谷口正次のレビュー一覧
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金属や穀物などの資源が場合によっては戦争まで引き起こすほどのものだと言うことは前々から知っていましたが、こうして改めてこういう本を読んでいうと、その事実がまざまざと突きつけられる思いがします。
『メタル・ウォーズ』の続編です。 この話はいまや穀物や水を始めとして地球上のあらゆる資源を食いつくさんまでに成長した巨龍、中国と『恐竜』に例えられた欧米の資源メジャーが世界中でレアメタルを奪ってまるで共食いさながらの血みどろの『資源争奪戦争』を繰り広げるさなか、今や「ニワトリ」と成り果てて彼らのおこぼれを啄ばむしかなくなった日本の大手商社についても書かれています。
いやぁ、これを読んでいて空恐ろしくなりました。かつては『ものづくり大国』といわれた日本も、それは昔のこと。さらに元手となる資源はすべて海外に牛耳られているという現実。去年は南アフリカでサッカーのワールドカップが行われていましたが、そのアフリカで算出されるレアメタルを牛耳っているのはむちゃくちゃなリスクをとって進出している 中国系の企業です。
おそろしいですよ。ほんとうに。この本を見てロンドンにあるLMEのリアルタイムの銅やレアメタル系のチャートの値動きを見たくなりました。 -
Posted by ブクログ
【資源危機の原因】
①ここ数年,資源の「爆食」と国をあげて世界の資源囲い込みに狂奔する中国
②国際資源メジャーの喰うか喰われるかの激しい買収合戦と寡占支配の進行
③資源開発が行われる産出国の不安定要因
【日本の状況】
・日本の鉱山会社.住友金属鉱山は,素材産業に流れずに本流を守った.DOWAホールディングスは,都市鉱山のリサイクルに力を入れている.
・日本のものづくり体制.最上流の資源採掘は,国際資源メジャーや資源保有国.原・燃料資源は旧財閥系鉱山会社,鉄鋼精錬はマンモス企業であり,両者とも技術は最高水準.ところが部品製造は大手を支える中小企業群で,技術レベルは高いが脆弱な経営体質.製品製造・組立は世界で名の知れた大手ブランド企業.ものづくりの川下ほど「偉い」のである.
・中国は産・官・民一体となった資源外交攻勢には,国家戦略がはっきり見えている.日本は単発的.
【中国の状況】
・中国の戦略は,鉄道,道路,病院などインフラ整備に対するおいしい援助の見返りに資源開発の権益を取得していくというやり方である.
・中国は,資源外交ツアーに出かけている.温家宝首相,胡錦濤国家主席はすべて技術者で,資源の重要性に関する知識,意識が高い.
・中国はアフリカにUSドルの貸付をおこない,返済は銅,コバルトなどの採掘権益と新たに建設される道路・鉄道の通行料金によることになっている.要するに,中国は,アフリカ諸国を借金漬けにした上で,資源を収奪していくばかりでなく,アフリカ全土10億人の人々に物資を売りつけている.「新しい植民地」という人もいる.
【資源メジャー】
・特徴
①グローバル・多国籍に事業展開している.
②金属鉱物資源開発をコア・ビジネスとしており,下流部門(加工・製造)よりも上流(鉱山開発)を志向している.
③特定の金属鉱種,あるいは燃料鉱物も含め,複数鉱種の上位生産者である.
④大規模な鉱山開発・操業を自らの手でおこなっている.
⑤強力な経営資源(技術・人材・設備資産)を有する.
⑥M&Aによる事業拡大と多国籍化・多鉱種化・寡占化を進め,価格支配力を強めている.御三家は,BHPビリトン,アングロ・アメリカン,リオ・ティント・グループである.
【日本がとるべき対策】
①資源はものづくりのための単なる外部購入資材という意識と認識から早く脱却して,国家として資源戦略を立てる.国際政治・経済・外向のベースを同一スライス内に置く.
②オーストラリアと中国を最重要国とみなす.
③海底資源開発をおこなう.
④都市鉱山の開発(リサイクル).
