エッカーマンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
エッカーマンによる晩年のゲーテの言行録。一八二三年から一八二七年まで。当時の文学に対するゲーテの見解、色彩論にはまりこむゲーテとエッカーマンの様子、ゲーテが見聞した政治的事件についての感想など、「はざま期」(コゼレック)を生きた人間による貴重な証言が豊富に詰まった作品。「いちばん合理的なのは、つねに各人が、自分のもって生まれた仕事、習い覚えた仕事にいそしみ、他人が自分のつとめを果たすのを妨害しないということだ」という言葉には、革命以降のゲーテの作品――『ヘルマンとドロテーア』や『ヴィルヘルム・マイスター』――に一貫して流れる彼の思考が読み取れる。確かにこれは民主主義革命の時代に対する反発であり
-
Posted by ブクログ
文豪ゲーテの晩年に約10年身近で過ごした若き詩人エッカーマンが、ゲーテとの談話や対話を日記のように書き綴った手記。1822年9月~1832年3月を収めた、三分冊の下巻(中巻とは年月日が前後している部分あり)。
そのテーマは、文学、芸術、科学から人生の過ごし方に及び、優れた上達論として読むことができる。
「生まれが同時代、仕事が同業、といった身近な人から学ぶ必要はない。何世紀も不変の価値、不変の名声を保ってきた作品を持つ過去の偉大な人物にこそ学ぶことだ。・・・偉大な先人と交わりたいという欲求こそ、高度な素質のある証拠なのだ。・・・シェークスピアに学ぶのもいい。けれども、何よりもまず、古代ギリシャ -
Posted by ブクログ
文豪ゲーテの晩年に約10年身近で過ごした若き詩人エッカーマンが、ゲーテとの談話や対話を日記のように書き綴った手記。1828年6月~1832年3月を収めた、三分冊の中巻。そのテーマは、文学、芸術、科学から人生の過ごし方に及び、優れた上達論として読むことができる。
「ひとかどのものを作るためには、自分もひとかどのものになることが必要だ。ダンテは偉大な人物だと思われている。しかし彼は、数百年の文化を背後に背負っているのだよ。・・・こういうことには、どれ一つとっても、人が想像するよりももっと深い根があるものだ」
「ことにナポレオンが偉大だった点は、いつでも同じ人間であったということだよ。戦闘の前だろう -
Posted by ブクログ
文豪ゲーテの晩年に約10年身近で過ごした若き詩人エッカーマンが、ゲーテとの談話や対話を日記のように書き綴った手記。1823年6月~1827年9月を収めた、三分冊の上巻。
そのテーマは、文学、芸術、科学から人生の過ごし方に及び、優れた上達論として読むことができる。
「一方をやれば、他方はおろそかになり、忘れられてしまう。だから、賢明な人というものは、気を散らすような要素は一切しりぞけて、自分を一つの専門に限定し、一つの専門に通暁するわけだよ」
「趣味というものは、中級品ではなく、最も優秀なものに接することによってのみつくられる・・・だから、最高の作品しか君には見せない」
「重要なことは・・・けっ -
Posted by ブクログ
上巻中巻下巻、数年かかってやっと読み終えた。文体が難しいというわけでもなく、内容も退屈というわけではないが、「のんびり」「こつこつ」「とぎれとぎれ」取り組んでいるうちにかなりの歳月が過ぎ去ってしまった。日記形式なので1日1日少しづつ進めていこうと思ったのだが、数行で終わる短い日もあり、十数ページにわたる日もありなかなかペースが掴みづらい。また、中巻と下巻の繋がりに少々混乱することもあった。
とはいえ100年以上にわたって読み続けられている名作。ゲーテの言葉とエッカーマンのセンスは非常に価値あるもので、あらゆる手段を駆使して読破するべき名著である。生きてきた時代も地位も異なる文豪ゲーテの言 -
Posted by ブクログ
岩波文庫の「ゲーテとの対話」は上・中・下巻の三巻からなり、中巻は原著「その生涯の晩年における、ゲーテとの対話」の第二部(1828年から1832年(ゲーテ没年)まで)を収録している。
著者であるエッカーマンがゲーテとの談話や対話をまとめたもの。詩人・作家であるエッカーマンが書いた内容は当然のことながら芸術、殊に文学に対する話題がほとんどを占めている。中巻では「ファウスト」の話題が良く出てくる。
文学や戯曲に関心がある人は興味深いものになるだろうが、私は人生訓となるような部分に関心を持って読んだので、ゲーテの人間心理に関する考察を引用しておく。
ナポレオンの話題で、エッカーマンが「ナポレオン -
Posted by ブクログ
岩波文庫の「ゲーテとの対話」は上・中・下巻の三巻からなる。上巻は原著「その生涯の晩年における、ゲーテとの対話」の第一部(1823年から1827年まで)を収録している。
著者であるエッカーマンが、ゲーテとの談話や対話をまとめたもの。まえがきに書いあるように、著者のフィルターを通したゲーテである。
「これは私(エッカーマン)のゲーテである」
「私(エッカーマン)が彼(ゲーテ)をどのようにとらえ、どのように再現することができたか」
詩人・作家のエッカーマンが書いた内容は、当然のことながら芸術、殊に文学に関する話題がほとんどを占めている。
何を求めるかによって、本書の評価は変わってくるだろ -
Posted by ブクログ
岩波文庫 ゲーテとの対話
1828年〜1832年のゲーテの言葉。
中巻はゲーテが死んで終わる。下巻はどうなるのか?
ゲーテの晩年は 自然から人間を見る傾向が強くなっている。生命と自然が一体になっている感じが 死生観へつながっている。
自然科学的な著書「色彩論」が評価されていない点について 納得していない様子。色彩論に関してはニュートンすら誤っており、真実を知っているのは 自分だけとする論調。上巻で大作に要注意と言いながらも、ゲーテ自身 大作の罠にはまっている気もする
ゲーテ「一人で仕事をするのはよくない。何事か成し遂げようと思ったら、他人の協力と刺激が必要」は御意。
ゲーテ -
Posted by ブクログ
エッカーマンが晩年のゲーテとのやりとりを収めたもの。日記という形式を取っている為、やや冗長のきらいがある。また、200年近くも前の出来事なので、知らない人が一杯出て来ていまいちピンと来ない。
しかし、詩人であり芸術に関する造詣が深く、光や植物の研究など自然科学に関しても一流と言われる鉄人じゃなかった哲人 ゲーテ。彼が長い間考えてきたことや彼の価値観、人柄などがエッカーマンのお陰で知ることができる。
正直なところ、忙しい受験生やビジネスマン、主婦などにはお薦めしないが、芸術や学問(特に自然科学)を志す人は読んでおくべきだろう。
しっかし、エッカーマンは日付や曜日間違えすぎ!いい加減だなぁ。