藤村いずみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
漫画的で入り込みやすいエンターテイメント性がありながら、医療現場に疑問を投げかけた作品。法律に守られた社会を生きる人間の露悪的な部分がまざまざと描かれる中、かたや社会の物陰から法律に悖る正義を遂行する主人公……単純な善悪で測れない人間の生き様には惹かれるものがありました。自分や身内が医者にかかった際に、お医者様や医療現場の仕組みに臍を噛む思いをしたことのある人はきっと私のように、元外科医の殺し屋・折壁嵩男に縋りたくなってしまうことでしょう。
ところで、嵩男の殺しのシーンなどにちょくちょく、えも言われぬ嫣然さを感じてしまうのがまた読んでいて愉しかったです。弱点なんかも愛おしく、わたしにとってはた -
Posted by ブクログ
藤村いずみの連作ミステリ短篇集『あまんじゃく』を読みました。
ここのところ、国内の作家の作品が続いています。
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親友の医師の死を隠蔽した医局への怒り、末期がん患者を救えなかった自分への怒り……医師の折壁嵩男は、自分と同じように医療に絶望した人たちを救う決意をする。
依頼を受け、悪辣なターゲットを半殺し、時には殺害し……
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2004年(平成16年)に刊行された医療サスペンス… テレビ東京系列でドラマ化もされている作品です。
■コンプライアンス
■フルコンタクト
■パターナリズム
■DOT
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Posted by ブクログ
ネタバレ仕事や手先は器用なのに生き様が不器用な元脳外科医の殺し屋。有能な医者だった彼が活躍するミステリー仕立ての社会派小説。
どんな業界にも歪んだ事情や黒い話はあるでしょうし、そういった暗部に紛れて美味しい思いをする連中はいるのだと思います。そして、それら煽りを食うのはいつだって業界で一番弱い存在になりますよね。医療の世界では、その弱い存在は取りも直さず「患者」に相当するわけで、この小説ではそういった患者たちの無念を晴らす話もそれなりに出てきます。そういう話だけでないのは読者を飽きさせない工夫だと思ってたんですが、今から振り返ると伏線といっても良かったのでしょうね。
悪役として出てくる医者みたいなの