⑤バイオ・マイニング.
⑥ものづくりの「よい品質の製品をつくるためには,製造設備に合わせて原材料資源を持ってこい」という思想を改める.
⑦資源教育の復活. -
Posted by ブクログ
きっかけは前に見たNHKの特集番組で「中国が世界中の金属資源を莫大に消費している」と言う内容を見たからでした。今はまじめに相場動向を見ていないからわかりませんが資源の争奪戦はこれからも続くでしょうね。
これを読んでいるときほどには僕はいまの商品相場の動向を丹念には見ていないので詳しいことはわかりませんが、この本を読んでいた当時の商品相場の価格は上昇の一途を辿っていた。日本経済新聞のマーケット欄にある『海外商品市況』を丹念に読んでいれば、その傾向は明らかである。僕が当時、金属資源の相場を見ていたときに出会ったのがこの本で、世界各国が資源を奪い合っているさなか、「ものづくり大国」を自認しながら何も『資源』というものを国家戦略に織り込んでいない日本に空恐ろしささえ覚えました。
ここに描かれているのは主にレアメタルですが、結構思いもよらないところで使われていることがわかりました。たとえば携帯電話の端末なんかにはこれがないと作れないんですね。それにしても、金融と金属とエネルギーを牛耳ってしまうと、やりたい放題に世界を動かせるんだなぁということを
この本は教えてくれました。ま、あえてどこかどう動かしているのかはあえて書きませんが。 -
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北朝鮮の鉱物資源開発に投資するのも将来的にはあり得る話かもしれないと思うようになってきた。でも多分日本は品格があり過ぎてこういうワイルドな仕事は難しいんだろうなーと思った。
よく報道されているストレート記事をより詳細に解説付きで著しているという感じの本で、色々と面白かった。銅だけではなく、メタル資源全般。
例えば、最近ちょっと話題になったBHPビリトン社によるリオ・ティントの買収提案が、結局はお流れになってよかった件で、もし合併されれば大変強い価格支配力になるため、中国はすぐに米国のアルコア社と組んでリオ・ティントの株を12%取得したが、一方日本は具体策は打たず、鉄鋼連盟の人が反対の意を表明しただけにとどまったということなど。
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Posted by ブクログ
著者の熱い主張がコンパクトにまとめられている箇所があったので、そのまま記載。
「20世紀半ば以降、無資源国として自他ともに認めるわが国であったが、21世紀も12年過ぎたいま、自国に必要な資源は自国でまかなうということが、まんざら夢でもなくなってきた。
しかし、無資源国と認識していながら、陸上資源の争奪戦には、ほとんど参戦することもせず、相変わらぬ商社依存を通して、レア・メタル、レア・アースで資源危機に見舞われている。しかも、太平洋がまさに、人類最後のフロンティアとしてゴールドラッシュの様相を呈してきている中、めざとい『金鉱掘り』のDNAを持った欧米の探鉱会社や、資源曝食・石油がぶ飲みと揶揄されながら貪欲に資源囲い込みを行っている中国などに、これまた後れをとる始末。
資源で首根っこを押さえられていて、何のものつくり大国、技術立国、日本か。
しかし、少なくとも、海洋の場合には排他的経済水域(EEZ)がある。いまこそ官・民で態勢を立て直して最後のフロンティアでトップランナーを目指して海洋立国という国家の意思を持って、オーシャン・メタル開発を推進しなければならない。
世界的にも2030年には資源、食糧、水、環境といった危機に直面しようというとき448万平方キロメートルという世界第6位の広大なEEZと、そこに眠る世界有数の有用資源量を誇る日本が、最後のフロンティア、海洋で他国に後れをとるなど許されないことである。」 -
Posted by ブクログ
