金成隆一のレビュー一覧
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自由貿易と、グローバリゼーションによる、作業の空洞化と、地方の衰退、これこそが、アメリカの病理であり現実である。
アメリカも緩やかな経済成長を続けている。ただし、白人の高卒以下の層についてはそうではない。死亡率も年々高まっている。
本書は、トランプの選挙活動を通じて、アメリカの現実を浮き彫りにする。...続きを読むPosted by ブクログ -
トランプ王国に続く続編。
前作同様に、生活を送っている一般市民を取材し、人生の背景も押さえた上でのルポジャーナルである。
製造業を中心とする社会で働く仕組みは、日本のそれとは完全に違う仕組みであるということに気づかされる。
情報系やテック系、金融系の仕事が、アメリカの代表であるかのように思いがち...続きを読むPosted by ブクログ -
トランプ王国の続編となる、ルポ書籍。
アメリカンドリームというのは、一攫千金で成り上がることだと漠然と思っていたが、「親の世代より裕福になること」のようだ。それはサービス業ではなく、製造業で成り立っている。
残念ながらそうなれなかった人たちにトランプのメッセージが刺さっている、という構造。
結...続きを読むPosted by ブクログ -
トランプがアメリカにムーブメントを起こした過程を、トランプの支持者がいるエリアに入り込んで取材をしながら生の声を届けている。
指示者の感情や背景を押さえながら、臨場感を持って書いているので、次に次にと引き込まれるように読んでしまった。著者の文章技術に脱帽。
アメリカで問題になってる不満は、日本な...続きを読むPosted by ブクログ -
新聞社のニューヨーク駐在記者がトランプ支持者が多いラストベルトやアパラチアを歩く。出会った人たちの声から見えてくるアメリカの今、そして大統領選の結果。
これからもこういう時間をかけて生の声を集める取材が必要だと思う。Posted by ブクログ -
トランプ王国1からの続き。とはいえ2020年の大統領選のかなり前までの記述。前著と同じように丁寧な取材でアメリカの多様性を描く。明るい未来を描くことができない市井の人々という図式は日本も似たようなものかも知れないけど、逆説的に考えるとそれでもアメリカは(生き方の困難さですら)多様性に富んでいる。とは...続きを読むPosted by ブクログ
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面白かった!廃れていくラストベルト。細っていくミドルクラスこそトランプを支持したんやな。反エスタブリッシュメントがキーワード。Posted by ブクログ
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トランプ大統領を支持した人々の生活する街をめぐり、様々な人から話を聞く。
単純に旅とともにある取材の様子が生き生きと描かれており、すごく面白かった。
トランプ前大統領は演説の言葉も荒々しく、なかなか個性的すぎる人物だっただけに、なぜ支持を受けているのかという点は非常に興味があった。
また、これだ...続きを読むPosted by ブクログ -
ラストベルトから新南部まで、トランプ支持者の当選後の話を聞いて回ったルポ。
民主党支持からトランプ支持に変わった労働者の多くは、トランプの政策を支持して、次もトランプに投票するという意見が多いようだ。
民主党が労働者の意見に耳を傾けなくなってしまい、エスタブリッシュメントな人達の政党になってしまった...続きを読むPosted by ブクログ -
外交史やってる人間からすると、
アメリカの国内問題ってどうしても
忘れられてしまうエリア。
アメリカの内政の歪みを垣間見れてとても面白かった。
「トランプは原因じゃなくて結果」
そんな事を言う人がいたけど、本当に納得する。
一人一人に分析できてないから大方の選挙予測ははずれたわけで。
移民の問題...続きを読むPosted by ブクログ -
トランプが大統領に当選した後ではなく、当選するまでのアメリカの状況を描写している。
支持したのはどのような層か?に焦点が当てられている。
80年代まで続いていたかつての「強いアメリカ」像が失われ、閉塞感が漂う中、移民問題や既得権益への不満が溜まり、トランプは支持を集めていった。
書かれたのは2017...続きを読むPosted by ブクログ -
朝日新聞の記者が、ここまでトランプ支持者に寄り添う取材をしているとは、ちょっと驚き!トランプ現象を理解したくて読んだが、印象に残ったのは、2人のリベラルな著者へのロングインタビューの中で出てきた、民主党の変貌への言及。民主党は、ベトナム以後、「もはや労働者階級の政党ではない」路線を選び、「見識があり...続きを読むPosted by ブクログ
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オハイオ州トランブル郡ウォーレン。東海岸からアパラチア山脈を越えた先で、合衆国全体から見れば東側に感じるが、ここが「中西部」なのだと初めて知った。ことほどさようにアメリカのことはよく分からないが、このラストベルトと呼ばれる地域の普通の人々、具体的には、高校を卒業して「手を動かす仕事(Hands-on...続きを読むPosted by ブクログ
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これまで民主党に投票してきた白人の労働者が、ヒラリーのエスタブリッシュ性に反感を抱いたことと、悪くなっていく社会情勢に嫌気がさして、何かを変えるためにトランプに投票したのだということが、ラストベルトに住み込んで取材して浮き上がってくる。
トランプになってから、不満が目覚ましく改善している訳ではないが...続きを読むPosted by ブクログ -
何故、トランプに熱狂的な支持者層がいるのか、何故、トランプはNAFTAを目の敵にするのか。大統領の行動原理の一端が垣間見られる一冊Posted by ブクログ
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大統領選の1年前からトランプの動向を取材していた、朝日新聞記者のルポ本。著者自身始めた頃に本になることを予想できなかったのではないかと思うほど、トランプは一部の人の人気者程度だった。しかし、取材を進める中で、ミドルクラスだったアメリカ人、ブルーカラーで炭鉱や製造業に従事していたアメリカ人にはあまりに...続きを読むPosted by ブクログ
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ラストベルトで出会ったトランプ支持者たちは、「素朴で、控え目な人が多い。自分の暮らしぶりなど誰も気にしちゃいない、自分の意見など誰も聞いちゃいない――。そんなあきらめのような思いを持っている人が多かった、と感じる」「トランプ氏本人は差別主義者かもしれないが、少なくとも私が取材している支持者たちは違...続きを読むPosted by ブクログ