今の私にはピッタリの本であり、よく考えられて作られた作品です。
最初は自分が属する世界とは違う金融業界で、女性差別があからさまにあるという設定に、私とは違うか?と思いました。
でも読み進めるうちに、女性がまじめすぎて組織の本当のルールにしたがえないという課題を見出し、これはまさに私が日々直面していた
...続きを読む課題だなと気づきました。
また出世をしていくことは、自分だけの希望を満たすものでも、自己実現だけのものでもなく、一つの役割として自分が望まない道にも出なくてはならないということ、これでいいんだろうかと悩むものであることが非常にうまく書かれています。
男性はどうやって乗り越えていくんでしょうか。結局同じなのでは?ただ社会から女性のくせにと言われないだけでは?と思いました。
また、最後のカンボジアでの話。作者の意図がよくわかりました。
何一つ割り切れるものはないこと、仕事だけに閉じこもっていてはわからない世界は世の中にたくさんあること、主人公が視野を広めるのに役立ちました。
私は、幸運にも子育てにより、キャリアだけを追求することができない身分であり、そのことが仕事上の迷いを吹き飛ばしていることに改めて気づきました。
この小説はすべての働く男女、上を目指す男女に共感できる秀作です。