伏見憲明のレビュー一覧

  • 欲望問題 人は差別をなくすためだけに生きるのではない

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    ネタバレ

    うーん。若いころだともう少しいろいろ考えたし、言えただろうけれど。どうありたいかを考えること自体がかなり意識的なことだけに今となるとぐるぐる回るばかり。差異をどう受け入れるかが自分ごとになってないと言われたらその通りだし。
    特権化と差異の話。生活実感と言上げの行きつ戻りつ。

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    2020年11月30日
  • 百年の憂鬱

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    <あらすじ>
    作家業のかたわらゲイバーを経営する義明は、長年のパートナーがいながら、二十歳の美少年ユアンと関係をもつ。義明はユアンの純粋な愛情を狡猾に受け流しながら自らの渇きをいやすが、関係は少しずつ破綻してゆく。

    <感想>
    野村佐紀子さんによる表紙写真のまっすぐな瞳の少年が、ユアンのイメージに重なる。ゲイの恋愛が描かれている本作だが、生々しい描写は一切なく、恬淡としていて的を射た心理描写でさらりと読める。

    恋愛の機微を知り尽くした中年の暗い情欲と、すべてを欲しがる少年の純粋な愛情。どちらにも共感できる。しかし自分は後者寄りの性格なのもあって、義明の老獪さはやっぱり汚いと思える。最後に形勢

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    2013年01月03日
  • 欲望問題 人は差別をなくすためだけに生きるのではない

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    平等とか地域開発とか、

    掲げている側がやってあげるというスタンスがある気がして、sごく気持ちが悪かったけど、
    このほんのいう、みんながしたいっていうことのせめぎあいの調整の問題なんじゃないのかな、って思った。

    むずかしい

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    2010年03月22日
  • 魔女の息子

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    伏見憲明著。読者の置かれている状況で、全く違う感想になると思う。母の行動に戸惑うとき、兄家族と過ごすとき、鏡で自分の老いを実感したとき、誰かに頼ってみようかと思うとき…主人公の気持ちに共感できる部分が多く。(ゲイの部分は違うけどw)名作だと思う。

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    2009年10月04日
  • 欲望問題 人は差別をなくすためだけに生きるのではない

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    命がけで書いたから命がけで読んで欲しい、と帯に書いてある。差別や社会の不公正が気になる人間が、「気持ちよく」読めるような本では、確かにない。読み手の信念を抉りにくる、という意味では確かに読む側も命がけかも。マイノリティは正義とは限らない、というところまではスムーズだったが、あちこちにトラップがあった。少なくともワタシは、現在が彼の言うような「ジェンダーフリーを「過激な思想」とする立場と、ジェンダーの非対称性自体を解消すべしとする立場の、二項対立」であるとは思っていない。…が、まぁ確かにそうなんだよな困ったことに(^^;)

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    2009年10月04日
  • 新宿二丁目(新潮新書)

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    新宿二丁目の成り立ちを、関係者への取材や過去に出された研究書を元に明らかにしていく。新宿二丁目について「ある程度知っている人」に取っては面白い内容だけれど、二丁目に関して全く知らない人に取ってはやや難解な部分があるかもしれない。
    個人的に興味深かったのは二点。
    一つは、後書き的な文章の中で書くに当たって取材協力している方々の名前を列挙して礼を述べているのだが、その取材協力者の中に「神名龍子」という顔見知りの人物の名があったこと。そうか、二丁目については龍子さんに直接聞くことが出来るのかと言う思い。
    もう一点は、作中に東郷健の名があったこと。
    東郷と関わりのある街として、新宿ゴールデン街がある。

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    2020年01月02日
  • 新宿二丁目(新潮新書)

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    会社に献本されていて何気なく手に取ったのだけど、知らないことだらけだった。三島由紀夫やら美輪明宏やらガンガン出てきて、文豪の集うバーからゲイバーが生まれ、さらに吉祥寺のジャズ文化の起源となるのもここだという。
    雑誌文化を学生時代に追っていた身としては、平凡パンチがなぜかある年代にLGBT総合誌のようになっている、という指摘も面白い。
    学生時代を思い出した頃に、当然新宿二丁目の話なので唐十郎(私の大学で教鞭をとっていたのだ)の名前も出てきて、さらに突如ロラン・バルトの「表徴の帝国」に二丁目ゲイバーマップが載ってる、という衝撃の話題が出てくる。記号論をまがりなりにも学んだ人間として彼の名前もこの著

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    2019年07月03日
  • 魔女の息子

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    ゲイ当事者のぼくが読んでもよく分からない中年ゲイの心の内を、自伝的に丁寧に描いている作品だった。主人公はハッテン場で出会った彼と、その後どのような関係性を築いていくのか。物語の続きを誰かと一緒に考えたいと思った。

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    2018年05月19日
  • 百年の憂鬱

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    作者は中村うさぎとの対談でこんなことを言っている。

    「主体的で、対等なジェンダー間での恋愛は果たしてうまくいくのか、自我と自我がジェンダーの差異を挟まずに剥き出しでぶつかり合ったときに、果たしてどういう関係性が可能なのか、というのが一つのテーマでした」

    この本で描かれるのは、中年のゲイ・義明と、彼よりも遥かに若いハーフの男・ユアンとの同性同士の恋愛だ。ユアンよりも遥かに多く人生経験を積んだ義明は、ユアンとの恋愛において圧倒的に"優位"だ。加えて彼には忠士という実質的なパートナーがいて、20年の歳月の間に少しずつ積み重ねてきた彼との関係性をユアンにちらつかせる。ユアンは始めはそれに耐えられな

