宇都宮芳明のレビュー一覧

  • 永遠平和のために

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    カントの晩年の代表作である「永遠平和のために」、やっと読むことができました。本書は訳注や解説を含めても150ページ程度なのであっさり読めるかと期待していましたが甘かったです。一行一行噛み砕きながら読み進めたものの、カント特有の婉曲的な表現なども多数散りばめられていて苦戦しました。そして本論よりも付録を読み解くことにさらに苦戦し、これは全体の3割くらいしか理解できていないのでは?と怖れを抱いていましたが、最後の訳者による解説によって理解度が一気に8割くらいに上がった気がします。おかげさまで腹落ちしてきた感じがするのですが、少し時間を空けてまた最初から一読しようと思っています。単なる理想像としての

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    2023年04月30日
  • 永遠平和のために

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    ・カントの永遠平和論。国家間の連合による世界平和構想。
    ・カントは、社交的だったという人物評があるが、カントの平和論もさもありなんという感を覚えた。
    ・自分は、人と仲良くするのが苦手なので、カントの議論のようにうまくいくのかと思った。

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    2022年12月03日
  • 永遠平和のために

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    カントの実践哲学を現実の政治に当てはめて考えるとどのようなことを論じうるかを、カント自身が示した名著。

    カント自身が本書のタイトルを「風刺的」と呼んでいることに象徴されるように、永遠平和など実現不可能な絵空事と見なされがちである。
    カントはただ理想を語っているのではなく、人間の本性を「利己的」とし、法的状態が構築される以前の自然状態を「戦争状態」とした上で、地に足の着いた議論を展開している。

    人間が利己的で、各国家が言語と宗教によって互いに隔離されているということは一見戦争の種であるように思われるが、カントはむしろ、そのような現実があってこそ、平和は構築可能だとする。人間の利己性は社会契約

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    2016年10月04日
  • 永遠平和のために

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    第二章がかなり衝撃的。「自然状態は、むしろ戦争状態」「平和状態は、創設されなければならない」。おそらく「永遠平和」の理念、思想が、これらの言葉に凝縮されている。まるで第一次世界大戦と国際連盟創設を予言していたかのように。

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    2016年01月28日
  • 永遠平和のために

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    永遠平和のためには無味乾燥な法律だけでなく、道徳的な哲学者の意見も政治に取り入れられるべきというカントの願いが込められている内容。哲学や道徳に対する重要性を改めて認識、確認することができました。

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    2015年03月19日
  • 永遠平和のために

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    1795年に公刊されたカントの小著。おそらくカントの政治論では最もよく知られている著作であり、国家連合体制の提案など今日の国際関係構想の源泉ともなる提案が多々含まれている。バーゼル講和条約を諷刺するかのように、予備条項、確定条項、秘密条項、補説という構成をとる。各々の小論のなかで、これまでカントが展開してきた道徳論に基づく義務としての平和達成を、目的論に基づく平和達成の予言によって客観的実在性を補完するという全体構成をとっている。一国での共和制実現、国家間での国際法の遵守、交際権としての世界市民法など、18世紀末に書かれたとはいえいまだに政治的に課題とされうるような提案を余すところ無く展開して

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    2013年01月24日
  • 永遠平和のために

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    カントの平和論が「ひとりひとりの心を変えれば世界は変わる」にとどまらない単なる理想論、単なる理念的なものではないことが分かる。

    「一緒に生活する人間の間の平和状態は、なんら自然状態ではない。自然状態はむしろ戦争状態である。」
    と現実を受け入れ認めつつ
    「それゆえ、平和状態は創設されなければならない」
    と、その現実を国家間において、具体的に様々な条項を提案することで永遠平和を実現しようとしているのである。

