今まで、ここで「エグい」と評してきた作品の印象が霞んでしまうほどにエグすぎる青年漫画・・・・・・いや、これを青年漫画って括りに入れて良いのか、迷うが、青年の上が思いつかないので、一応、青年漫画の枠を広げて入れておく
タイトルと裏表紙のあらすじを読むと、大袈裟な煽りにすぎず、本編は良い意味で読み手を裏
...続きを読む切ってくれる学園ギャグ漫画に一周して落ち着いているんじゃないか、と予想する読み手がいるだろうが、大丈夫。貴方の予想は裏切られないし、期待は裏切られる
主役もストーリーもバイオレンスの塊だ
単純なインパクト、この一点に限れば、『VIVO!』(瀬川藤子)を読んだ時に匹敵する
あの時も、『GTO』(藤沢とおる)以来に、新しいタイプの教師漫画が登場した、と歓びが湧き上がったが、これは歓びよりも凄惨性に対するショックの方が上回ってしまう
今まで読んできた教師漫画から、爽快感やハッピーな要素を一切合財、容赦なく取り除いたら、こうなりそう。『悪の教典』も、ある意味、凄いが、個人的にはコッチの方が怖いな
スカッとは残念ながら、いや、幸運な事に出来ない。この作品を読んで、近衛教頭の“教育”を受けて強制的に更生させられた教師や生徒の様を見て、スッキリできる人間がいたとしたら、正直、軽蔑する。スッキリできるって事は、暴力を用いた“教育”による犠牲者の姿を、自分にストレスを与えてくる存在に重ねて、疑似的な満足感を得ているんだろう。手遅れになる前に、心療内科に通うか、現在の環境から離れるべきだ。この手段が、結果的に好い方向に転ぶのは、漫画の中だけだ。模倣しちゃならない
ただ、教師ってのは狂気めいた覚悟を持てる、だけじゃなく、持ち続けられる人間がなるべきだろうな、とは思う。とある小説の一節だったかな、「最低の歌手は最低の人間でないが、最低の教師は最低な人間だ」ってのを思い出す
生徒を傷つけたくない? 違うだろ、お前が傷付きたくないだけだろ、と耳元で囁かれて、心臓が止まりかけたような錯覚に陥った、教師の読み手は多そうだ
優しい先生と言われたいなら、生徒のやる事を何でも許すのでなく、ルールを破った際はトラウマを植え付けてしまうのも承知で本気になって叱ってやるべきじゃないかな。生徒にナメられる教師が増えたからこそ、心が未熟な年頃の少年少女は自分をコントロール術をますます手に入れられなくなっている
人を一度も殴った事が無い、殴られた事が無い人間は教師を志すべきじゃない。教師になれたとしても、多分、長続きはしない。実際、私の中学の時の担任は精神の脆さが完全に外見に出てしまっており、生徒からの軽いからかいでキレてしまって、傷害事件を起こし、学校を去る羽目になった
近衛教頭が、生徒のためなのか、学校のためなのか、はたまた、自分の保身のためなのか、何の目的があって、この狂気じみた教育法を実践しているのか、判らない
彼の過去もまた、気になるトコだ
内容が内容なので、人気が出るか、は正直なトコ、不安だが、次巻も楽しみにしている
どれも、血や痛みがダメな人をKOできるだけの凄味を放っているが、特に近衛教頭に対しての、根源的な恐れが高まったのは、第六話。ヤクザに指を詰められかけた悟の指を平然とヘシ折ったシーンには毛穴が音を立ててブチ開いた。そんで、ラストのリベンジ宣言、こんな形相を向けられたら、私だったら腰を抜かしてる
この台詞を引用に選んだのは、近衛修文って男の人間性、教頭かつ教師としての姿勢、そして、『地獄の教頭』って作品をどストレートに表現しているからだ