金成隆一のレビュー一覧
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ミクロとマクロの両視点からアメリカ大統領選を感じられる良書。
東大名誉教授の久保文明氏と『ルポ トランプ王国』の金成隆一氏の共著。とはいえ久保教授の担当部分は第1章1,2部と終章のみと限られ、金成氏の文章がメインとなる。
久保教授執筆部分の中では、政党政治の歴史についての記述がかなり興味深かった。アメリカの2大政党制は「決定的選挙」を契機に両党の力関係や支持者層を大きく変えてきたのだとか。
3代ジェファソンの当選によりリパブリカンが隆盛し、南部の対抗勢力は7代ジャクソンを旗頭として民主党を結成した。そして16代リンカンの当選で共和党の成立が決定づけられ、現在の2大政党制が完成した。25代マッ -
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Posted by ブクログ
自由貿易と、グローバリゼーションによる、作業の空洞化と、地方の衰退、これこそが、アメリカの病理であり現実である。
アメリカも緩やかな経済成長を続けている。ただし、白人の高卒以下の層についてはそうではない。死亡率も年々高まっている。
本書は、トランプの選挙活動を通じて、アメリカの現実を浮き彫りにする。本書は、トランプを指弾するものではなく、トランプを通じて、今のアメリカを映し出してみるものです。
・都市部はトランプを拒絶したのだ。
・多くは明日の暮らしや子どもの将来を心配する、勤勉なアメリカ人だった。そこには、普段の取材では見えない、見ていない、もう一つのアメリカ、「トランプ王国」が広がってい -
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トランプ王国に続く続編。
前作同様に、生活を送っている一般市民を取材し、人生の背景も押さえた上でのルポジャーナルである。
製造業を中心とする社会で働く仕組みは、日本のそれとは完全に違う仕組みであるということに気づかされる。
情報系やテック系、金融系の仕事が、アメリカの代表であるかのように思いがちだが、実際にものを作っているのは、このような生活をしている人たち、もう少し丁寧に言うと、メキシコなど異国でより安い次の版開いている人たちによって支えられている、と言うこともリマークスなければいけない。
日本ももう貧しくなったとTwitterでよく見かけるけれども、アメリカだって、ひょっとすると、他 -
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トランプ王国の続編となる、ルポ書籍。
アメリカンドリームというのは、一攫千金で成り上がることだと漠然と思っていたが、「親の世代より裕福になること」のようだ。それはサービス業ではなく、製造業で成り立っている。
残念ながらそうなれなかった人たちにトランプのメッセージが刺さっている、という構造。
結局トランプが公約を全て達成できるわけでも、紳士的な振る舞いをするわけでもない現状に対し、引き続き支援する人、離れる人、理論的、感情的な実情について。
本筋とは離れるが、アメリカでは、(製造業のような労働集約型では、)時給ベースでの賃金体系で雇用されているようだ。 -
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トランプがアメリカにムーブメントを起こした過程を、トランプの支持者がいるエリアに入り込んで取材をしながら生の声を届けている。
指示者の感情や背景を押さえながら、臨場感を持って書いているので、次に次にと引き込まれるように読んでしまった。著者の文章技術に脱帽。
アメリカで問題になってる不満は、日本など他の先進国でも同じ現象ではないだろうか。一生懸命目の前の仕事に働いていれば、そこそこの生活を堪能できた時代から変わってしまっている。
所々にも出てくるように、情報技術に基づく職業は確かに利益を生み出す業界であるけれども、雇用や街、生活を作り出す点では、製造業は違っていて、には違う指標が必要だ。
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トランプ王国1からの続き。とはいえ2020年の大統領選のかなり前までの記述。前著と同じように丁寧な取材でアメリカの多様性を描く。明るい未来を描くことができない市井の人々という図式は日本も似たようなものかも知れないけど、逆説的に考えるとそれでもアメリカは(生き方の困難さですら)多様性に富んでいる。とはいえ第二次世界大戦後1950年代の黄金時代は日本の高度成長期と同じように二度と戻らない時代であることは受け入れざるを得ないだろうし、本当に身近にいない他人のことを自分のことのように気にして生きることも現実にはできない。ではどこに解決策があるのか。いや、そんなものはないのだろう。それでも人生には期待を
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「4年に一度、政治を変える」。帯にある惹句の通り、アメリカ大統領選挙ほど選挙による政治の変化を実感させるのはない。
特に昨年の大統領選はコロナ禍の中で、SNSでフェイクニュースが飛び交い現職の大統領が選挙の正当性に疑問符を投げかけるなど、あまりに異例な状況で行われたものとなっただけに、より注目が注がれた選挙となった。
日本人には複雑で馴染みが薄い米国の大統領制と大統領選挙の歴史をコンパクトに纏め、トランプを大統領に押し上げた16年の予備選から本選に到る現場を描き出した本書は、トランプ後も深刻な二極対立が続く可能性があるアメリカ政治を知ろうとする際にも入門書として役立つ一冊。
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朝日新聞の記者が、ここまでトランプ支持者に寄り添う取材をしているとは、ちょっと驚き!トランプ現象を理解したくて読んだが、印象に残ったのは、2人のリベラルな著者へのロングインタビューの中で出てきた、民主党の変貌への言及。民主党は、ベトナム以後、「もはや労働者階級の政党ではない」路線を選び、「見識があり、高等教育を受け、裕福な人々の政党」になってしまった。ルーズベルトは、なりふり構わず、ダムを作り、インフラを整備し、多くの労働者を雇った。失業した労働者の側に立っていた。今でも、人々は、これはルーズベルトが建てたものだと認識できる。が、同じ巨額なお金を使って、オバマは、同じエリート層が運営している大
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ネタバレオハイオ州トランブル郡ウォーレン。東海岸からアパラチア山脈を越えた先で、合衆国全体から見れば東側に感じるが、ここが「中西部」なのだと初めて知った。ことほどさようにアメリカのことはよく分からないが、このラストベルトと呼ばれる地域の普通の人々、具体的には、高校を卒業して「手を動かす仕事(Hands-on Job)」をし、時給を稼いで請求書をきちんと支払う(paying the bills)という形で自立することを誇りにする人々の生き様が生々しく伝わってきた。そして、昔は容易にできたそういう生活が次第に厳しくなり、貧困への転落を心配しながら不安の中に暮らしていることも。その意味で、中西部のアメリカ人