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    2012年10月24日
  • 倫理学入門

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    放送大学のテキストとして執筆されたということで、非常にまとまりのある、読みやすい書籍である。「人間とは何か」の議論は、「人間の本性」と「人間らしさ」とに分けて考察し、倫理学が問題にするのは後者であると論じる。そこから、自然主義、歴史主義、実存主義について概説し、最終的には人間を「人と人との間」として捉えたうえで、全ての人間に対する尊厳から導かれる「人類倫理」を主張する。書名の通り、倫理学の入門書として優れていると考える。

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    2024年03月25日
  • 永遠平和のために

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    カントの政治哲学(?)、国際法のありかた、政治と道徳(倫理)のあり方などが書かれている。

    難しいけど、完全にわからないわけではない。

    現在にも十分通じる部分が多くあるように感じた。

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    2022年04月18日
  • 永遠平和のために

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    イマヌエルカント 永遠平和のために

    永遠平和のための9条項(予備条項6と確定条項3)を論じた本。一つの世界共和国を作るというより、それぞれの国家の独立を維持しながら、平和連合体制を作るイメージ

    ソンタグの「世界平和を信じる人間などいない」という諦めの論調より、カントの「世界平和のために9条項に着手せよ」というメッセージの方が 読む価値がある。 

    永遠平和は人間の利己的傾向から自然に導かれるとする第一補説を入れたあたりが、永遠平和が空想でなく実現可能であることを証明したいカントの哲学者としてのプライドを感じる

    9条項の中で最もハードルが高そうなのは「常備軍の全廃〜自衛軍は認めるが、段階的

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    2022年03月15日
  • 永遠平和のために

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    永遠平和のための6つ条件:(第1章)予備条項
    殲滅戦に突入するのを防ぎ、永遠平和の展望を開くための条項

    1. 将来戦争の種が保留された平和条約は平和条約とみなされない
    2. 独立国家の相互不可侵性
    3. 常備軍の撤廃
    4. 戦争国債の禁止
    5. 他国への不干渉
    6. 国家間における信頼を損ないうる行為の禁止

    3の常備軍の撤廃は最も有名な条文。常備軍の存在が先制攻撃の原因となり、かつ国家が人を殺したり、殺されたりするために人を雇うのは、人間性の権利に反する。後者はカントの定言命法からも帰結する条項。ただし現在のスイスの国民皆兵のような自衛措置は認められる。

    予備条項を実現するための3つの条

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    2021年10月02日
  • 永遠平和のために

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     先日防衛政策に関する本を読んだ際に引用されていたため購入した。NHKの「100分de名著」でも2016年に紹介されていたそうで、副読本として同出版社のテキストも参考にした。岩波青を自分一人で噛砕く気力が無いのが情けないが、以下の感想は多分に同副読本の解釈に依るものが大きい(副読本に引っ張られてしまうなら、一度前知識なしで読んだ方が良かったかもしれないな)。

     平和主義と聞くと、どうしても理想主義的な印象を纏っているように見える。例えば核の廃絶を唱えれば、必ずと言ってよいほど核により世界大戦が起こっていないとする、パクス・アトミカ(核による平和)が反論として帰ってくる(妥当性は私には分からな

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    2019年04月09日
  • 永遠平和のために

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    "イマヌエル・カントさんが1796年に出版した本。
    第一章 国家間の永遠平和のための予備条項を含む
    第一条 将来の戦争をひそかに保留して締結された平和条約
    第二条 独立している国家も、継承、交換、買収または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できるということがあってはならない
    第三条 常備軍は、時と共に全廃されなければならない
    第四条 国家の対外紛争に関しては、いかなる国債も発行してはならない
    第五条 いかなる国家も、ほかの国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない
    第六条 いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互の信頼を不可能にしてしまうような行為をし

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    2018年10月17日
  • 永遠平和のために

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    集英社版で池内紀訳と比較してみた.原文を見ていないが,見ても上手く読めないが,宇都宮さんはある程度原文に忠実に訳しているのだろう.ただカントはユーモラスな人で難しいことをやさしく記述できる素養を持っていたはずだ.その点からすると,宇都宮訳はやや読みにくかった.