最近ではよく知られるように日本の排他的経済水域(EEZ)の広さは世界6位、陸地面積と合わせると世界9位だ。海底資源は在来型の石油、天然ガスに加え、メタンハイドレート、マンガン団塊、コバルト・リッチ・クラスト、レアアース泥そして熱水鉱床と多岐にわたるものがこのEEZ内に存在する。ただし現在の所経済的に採鉱できる方法はまだ実現していない。元々日本の海底資源探索技術は世界のトップランナーだったのだが、熱水鉱床の調査は1985年〜2003年まで実施しその後08年までの間中止、マンガン団塊については1975年〜96年で終了等々一度資源は海外から購入すればいいと舵を切ってしまっていた。その間に元々技術レベルの高かった欧米系だけでなく中韓の技術レベルが上がりもはやトップランナーと言えるかは疑問に鳴って来ている。特に実際に採鉱する際に経済性を左右するエンジニアリングが不足している。2010年にようやくエネルギー基本計画の中で海洋エネルギー・鉱物資源開発の強化が明記された。
例えばマンガン団塊の例ではマンガン28.8%、(40〜50%以下陸上資源中の割合)、銅1.0%(0.5〜1.0%)、ニッケル1.3%(0.4〜1.0%)など。実際の世界の露天掘りの鉱床では銅で0.5%、金だとわずか0.3g/tの採鉱が行われている。レアアースを含めれば技術革新により最高コストを下げることで充分な経済性が期待されるし、日本の場合だと国内に資源を持つことで価格交渉力の強化が期待できる。
海底鉱床の実用化が最も進んでいるパプアニューギニア沖とくらべると日本のEEZは外洋にあり気候条件は非常に厳しい。また、深海底についてはいまだに知られていないことが多く環境面の評価も必要になる。例えばフランク・シェッツィングの小説深海のYrrではゴカイがメタンハイドレートをかじり大陸棚を崩落させて大津波を起こしているし、バミューダ・トライアングルで船が難破するのは同じくメタンハイドレートが気化するからと言う説(さすがに怪しいですw)もある。太平洋に関してはブッシュ元大統領が海洋保護区を設定した。メキシコ湾では石油資源開発を優先してたので多分人気取りでしか無いが・・・それなりに評価されているらしい。
中国がよってくる尖閣諸島についてはどうか?1969年国連のアジア極東経済委員会が豊富な石油、天然ガス資源が埋蔵されていると報告したのが唯一の根拠では有るが、それを裏付ける科学的な調査資料や文献は一切ない。要は有るかもしれないと誰かがそう言っただけである。日中中間線を挟む中国の天然ガス開発も経済性は無いと言われておりなんだかなあと言うばかりだ。 -
Posted by ブクログ
●人類最後のフロンティア、それは深海である。海の資源を目指せ!
・深海底を、英語、フランス語、ドイツ語は共通でアビスと言うが、この単語はもともと古代メソポタミアのシュメール語アブ・ツーからきたもので、シュメール語でただ一つ現代まで残った単語。
・旧約聖書の洪水が黒海地域であったことは考古学的事実。大変興味深いのは、この時代、世界的に海面を上昇させたフランドリアン海進、これは日本では縄文海進と関連付けられている。
・旧約聖書のエデンの園に関連させられているピソンとギホンは今はないが、地球探査衛星ランドサットによると、はっきりとこれらの川の跡が残っている。
・現代の考古学では、エデンの園はバーレーンにあったことが定説となっている。
・掘ればなくなる、というのが資源の絶対的な特性で、これは資源学を学ぶ際、最初に叩き込まれる。
・銅はベース・メタルだったが、今やレアメタルである。
・資源は掘り起こす際の廃棄物が半端ない。金の大規模露天掘り鉱山では、金の含有量は1トンの鉱石中にわずか0.3グラム。よくて1グラム。残りは廃棄される。
・海底資源には、マンガン団塊、熱水鉱床、コバルト・クラスと、レアアース泥、そしてメタン・ハイドレード。
・アメリカはコバルトを全量輸入している。しかも産地はコンゴといった紛争地域。しかもコバルトは軍事に欠かせない。それで最近できた紛争鉱物資源指定の中にも、コバルトは含められていないのは意味深長である。
・深海底だけではなく、洋上や海中資源にも着目せよ。