大畑末吉のレビュー一覧
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初心に帰って世界的な童話を読み直し。
■親指姫
まず親指姫の育ての親が不憫。(ヒキガエルの元から逃げ出したあと帰る気ゼロなのなんで~!)
次にスイレンの葉に勝手に括られた白いチョウ。葉をはやく水面を走らせるために、リボンで結んじゃうって、、
かわいい親指姫に利用されて、結果的に命を落とすの悲惨すぎる。
あと全体を通してルッキズムがすごくてもはや面白い。親指姫はかわいいから攫われて結婚させられそうになるし、でも誰かに助けられるし、養われるし、最終的に理想的な王子様と結婚する。
親指姫の内面の美しさについては、あまり言及がない。(ツバメを介抱した献身性くらいか)
ヒキガエルやモグラの求婚を拒ん -
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アンデルセンはどうしてこんなに子どもの気持ちが、分かるのでしょう。
特に第二十二夜の話が好きです。
私が悪いのかなあって感じる心は優しさ、寛容さ、純粋さなんだと思います。
大人になると出来事が複雑になり、罪を感じる気持ちがどこからくるのか見えなくなりますが、それってもしかしたら遠い遠い子供の頃の自分の声かもしれません。
リストラ、失恋、死別など世の中には自分の力ではどうにもならない事故みたいな出来事があります。ああすればよかた、こうすればって後悔することも。
でも、これって私のせいじゃないかもって肩の荷物を下ろすきっかけになりそうなお話です -
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大好きな本です。ずっと岩波文庫の大畑訳に親しんできましたので、特装版嬉しいです。挿絵がガラリと変わっていますが。。
月の光が
愛すべく人たちにやさしくキスするところが好きです。
なつかしい月は
詩人のさみしい部屋のおくまでやさしい光をさしこんで
ほんの短い時間 月が見てきたことを話してくれる。
「わたしの話すことを絵におかきなさい。
そうしたら、とてもきれいな絵本ができあがりますよ」
大好きなのは第三十三夜 最後のお話し,
ねむる前に主の祈りをとなえる小さい女の子。
おかあさんがお祈りの途中でさえぎりました。
「おまえは、今日もわれらに日々のパンをあたえたまえ、といってから、まだな -
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ハンス・クリスチャン・アンデルセン(デンマーク語読みではハンス・クレァシテャン・アナスン)だそうです。
裸の王様,みにくいアヒルの子,おやゆびひめ,雪の女王など,よく知られた話も多いですが,特に好きなのは次の2つ。アンデルセンの童話の中ではちょっとマイナーかもしれない。知る人ぞ知るってやつか。知らない人は知らない。
「赤いくつ」
すっぱりと切られたカレンの両足が赤いくつをはいたまま,どこまでもどこまでも踊り続けていく姿のすさまじさ。カレンの小さな部屋が変化し,大天使とともに天に召されていく場面の美しさ。イメージが圧倒的。
「エンドウ豆の上でねたおひめさま」
そんなこともあるのかあ,,子ども -
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今回再読してみてまず最初に感じたのは、アンデルセンの童話こそ「大人のための童話」なのかもしれない・・・・ということです。 これは翻訳の力が大きいのかもしれないのですが、KiKi にはこれらの童話が童話・・・・というよりは詩に近いものに感じられました。 ・・・・と同時に色彩描写の美しさには目を見張るものがあります。 KiKi が「アンデルセンは絵本的」と感じていたのは、ここにも理由があるのかもしれません。 アンデルセンの物語のイメージはアニメ的な絵ではありません。 どちらかというと色鉛筆か水彩画のイメージだと思うのです。 ありきたりの言葉を使えば「繊細」とでも言いましょうか・・・・・
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15,16夜を読み終わって呆然としている…私はこの話を知らんまま30数年生きてきていたのか?!
たった数ページの童話なのに鈍器で頭殴られたような衝撃。これが読書の威力ですか…!!
初めて作品が世に出たのはアンデルセンが34歳の時とのこと。アンデルセン。。本当に人間なの?なんか人間が到底辿りつかない、神様に近い領域にいる何者かが書いたような、美しい童話だった。
まあよくよく考えれば人魚姫もわりかし衝撃的な悲劇だものね…
他のアンデルセンの作品も読んでみたくなった。
訳者あとがきの大畑末吉の、「一つ一つの物語は真珠のように完全で、全体は万華鏡のように多彩で美しい」という言葉が印象的だった。
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アンデルセン童話の最高峰、「人魚姫」が収録。子どもの頃に絵本で読んだはずだが、年頃になるとディズニー映画の「リトルマーメイド」のストーリーが先行してしまっていたので、原作はバッドエンドであるということをすっかり忘れていた。
アンデルセン童話の特色とされる情緒性や、豊かな色彩描写を堪能できた。
全体を通して童話集1と比べると、心の清らかな主人公が多かった印象。"たましいの救い"を心の拠り所とする宗教的な価値観も強く見受けられた。
解説によると、童話集1は昔からある伝説や民話に基づいた民族童話が多かったそう。(グリム童話寄り)物語によって作風の違いを大きく感じたので、納得し -
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■赤いくつ
子どもの頃読んで怖かった印象が強いお話。原作はより宗教色が強い。
小さい子どもが読んだらトラウマになってしまうだろう。。ただ物語が生まれた地域、時代においては、信仰心の大切さを説くという意味で強烈なインパクトを残す名作だと思う。
アンデルセン童話では度々、堅信礼が登場し、重要な意味をなしている。
■びんの首
びんの首が自身の身の上話をするお話。
びんの首ひとつで、ここまで物語を膨らませる創造力にあっぱれ。
■年の話
四季を1人の一生として捉えるお話。
よろこびの春の王子をコウノトリが連れてきて、たくましく育った夏を迎え、実りの秋を迎えた後は、雪のような白髪の老人になっていく、、 -
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大畑末吉訳による『完訳アンデルセン童話集』は全7巻だが、岩波少年文庫では3巻におさめられており、その最終巻。
有名なところでは『赤い靴』、『雪の女王』を収録。『赤い靴』ってこんなに殉教的な話だったんだ。
『雪の女王』は子供の頃、レコード付きの紙芝居をもっていたので話は知っているつもりだったのだけど、完訳版だと結構長い(そして残念なことにそれほどおもしろくない)。行く先々でカラスから山賊の娘まで、いろんな人がゲルダを助けてくれるんだけど、それがゲルダ自身の持つ「やさしい罪のない心」の力だと言われても。雪の女王は思っていたより悪い人でもないし、カイのヘタレっぷりはあいかわらず。
「いったい、 -
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『アンデルセン童話集 1』は『おやゆび姫』や『みにくいあひるの子』など、いかにも子供向けの童話!という感じの話でしたが、『童話集 2』は『人魚姫』、『マッチ売りの少女』など、アンデルセンの中でも暗い話満載で本領発揮という感じです。
靴を汚したくなくて白いパンを踏んだため、泥の中に沈んでしまった『パンをふんだ娘』とか、病気の男の子のために咲いた花(『天使』)とか、解説のいうところの「深い宗教的な諦念」が感じられます。
『人魚姫』は子供の頃は、助けてくれた人魚姫から王子を奪うなんて、隣の国の王女はひどい!と思っていたんですが、今読むと徹頭徹尾、人魚姫の片思いですね。
「王子のへや