中村滋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「スマートメディア」という考え方は、
一周して情報の在り方の根源に回帰しているものだと感じた。
技術や流通が整備される前はマスは存在せず、書物は手で書いた部数しか存在しなかった。後にマスメディアを通じて多くの人が知り得た著名な作家であっても当時はごく一部のコミュニティの中の存在。
人々は身近なところから知り得る情報から取捨選択すれば良かったし、余計な情報は入って来なかった。
もちろん当時と環境は違うものの、マスを拒めば、自分の必要な情報をある特定のコミュニティの範囲内で取り込むことになる。
それは、ある意味、技術や流通が整う前の状態に近いのではと感じる。
ただ決定的な違いはそれがローカルな -
Posted by ブクログ
近世編はヨーロッパを中心として進んでいく。中世において三角関数が登場したにも関わらず、ルネサンスを迎えるまではただ金勘定のための技術でしかなく、しかも卑しい物として扱われていたためむしろ衰退してしまっていたというのには驚かされる。その一方で17,18世紀には負数、虚数、複素数、無限級数などが一度に開花したのも驚きである。残念ながらなぜこのように急激な発展をしたのかについては直接触れられていないが、一つには数学という学問が広く学ばれるようになったことが原因だろうこと思う。近代教育の祖であるペスタロッチの名が度々登場し、教育制度についての考察にかなりのページを割いていることから著者もそのように考
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Posted by ブクログ
数の数え方から始まるこの本。最終章では三角関数が登場している。ここまで紀元前1600年頃から1300年頃と3000年ほどかかっている。しかもまだ割り算のやり方が定式化されていないだけでなく、ヨーロッパではようやく位取りが使われる、つまりやっと0が用いられるようになったという状況である。この先、微積分が発明されるまでまだ数世紀かかることを考えると、非常にゆっくりと発展してきたことがわかる。また、いずれの地域においても、古い時代では定理に対する証明がほとんどされておらず、問題と結果のみが記されているというのはおもしろい。古代の社会のあり方からすると、数学が宗教的な側面を持っていたのではないかと思