊なのでコロナ後の評価がどう変わったかは興味ある。その審判が明日からの大統領選で明らかになる。その前に読めてよかった。
あの反日反トランプで定評のある朝日新聞記者が結構公平な目で記述しているのが意外といえば意外。
様々な人種がアメリカの理念の下に溶け合うるつぼであったはずが、今は英語も話さず各人種の価値観を維持しようとするサラダボウル状態になっている。それをトランプ大統領は「アメリカグレートアゲイン」の号令で一つにまとめようとする。
しかもその給料は1ドル。残りは全額寄付してるという事実はもっと知られていいと思う。