曾根元吉のレビュー一覧

  • 日々の泡
    日々の泡は、コリンっていう主人公とクロエっていう肺に睡蓮が咲く病気にかかった奥さんと、そのほか二組のカップルの話で滅茶苦茶悲痛だった…………
  • 日々の泡
    大学生の時に初めて手に取ってから、何度も読んでいる。美しい幻想、まやかしの世界、どこまでが現実かわからないけど、恋する気持ちだけは本物なんだよね。初めはほの明るくパステル調で色彩豊かなのに、どんどん光が失われて最後は白黒の線描画という感じ。
  • 日々の泡
    初めて読んだのが原文という、今思えばかなりの無茶だったなぁ…

    改めて日本語訳を読んだ時、不安だった原文の解釈がそれなりに外れてなかったことに逆に驚き、その時たまたま出ていた課題の仏作文を仏〝小説〟にして提出した(これもかなりの無茶だ)くらいの衝撃を受けた。
    変な転換だけど、それくらい挑戦的な文章に...続きを読む
  • 日々の泡
    頭の中が色んな絵でいっぱいになった。家が丸くなるのとか、小さくなって行くのはとても微笑ましくて悲しかった。いい作品
  • 日々の泡
    まず、描写が綺麗、美しい。脳内でその綺麗な映像が細かく、鮮明に思い浮かべられるし、その映像が本当に綺麗。文章力に、脱帽です。ところどころの表現はすこし非現実的で、けど内容はどこか現実味を帯びているような表現だなと思いました。
    アリーズとシックの結末、またハツカネズミのこと、残されたコランのこと。すべ...続きを読む
  • 日々の泡
    幻想と皮肉と遊びと悲壮の入り交じった、美しいメルヘンです。根底に暗澹とした「不条理」が見え隠れしているところなんかは、いかにも当時のフランスらしい感じもしますが、簡単にフランス文学と一括りにはできないほど力強い作品だと思います。耽美で独特な描写は、このボリス・ヴィアンでしか見たことがありません。

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  • 日々の泡
    再読。もう何度読み返してるかわからない大好きな小説
    というか世界でいちばんこの本がすき
    あまりにも道化で可笑しいことばかりがあふれるのにどうしてこう悲痛なのかしら
    本当に悲しいことは真面目なもののなかよりも、ふざけたものの中にあるのだと思う
    幸せな時は全然長続きしないなぁ
    そんなことないっていうひと...続きを読む
  • 日々の泡
    純粋な愛に生きる登場人物たちの有り様が、幻想文学としての舞台装置と相まって不思議な読書体験を与えてくれる。市井の嫉妬や撓んだ幸せみたいな凡庸さから逃れたく手に取るなら、在り来たりな現実を遠ざけてくれる優れた非日常の媒介。
  • 日々の泡
    読み始めと読み終わりでは全然印象が違う小説。

    最初はシュールだなあ、なんて笑いながら読んでいた。
    けれども、現実と非現実が絡み合い混じりあうように紡がれる文章が、どんどん笑えなくなってくる。
    シュールというよりサイケデリック。

    好き勝手に生きているように見えて、生きていくための手段を全くもたない...続きを読む
  • 日々の泡
    容姿端麗、有り余る資産、そつのない社交性。
    コランの優雅な愛と凋落の日々。
    シュールで戯画的な描写。
    美しくもあり、残酷でもあります。そして滑稽なのです。
    美しい悲痛な愛の物語の裏に、持たざる者の鬱屈を、シニカルな視線を感じます。
    愛を失い貧乏になったコランは無邪気に問います。
    何も悪いことをしてい...続きを読む
  • 日々の泡
    最初のうちは真面目に読んでいたので、時折挿し込まれる不可解な表現に戸惑った。
    が、この独特な非現実性を理解すると、それを楽しめるようになった。
    豊かなリリシズムと、優しさと、残虐性の潜む大人のファンタジー。
    愛する人を失いたくなくて気も狂いそうなのに、それ以外の人間をあっけなく殺してしまうのだ。
  • 日々の泡
    全く同じ内容であるという「うたかたの日々」(ハヤカワepi文庫)は翻訳文に抵抗があって、全く読み進めることが出来なかった。
    しかしこの曾根元吉訳の「日々の泡」(新潮文庫)は問題なく読むことができた。日本人作家でも合う合わないがあるから、それの違いかな?
    肺に睡蓮の花が咲く奇病に冒されたクロエと、彼女...続きを読む
  • 日々の泡
    前衛的とか不条理って、こんな感じ?

    けっこう好きです。
    部屋がシャボン玉みたいに変わるところ。
    銃の育成
    心臓抜き
    最後のねずみの自殺方法
  • 日々の泡
    初めてのシュールレアリズム文学でした。
    最初は、コミカルな印象を受けて、本当に面白いのかと思いながら読み進めました。
    中盤、斜陽文学の感じが出てきたので、谷崎の細雪に近いものを感じました。
    そして、終盤の急展開がまさに悲劇でしたね。読書会では意見が別れましたが、私はラストがとても強く印象に残りました...続きを読む
  • 日々の泡
    途中までは機械的に読んでいたけれど、後半、坂を転げ落ちていくように不幸になっていく様に引き込まれた。強烈な印象。
  • 日々の泡
    こういうの好き。駆け足で読んでしまったから、もう一度、ゆっくり再読したい。

    翻訳がちょっと、ずれているというか・・・。「ナイロン靴下」ってストッキング??他にも随所に、ええっ?と思うような表現で、夢の世界から現実に一挙に戻ってしまうことがあったのがとても残念
  • 日々の泡
    とても素敵な小説だった。水道管のうなぎ、カクテルピアノ、肺の睡蓮などシュールな描写が散りばめられていて「!!?」となるけれど、読むほどにそのきれいで悲しい世界観に吸い込まれていく。静かな狂気がたくさん。きらきらしたものもたくさん。
  • 日々の泡
    フランス語がわかって原著で読むのが本当は一番いいんだろうなーって感じで読んでた。んだけど、いびつさや暗さ、美しさ、青々しさがいい気持ちにさせるステキな純恋バナシ。肺に睡蓮なんて…いいネー。きれいだけど怖くて。肉芽腫とかそんなんじゃあないんだナ
  • 日々の泡
    言葉遊びに溢れた幻想的な世界で刹那的に生きる若者達。儚さの中にしかない美しさを知っているからこそ、人々はこの物語を愛するのでしょう。
  • 日々の泡
    毎日おしゃれをして、料理人の手の込んだ食事を食べて、乱痴気騒ぎをしている。仕事もしていない若い主人公がお金がなくなったらどうなるのか心配になる。しかもコラン夫婦は労働を馬鹿にしている。まるで『アリとキリギリス』のキリギリスみたいだ。
    妻のクロエが倒れたと聞いて慌てているのはわかるが、スケート場の案内...続きを読む