武永賢のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初に断っておくが,サービス貿易とは何の関係もない本である。どういう本か評するのは難しいが,随筆のようなもの。しかし,期待するような,亡命して医師となり日本国籍を取得したベトナム人のそれではない。
著者自身が述べているが,おそらく私の親が読んでも著者に対して「あなたは本当にご両親に大事に育てられたのね」というだろう。その言葉の裏には,なかなか自分ではなしえない,心の持ち方を含めた何かを供えていることへの賞賛であり,「家族」という社会におけるパターンメンテナンス機能が働いていることを感じさせる,今の日本社会から失われつつある「古き良き何か」が感じられるからだろう。
だからといって,本書は不 -
Posted by ブクログ
著者は1965年ベトナム生まれ。九人兄弟の八番目。
ボートピープルとして亡命を試みるも7回失敗し、
ようやく1982年に合法的に日本に移住。94年に医師
国家試験に合格、そして日本に帰化。
…というプロフィールと、「日本人が…」というタイトルで
本のおおよその中身は見当がついたが、読まなければ
いけないという何か使命感のようなものを感じて、迷わず
手に取った一冊。
本書の中で筆者が強調しているのは"自分の経験は
自分にとって、かけがえのない宝物であっても、他人に
とっては何の意味もない場合が多いと、私は信じている。
そのせいか、自分の経験や考え方を決して他人 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
わたしはボートピープルだった―。
サイゴンに生まれ、七回の亡命失敗の後に合法難民として日本に移住。
その後、言葉の壁や経済的苦境を乗り越えて医師となった著者の目に、日本はどう映っているのか。
蛇口をひねれば水が出てくる、親子が一緒に暮らせる、健康保険が存在している…日本には私たちが気づいていない数多くの幸福がある。
波乱に満ちた人生を送ってきた著者が日本を見つめる、優しくそして鋭い眼差し。
[ 目次 ]
水の幸福
ミネラルウォーターの価値
塾に通いたかったわたし
貧乏に感謝するとき
果物と友人の選び方
親と子は与えあう
略奪の誘惑
ジャングルで暮らした父と姉
日本という異国
東