戸塚七郎のレビュー一覧
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アリストテレスは、弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義しており、本書では聴き手を如何にして説得するかを体系立てて解説された書籍である。本書は、説得の三種(3手段)とされる①人柄にかかっている説得、②聴き手の心が或る状態に置かれてること(感情)によるもの、③言論そのものを説明した3巻構成となっている。換言すると、弁論家は、①言論に着目して、それが証明を与え、納得のゆくものとなるように配慮するだけではなく、②自分自身を或る人柄の人物と見えるように、そして同時に、③判定者にも或る種の感情を抱かせるように仕上げをしなければならないとする主張に対し体系的な
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Posted by ブクログ
正直、1巻の前半以降は、ちとだれてしまった。
古典であり、堅苦しい感じかと思っていたが、1700年も前に弁論についての骨格が出来上がっていて、今もそれほど変わらないなんて!という気付きを得られた。
読んでいて面白かったのは、議員って以下のようなことを話す必要があるというベースがあったということ。今ニュースで目にするものも大概はいってしまうということに、気付かされた。。。
議会弁論を繰り広げる主題で、最も重要なものは概ね5つ。
・財源に関するもの
・戦争と平和に関するもの
・国土の防衛に関するもの
・輸入品に関するもの
・立法に関するもの
まあ、自分が議員や弁護士になるというのはありえず、 -
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弁論術を否定するのではなく技術として捉え、体系的にまとめられた古典。
プラトンが否定した弁論術とアリストテレスが展開する弁論術とは一致しない。
説得を主眼におき、「人の心」が詳細に類型化されている。
富や血統といった気質的なもの、
怒りや穏やかさ、妬みといった感情。
そしてその心を動かすためのテクニックとしての弁論術。
比喩や譬えを巧みに織り交ぜること、冗談やまじめさの適用。
2500年経った今でも「言葉をどのように扱い説得するか」という本質が色褪せないことに驚く。
高度に情報化されデータドリブンな意思決定が可能になった現代であっても、個人の認知フレームには偏りがある。
それ故、データをそ -
Posted by ブクログ
情報量が多い。
ただ有益な情報は多い。
政治家や営業職など、人を説得する職の人は時間をかけて理解する価値があると感じる。
以下、ためになったポイント。
感情は問題の解決になんら関係が無い。
弁論術の仕事は説得を成し遂げることではなく、それぞれの問題にふさわしい説得(証拠立て)方法を見つけ出すこと。
この点は他のどの技術でも同じ。例えば医術は患者を完全に治すことではなく、回復可能なところまで導くことにある。
説得(証拠立て)の3種
①論者の人柄(最も強力)
②聞き手の感情(同情や共感)
③言論そのもの
説得推論
問題特有の論点を知る。
声による演技が弁論の大きな効果をあげる。
大きさ -
Posted by ブクログ
2000前も2000年後の現在もコミュニケーションとしての弁論術は必要と教えてくれる良書である。
現代の書店やメディアにおいても、アリストテレスの弁論術の影響を受けているといえよう。だが、弁論術自体はただのコミュニケーションの一つの基礎であり、そこに正義も悪もない。ただ、その理論を悪用する人は多い。それは、2000年前から変わらない。二枚舌という言葉がある通り、さもそれが正しいと偽る弁論家が現代にもメディアでも露出し私たちの目や耳に入ってくることを忘れてはならない。
弁論術の知識と実戦経験を有していれば、様々な情報や人を会う際に活かされることは間違いないだろう。常に情報を疑い真偽を調べ自分の頭 -
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ネタバレ人を説得する技術を弁論術とし、解説したのがこの本。そしてその始めから、弁論術は2つに分けられる、これこれとこれこれである(以下長い解説)、これこれは3つに分けられる…と延々と分類と解説が続いていく。主題にあまり興味が無いせいか正直退屈に感じるのだが、これがアリストテレスのやり方なのだろうから慣れなくてはいけない。
弁論術が使われる場面は議会などで使う審議的なもの、法廷用のもの、演説的なものの3つに分けられるとのことで、聴衆を意識した「技術」が多かった。聴衆は長い話を理解できないとか、無教養とか、感情で判定を変えるとか、演出に弱いとか、けっこう悪しざまに書いてあって笑う。
後半に行くにつれ声色