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    2014年03月27日
  • 魔女の息子

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    ネタバレ

    40代を目前としたフリーライターでホモの和紀と、父の死後に抑えられていた感情を爆発させるかのように積極的に外出をする高齢の母。

    寂しさを酒と暴力で紛らわしてあっけなく死んでいった父。
    ボーイフレンドのあちらさんの進行する痴呆を見守る母。
    編集者のかおりの未来のない恋愛ごっこ。
    元ソープ嬢で女性実業家の滝ノ川銀子。
    理想的な家族を演じる兄。
    夜な夜なハッテン場に通い詰めて肉体の快楽だけを求め続ける僕。

    ハッテン場に行った時点でエイズに感染する確率は高いだろうに、いざ感染しているかもしれないと恐怖に怯えるとは、矛盾、、、、

    活発な母とあちらさんの老人カップルのおぼつかない旅先での雰囲気とかが

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    2014年01月15日
  • 魔女の息子

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    ネタバレ

    40前のゲイのフリーライター和紀が、老母の恋愛、亡父との確執、ハッテン旅館でのある男との出会いなどを通して、いろんなものに向き合おうとするお話。

    第40回文芸賞受賞作。

    ゲイのライターが主人公であって、ハッテン行為や同性を好きになったり、HIVが身近な問題であったりと、ゲイ独特の世界・生活が描かれている。男性同士の性描写は男性読者の中には不快感をもつかもしれないが、私はすんなり読めた。官能的な文章じゃないから、それに慣れていない人でも大丈夫だと思う。

    これら以外に関しては、性的指向にかかわらず自分自身に置き換えられる物語になっている。

    ジョン・レノンの“イマジン”が露骨すぎるか

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    2011年06月26日
  • 魔女の息子

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    多分、作者の自伝なんだと思うけど、ゲイの孤独がしみじみと伝わってきました
    ゲイじゃなくても孤独なひとは孤独

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    2009年10月04日
  • 新宿二丁目(新潮新書)

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    <目次>
    序章
    第1章  ”ゲイバー”はいつ日本にできたのか
    第2章  伝説のゲイバー・ブランスウィックの二つの顔
    第3章  「二丁目」のきっかけとなったイプセン
    第4章  淫風の街
    第5章  よそ者たちの系譜
    第6章  零落の時代
    第7章  「要町」と呼ばれたエリア~分断された街
    第8章  ゲイバー街の成立条件
    第9章  ハッテン場の持つ磁力
    第10章  アングラ文化の渦中で花開く
    第11章  平凡パンチの時代
    終章

    <内容>
    日本のゲイ文化について、新宿二丁目を核としながら紐解いていく。大変まじめな分析で、著者もそちらの人。資料の読み解きやインタビューをくりかえし、丁寧に説いていく(解い

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    2022年01月04日
  • 魔女の息子

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    発展場、エイズといったゲイの日常よりも母親やBLにハマってる姪、滝ノ川銀子など周辺の人物に興味が湧く

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    2021年08月11日
  • 欲望問題 人は差別をなくすためだけに生きるのではない

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    ネタバレ

    予想より興味深く読めた。差別問題ではなく欲望問題というところや、正義があると思っていても社会に許容されることとのバランスというか取り組みが必要という点は面白かった

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    2020年10月15日
  • 魔女の息子

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    ゲイの性描写がかなりハード。びっくりした。
    でも心の成長の話。
    人との繋がりへの一歩を踏み出すこと。

    主人公のキャラはあんまり好きじゃない。

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    2014年05月17日
  • 魔女の息子

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    中学だか高校かに読んだのは覚えていたので再読。ちなみに前回読んだときは、ゲイのセックス描写がけっこう詳細だったこともあり、「ゲイのセックスが書いてある作品」という記憶しかなかったが、今改めて読んでみると、主人公のゲイ関係だけではなく、主人公の老いた母親、上司の恋愛関係の変化が書かれている作品だった。ゲイのフリーセックスにおける関係の希薄さ。老年の母親の恋人関係、キャリアウーマンと中年男の煮え切らない関係・・。それら関係のいろんな形の終わり。主人公、暗闇の中の顔も分からない相手とのその場その場のゲイ特有な希薄な関係の終わり、老年の母親の彼氏の年齢に抗えない障害による終わり、そして上司の先の見えな

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    2013年04月19日
  • 百年の憂鬱

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    「坑道を潤すような残響がある」とか言う20歳の男の子にはリアリティを一切感じない。最後のオチは私小説らしくていい。

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    2013年02月23日
  • 欲望問題 人は差別をなくすためだけに生きるのではない

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    概要
    本書は,「差別問題」を「欲望問題」と捉えることが適切であると至った過程を,著者の経験にもとづいて語る『第1章「差別問題」から「欲望問題」へ』,著者自ら提出した<性別二元制>という図式や,ジェンダーフリー論に対する批判的(再)検討を加えた「第2章 ジェンダーフリーの不可解」,X-MENを題材にある特定の共同性やアイデンティティについて論じた「アイデンティティからの自由 アイデンティティへの自由」の3章構成。

    2010年6月11日発行の.book版 Ver.1.1

    感想
    ジェンダーやセクシュアリティ,差別の問題は,私自身にとって「痛み」を伴うような切実な問題ではないので,著者があとがきで

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    2013年01月27日
  • 欲望問題 人は差別をなくすためだけに生きるのではない

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    「欲望問題」についてもっと読みたかった。「ジェンダーフリー」に関する議論が結構長い。つながってはいるとしても。

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    2010年08月28日