中村白葉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
◎ただのバカな男の話?いいえ、我々の愚かさの話。
イワンのばか 他8篇を収録。
「イワンのばかとそのふたりの兄弟」
兄で軍人のセミョーンと同じく兄で商人のタラースとは裏腹に、イワンは妹と両親と働きながらひっそりと暮らしていました。
この3兄弟を悪魔が狙います。様々な策でタラースとセミョーンは悪魔に貶められてしまいます。さぁ、イワンは同じように悪魔にやられてしまうのか。それとも。
イワンに象徴されるような真面目で勤勉な者と、セミョーンやタラースのように儲けなど私利私欲に走る者とが対照的に書かれている。
自分の考えが、私利私欲に走って悪魔にやられてしまいそうになりませんように。 -
Posted by ブクログ
どれも味わい深い。
・イワンのばかとそのふたりの兄弟
軍事、経済の愚かさを説き、頭脳労働ではなく、肉体労働の価値を説く。
「ああよしよし!」の繰り返されるセリフが味わい深い。
・小さな悪魔がパンきれのつぐないをした話
余剰物と飲酒への皮肉。
・人にはどれほどの土地がいるか
欲望が人を滅ぼす。
・鶏の卵ほどの穀物
自分のことを自分でやる社会。誰かのため、ではなく。いかに今の世が、当たり前から外れているか。
・洗礼の子
どうすれば根本的に悪を滅することができるのか。含蓄深い。
・三人の隠者
祈り形にとらわれる、愚かさと本当の祈りの崇高さ。
・悔い改むる罪人
あれ、最後はなぜ開くの?こ -
Posted by ブクログ
中高生の頃から何度となく読んできた本。ロシアによるウクライナ侵攻の報道を見聞きするたびに、この本を思い出して、久しぶり読み返した。トルストイがロシアに伝わる民話を元に1886年に発表した「イワンのばかとそのふたりの兄弟」や個人的に大好きな「人にはどれほどの土地がいるか」など9つの短編が収められている。「イワンのばか…」は、今あるもので手にマメができるほどしっかり労働することの価値を描いていたし、「人…土地…」では、足るを知ることの大切さを教えていた。はたしてプーチンは読んだことが無いのだろうか。ロシアには人の道を教えてくれるこんなに素晴らしい物語があるのに。
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Posted by ブクログ
ロシア文学を読みたくなって。
宗教色の強い民話。
最初はあんまり意味わからないなと思ってたが、トルストイの思想がふんだんに入ってることに気づいたら、この話たちを通して言わんとしてることがなんとなく分かってきた。
真の芸術は宗教的感情を土台として一般の民衆にも広く理解される普遍的なものでなければいけない、というトルストイの主張から「民話」という形としてうまれた。
たしかに少々説教くさい部分はあるものの、努力するものが報われ、労働することや罪を償うことの大切さを平易な文章から感じることができる。
大人になってからもなるほどと人生を悔い改めるものになるには違いないが、確かにこれは子供にも読ませた