佐道明広のレビュー一覧
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自衛隊と平和主義や日米安保、政治との関係史など。
以下、本書より。
【あり得ない専守防衛】
専守防衛は、平和憲法下における日本の基本的防衛方針を示すものとして定着した。
この言葉自体は、国会審議では自衛隊創設期から現れているが、本格的に使われるのは60年代。
戦後平和主義の下で日本の防衛に関する姿勢を説明する便利な政治用語として使われた。
やがて「防衛白書」でも使用され、日本の防衛政策の基本方針として定着していく。
ただ、軍事戦略の用語として「専守防衛」という言葉はない。
「戦略守勢」ならば存在するが、相手からの攻撃を待ち、しかも最小限度の抵抗しかしないというのは軍事戦略上は考えられない。
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Posted by ブクログ
防衛省・自衛隊の歴史がまとまっている。
警察予備隊、保安隊、防衛庁、防衛省として、内外の政情に翻弄されながらも今日に至るまでの概略がまとめられている。
第○次防衛力整備計画、中期防衛整理計画、防衛大綱といった計画、方針が煩雑であるが計画された経緯を知ればその意味が分かる。また日米安保条約における、ガイドラインなどの説明もあり個人的に頭の整理になった。
この本は総論的に読んで各論としては、『戦後日本の安全保障』がオススメである。防衛大綱やガイドラインといった用語の中身を理解することができる。
また、防衛省・自衛隊に関する人物であれば『防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史』が分かりやすい -
Posted by ブクログ
本書の著者は政治史・外交史を専門とする研究者である。
決して読みやすい本とは言えないが、2015年に紛糾した日本の安全保障問題の全体像を把握するにはオススメできる。
強行採決された安保関連法案については「戦争法案だ」「戦争法案はレッテル貼りだ」という全く噛み合わない状態が続き、その隔たりは今のところ埋まりそうにない。
本書はその間を埋めるのに役立つ1冊だろう。
自衛隊の存在の必要性を完全に否定する人は多くないだろう。
東日本大震災をはじめ、災害救援などでの活躍は多くの命を救った。
実際、2015年1月の内閣府による調査では92%以上の人が自衛隊に良い印象を持っているそうだ。
しかし、 -
Posted by ブクログ
佐道昭広『自衛隊史 防衛政策の七○年』(ちくま新書、2015年11月)税別900円
中京大学総合政策学部教授(日本政治外交史)の佐道昭広(1958-)による自衛隊をめぐる戦後防衛政策の概観。
【構成】
第1章 「再軍備」への道 防衛政策の形成
1 警察予備隊から自衛隊へ
2 戦後防衛体制形成期の問題点
第2章 五五年体制下 防衛論の分裂と高揚
1 日米安保条約改定と自衛隊
2 戦後平和主義と自衛隊
3 年次防の時代
4 「中曽根構想」と自主防衛論
第3章 新冷戦時代 防衛政策の変容
1 「防衛計画の大綱」策定
2 「ガイドライン」の成立
3 総合安全保障論とは何か
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