小夏かずこのレビュー一覧

  • 愛のとばり

    Posted by ブクログ

    頻繁に連絡を取り合う兄弟でもなかった兄からの突然の電話。
    良からぬことだろうと察しはつく。
    兄が電話越しに何度もため息をつくのは、奈津子が3年半ほど前に自殺未遂をしたことからの気遣いだろうか。
    話の内容は、父が胃癌ですでに手術も終えて自宅に戻っているとのこと。
    聞けば、あと半年らしいと。

    そこから奈津子は、少しでも父といる時間を作ろうと帰省するのだが…。
    感情的で自分勝手な母にうんざりしたり、自分の夫は子どものようにわがままで…。
    弱っていく父を見ながらなすすべもなく、自分の想いもうまく伝わらない。
    そんな状態が父が亡くなるまでずっと続いて…。


    読んでいて、家族とはなんとややこしいものなのかと思ってしまう。
    そして、とても難しいものであると。
    煩わしささえ感じるときもあって、だが縁をきるわけにはいかず、亡くなるまで関係は続く。
    よほど他人の方が気楽では…と思ってしまう。
    そう思う自分になんて薄情なんだろうと嫌悪したり…。
    自分は、愛情が薄い人間なんだなと確認できるのが情け無い。

    奈津子の兄が言っていたことに
    人生はなぜこんなに困難に満ちているか、ということで人はみな学ぶために生きているということだと。

    人はそれぞれに運命があり、そしてなにかを学ぶために生まれてきているという。

    人はいかにコミュニケーションが大切かということを学べたとあった。

    そうかもしれない。
    きっとそうだろうと思った。


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    2023年05月23日