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    2018年07月25日
  • 永遠平和のために

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    どうもカントはお堅いイメージがまとわりついて離れないが、一哲学者として、かなりこの平和というものに思うところがあったに違いない。自身の築き上げてきた学問を土台にして緻密に、そして熱情をもって書き上げていると感じた。
    真の平和とは何か。平和のために争う、その皮肉に対して、彼は命ずる。そんなものは平和ではない、汝の普遍的な格率に従え。そのための法だ。
    道徳とは、平和とは、法律が与えるものではない。よく巷では、憲法改正だとか、なんだとかでデモをしているが非常にばからしい。そんなものが平和を守っているのではない。戦争したくないからしないだけなのだ。それは憲法でも法律でもなんでもなく、ひとりの人間の気持

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    2016年08月10日
  • 永遠平和のために

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    「哲学者が政治について何かを語ってもそんなものは机上の空論であり何をも意味しない」と言う政治家がいるが、そう思うのであれば、私が述べることにとやっかく言わないで欲しいという序文に惚れた。確かに「永遠平和のために」が書かれた当時、その意見が採用され直接的な影響があったわけではない。しかし、第二次世界大戦後、理念的には永遠平和を目指してヨーロッパ連合が設立されたことを考えれば、この書物が少なからず影響したのであろう。思想、あるいは政治哲学の存在意義を実感させられる。

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    2012年08月16日
  • 永遠平和のために

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    18世紀末、フランス革命を経た国際社会を背景に、「永遠平和の実現」についてのイマヌエル・カントが真面目に考察した国際平和理論と実践方法。以下、概略。
    【予備条項】
    1、将来の戦争の種がひそむ平和条約は単なる休戦
    2、独立している国家は互いに侵すことはできない
    3、常備軍は廃止。但し、防衛手段としてはOK
    4、戦争遂行を気安くさせるので戦争国債は禁止
    5、他国への不干渉
    6、戦争時の卑劣な戦略は和平時の信頼性を損なわせる
    【確定条項】
    1、各国の政治体制は共和制がベスト
    2、統一世界国家より諸国家の連合スタイルにすべき
    3、世界市民法は各国市民が友好である権利を保障
    【第1補説】
    自然の摂理によ

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    2012年04月25日
  • 永遠平和のために

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    講義の課題として読んだ。
    哲学に関しては素人であるため、内容には触れないレビューとする。

    たいしたページ数ではないとは言え、哲学書独特の言い回しは、やはり初学者の前に高く立ちはだかった。
    しかし、巻末の訳者解説が非常に分かりやすく、理解の助けになった。
    自分のような素人が読む順番としては、本文を分からないながらも一読し、解説を読み、納得した上で再度本文を読むことで、内容まで読み込めるのではないだろうか。

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    2011年09月06日
  • 永遠平和のために

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    カント本人が評している通り、哲学者の与太話なんだからいいだろ!的なスタンスで書かれたものではあるが、その内容が現代の国際法の根源をなす考えに与えている影響は大きい。

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    2011年05月15日
  • 永遠平和のために

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    宇宙には理性が貫かれている。人間は宇宙の一部なので、人間も理性に従って生きるのが自然だ。欲望や快楽に心を乱されてはいけない。あらゆる人間には等しく理性が宿っている。なので人類はみな等しい。全ての人間は1つのコミュニティに属するべきだ。特定のポリスに閉じこもるな。私はコスモ(世界)の市民だ。▼キュニコス派。制度や文化は人為的なもの。動物の生き方が理想。虚飾は捨てよ。自足せよ。ディオゲネス

    実践的な政治家は、国家の問題を考察するには経験が必要だと言い、私のような理論家をアカデミズムの世界の住人だといって見下す。しかし私が実現できそうもない理想を述べても、世間のことに通じている政治家にはなんの影響

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    2025年04月01日