日本での犬の飼育頭数は、近年、漸減傾向にあり、猫との差はほとんどなくなっていますが、まだまだたくさんの犬たちが人間たちと一緒に暮らしています。
洋犬や雑種も多いですが、日本犬の人気は根強く、中でも柴犬は常に安定して上位にいます。
日本犬の魅力は何といっても「犬らしさ」。思い通りにいかない扱いづらさも
...続きを読むありますが、素朴で「けもの」の気配を残す、そんな柴犬の魅力は海外でもファンを増やしています。
本書は、犬の中でも柴犬にフォーカスして、歴史、分類、特徴、短所・長所、罹りやすい病気などをQ&A形式でまとめています。さまざまな柴犬の写真や生き生きとした挿絵もかわいらしく、柴犬オーナーにも犬好きさんにも楽しく読める1冊です。
1項目はそれぞれ短いですが、執筆者は、獣医師や農学博士、動物看護のスペシャリストで、思った以上に深い話が読めるのも楽しいところ。挿絵も柴飼いのイラストレーターさんで、柴犬を飼ったことがある人なら、「こういう仕草や表情あるある」と思わず微笑んでしまう愛らしさです。
べた褒めするだけではなく、時には「頑固」で「融通が利かない」、「思い通りにならない」柴の特性についても述べています。
どの犬にも多かれ少なかれあることでも、やはり犬種ごとの「傾向」は存在します。そんなところをよく知ってから、飼うかどうかを決めることも、互いのため、大切なことでしょう。
意外に多くの紙数が割かれているのが、老犬ライフのこと。
柴犬は丈夫な犬種です。体が丈夫であるということは、つまり、大病を患うことなく老齢に達するものが多いということでもあります。柴犬に多く認められる疾患が「認知症」です。認知症になったときの対処法や経験談が多くある点も本書の長所でしょう。
我が家は2頭飼いで、赤柴7歳と黒柴2歳、ともに雌です。同じ犬種でもかなり気質が異なり、上はおっとり、下は神経質です。下の子の拘りが強すぎる(^^;)ためか、穏やかな2頭の交流はあまり多くは見られませんが、それでも、時を経て、人も犬も、それぞれの距離感が掴めるようになってきた感じです。互いに互いの気質に「慣れる」ということも、家族になるということの一端なのでしょう。
姉犬は今年8歳。そろそろシニアライフが始まります。
ゆっくり、ゆっくり、一緒に歩いていこう。共に歩けなくなる、その日が来るまで。