高見幸郎のレビュー一覧

  • 妻を帽子とまちがえた男
    個性と多様性の本。

    冒頭にウィリアム・オスラーの「病気について語ること、それは『千夜一夜物語』のようなものだ。」という言葉が載っている通り、(本人や周囲の人には辛いこともあるだろうけど)出来の良い短編を読んでいる様な驚きや発見がある。

    身体の一部であったり神経や脳の機能が喪失したり過剰だったりで...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    人間をまず”普通の人間”たらしめている要素とは何なのか、また人間の本質について考えさせられる良著。
    この本はジャンルとして全くSFでもなく、量子力学でもないが、『酔歩する男』の血沼や小竹田のことを考えてしまう。
  • 妻を帽子とまちがえた男
    何度繰り返し、この本を、読んだ事でしょう。
    人間の、精神に、興味がありました。自分が、精神の病を名付けられてからは、作者 オリバー・サックスの、変わった人々に対する温かいまなざしに、すがるような思いで、読みました。
     訳者 高見幸郎氏が、あとがきで、こう書いています。
     たしかにこれは、筆者の言うと...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    "ユニークな視点で、様々な症状を抱える患者たちを暖かいまなざしで見つめた本。
    脳への障害は、様々な症状を患者にもたらす。

    突然音楽が鳴りやまなくなったり
    自分の手足を自分のものと思えなくなったり
    即座に素数を答えることができる自閉症患者

    などなど
    人間という生き物、脳機能などの謎を浮き彫りにして...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    脳は物語を紬ぎ、私達はそれを生きる。物語は無数にあり、それらはあくまで主観で語られるから、いつの時代も、どんなに科学が進んだとしても、他人の物語というのはあくまで抽象概念なのだ。だからこそ、魅惑的であり続ける。脳神経科医が彼の患者の症例を物語としてナラティブする、真摯で、そんな人の物語を愛する暖かい...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    自然を見ると心が落ち着く理由がわかった。人は自然に対しては自分を作ったり、着飾ったりする必要がないからだ。このことからわかるように自分を作ることがいかに自然に反したことであるかがわかる。精神障害者の物語からたくさんの大事なことを学ぶことができた。
    また、障害の中には必ずしも外見にあらわれるものばかり...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    『レナードの朝』で有名なオリヴァー・サックスさんの著書。
    ここには、神経性の色々な病気の症例が載っている。割と難しい説明もあるのだけれども、生命というもの、脳と体の仕組みというものの複雑さや不思議さ、案外アナログなことに驚かされる。
    例えば、左側が、物理的にも概念的にも認識できなくなってしまったおば...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    妻の頭を帽子と間違えてかぶろうとする音楽家、からだの感覚を失ってしまった若い母親――不思議な症状をかかえる患者たちと、サックス博士の驚きと愛情に満ちた医学エッセイ。

    まず言いたいのは、人間の脳と体って、なんて不思議なんだろう!ということ。
    ここに収められた24のエッセイでは、どれも常識を覆すような...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    普通とは、健常者とは何なのか。
    幸福とは何なのか。
    子どもと一緒に暮らしている人にもおすすめ。

    チョムスキーと合わせて見ると一層考えさせられる。
  • 妻を帽子とまちがえた男
    ずっと読みたいと思ってたけど、なかなかページをめくれなかった本。「書店員 波山個間子」さんの漫画に出てきてて、興味をそそられて、ようやく読み始めました。他の人の読み方や感想をきいて、ぐっと本との距離が縮まりました! そうでなかったら、また違った感想だったと思います。
  • 妻を帽子とまちがえた男
    「レナードの朝」原作者による様々な神経性疾患の病例の記録。治すということではなく、どうその状態と折り合いをつけていくのかが大変興味深かった。平日は投薬、週末はあえて飲まずにエネルギッシュな演奏をするトゥレット症候群ドラマーの話が印象深い。
  • 妻を帽子とまちがえた男
    専門的な言葉もあるが、知的障害を病的な見方ではなく、個性として捉えた作品。家族では難しい見方かもしれない、第三者だからこそ接し、その才能を発掘できるのかな。人間って、つくづく感覚=具体、現実の中で生きる生物なんだと思った。
  • 妻を帽子とまちがえた男
    脳神経科医オリヴァー・サックスによる、1985年発表の医学エッセイ。
    サックス教授は、自らの患者の脳神経に起因する奇妙で不思議な症例を綴った多数のエッセイ集を発表しているが、本作品は、後に映画化された『レナードの朝』(1973年)に次ぐ代表作のひとつである。
    本作品では、症例を大きく「喪失」、「過剰...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    この本に出てくる患者達のほとんどは病気に苦しみながら、完治する見込みがない。
    悲しくなってくるが、病気をむしろ見方に付けている例も少し出てくる。
    TVでこのような不思議な症状が紹介されているのを見て、生まれつきのものだと思っていたが、過度の飲酒、薬、事故、脳卒中、熱病などによるものが多く、誰にでも起...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    小川洋子さんがすすめている本ということで、思わず買ってしまいました。医者のエッセイで、神経とか脳とかに障害のある不思議なものの見方になってまった患者さんがたくさん出てきます。現実にいる患者さんのことなのでなんというか、病院の待合室でどこどこのなんたらさんはこんな病気でさぁみたいなのりで読めます。あま...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    症例集。特に惹かれたのが、双子のはなし。知能指数は低くてあまり人ともコミュニケートできない二人の遊びはお互いに8桁の素数を言って微笑みあうこと。あと何年前の何月何日って言うと曜日を教えてくれるという。でも算数とかできない。あと、マッチを111本落としたら、37と三回即座に言った。すごい演算装置。プラ...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    名作『レナードの朝』にて名をとどろかせた、オリヴァー・サックス医師によるノンフィクション。
    医師である彼の元にやってきた患者達の、『奇妙』な話が24話収録されている。

    脳内に病を抱えながらも、理性的に生きようとした女性が、
    幻の中でインドに帰っていく話(「インドへの道」)と、
    数学の世界に二人で生...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
    頭に障害のある人たちの話。
    奇人変人の話としても読めるが、読んでいるうちに著者の優しい眼差しに感化されて、一人ひとりが自分と同じ人間だと思えてくる。
    困難への向き合い方、対処の仕方が人それぞれで、それが人の個性として感じられる。
  • 妻を帽子とまちがえた男
    神経科の医師が出会ったさまざまな患者に関して、素人にもわかるように記載されている。
    神経の異常によるからだへの影響と、それを理解できないじぶん。

    喪失、過剰、移行、純真のカテゴリでエピソード(症例)と解説(後記)。
    視覚や嗅覚の変化、ひとがらの変化。具体性。コルサコフ症候群、トゥレット症候群。
    C...続きを読む
  • 妻を帽子とまちがえた男
     脳神経学的に特異な人々を24のエピソードにまとめた作品。

     人間の脳の働きにも驚くが、著者(訳者?)の、患者に対する愛情にあふれた視点が読んでいて心地よい。