宇都宮芳明のレビュー一覧
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ネタバレ1795年の本です。カントのこの考え方が、国際連合の元になったと言われています。
難しい命題ではありますが、薄い本で手に取りやすく、よくまとまっていて読みやすいです。
人が一緒に平和に生活するというのは自然ではなく、自然状態=戦争であり、だからこそ平和とは創設しなければならない
という考えが元であり、甘い理想論ではありません。
争いが起きる方が当たり前であり、「だから平和など意味がない」とするのではなく
「永遠平和」を実現するために漸次努力し近づけていくものという思考は、
闇雲に平和を叫ぶ現実的ではない平和主義者の思考よりも共感できました。
軍があるということは、他国を戦争の脅威に -
Posted by ブクログ
興味深い作品ではありますが、如何にもモダンな進歩主義で自分の肌に合わなかったのでこの評価。あくまで古典であって、現役の思想ではないと感じました。
なお、自分にとって初のカント作品なので、理解が足りていない可能性は大いにあります。
国際的共同体が成立する必然性についての論証は、論理展開としては納得できるもので、瞠目します。
しかし、前提となる民衆の理性に対する期待が過度であること、社会と法の善性に期待しすぎている(付属における公表性の原則とか)ことから、論理的ではあっても現実的ではないのかなと考えます。(もちろん今後成立する可能性もなくはないですが)
この辺りは、絶対王政全盛期が終わり、フラン -
Posted by ブクログ
○6つの条項
1.将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条項は、決して平和条約とみなされてはならない。
2.独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収、または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できるということがあってはならない。
3.常備軍は、時とともに全廃されなければならない。
4.国家の対外紛争に関しては、いかなる国債も発行されてはならない。
5.いかなる国家も、他の国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない。
6.いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為