田代泰子のレビュー一覧
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『敗北を抱きしめて』1945年の終戦以降数年間の日本について書かれた本です。非常にソソられる、いいタイトルだと思うのですが、どうでしょう。意訳気味の邦題なのかと思ったら、原題も"Embracing Defeat"。センスのよさが感じられます。
そのタイトルだけではなく、内容も非常に質の高いものです。すでにピューリツァ賞受賞含めて、内外で高い評価を受けていますが、傑作という前に大変な労作といえます。デリケートなテーマを扱うこともあり、バランスを取るために学者として多大な努力をしていることが随所に伺えます。
また筆致は時に詩的であり、一方適切な抑制も利いていて、扱うテー -
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下巻は、天皇制の維持とアメリカの企図、新憲法制定、GHQによる検閲、東京裁判、など、いまだに議論の多いテーマが取り上げられています。ある意味、下巻は上巻よりもさらに読み応えがあります。
最後にエピローグという章がありますが、これも白眉です。ここで、著者がこの本で言いたかった主要なテーマが、本のタイトルにもした一節を使って明示されています。少し長いですが、引用します。
「21世紀への戸口にある日本を理解するためには、日本という国家が(注:古来より)あいも変わらず連続している面を探すよりも、1920年代後半に始まり、1989年(注:昭和の終わりと冷戦の終わり)に実質的に終わったひとつの周期 -
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日々の業務をより生産的にするための意識のヒントがまとめられていた良書であった。
小さなテーマごとに、筆者の一流コンサルタント集団での経験とそこから得た学びがコンパクトにまとめられていた。
特に印象に残ったヒントが2つある。
1つは、「シングルヒットを打つ」意識を持つことである。毎回完璧(ホームラン)を狙うのではなく、単打を積み重ねる意識が大事との教えである。不健全な完璧主義に陥りやすい自分にとって、心に留めておきたい言葉であった。
もう1つは、「大きな問題も構成要素に分解すれば解決出来る」意識を持つことである。自分でも解けるレベルまで課題を分解する癖をつけることで、様々な大きな問題にも怯まず -
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【本書のまとめ】
1 天皇制の維持
占領軍は、軍部と天皇の間に「くさびをうちこむ」ことで、日本帝国の様々な国策から天皇を切り離し、天皇の新しいイメージ(天皇を再び民の手に)を作り出す作業に加担しようとした。終戦間近の状況においては、天皇の無事が日本の無条件降伏に寄与するし、かつ戦後においては、天皇の責任を問わずに、敗戦後の日本で象徴として機能し続けるほうが有用だと判断したからである。
「くさびを打ち込め」「軍部を悪役にしろ」「天皇を平和主義者にして、天皇制民主主義を建設せよ」というキャンペーンは、公然と大々的に行われた。マッカーサーは、天皇の名においておこなわれた戦争について、裕仁が実際に -
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マッキンゼーについて知りたくて読書。
大前研一さんや勝間和代さんを通じて知ったマッキンゼー社。その強さ、特徴を知りたいと思う。事実から始め、事実から仮設を作り、解決策を考える。
厳しくても、出身者の多くが多彩な分野や上級職へキャリアパスしている点からも同社が学校のような存在であることが分かる。そして、同社の出身であることを堂々と誇る、そんな会社はいいなと感じる。
よりマッキンゼーについて知りたくなる1冊。
不況下の日本で、いまだに大企業志向が強いのも分かる氣がする。安定力よりも、その企業が持つ伝統、文化、教育に魅力を感じているからなのかもしれない。
読書時間:約25分 -
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ネタバレ天皇は何故戦争責任を問われなかったのか。
それは元々占領軍が事前に決定していたことだった。
彼らはもし天皇の戦争責任を追及したり死刑にしてしまったりすれば
日本人は大混乱を起こし、破滅的行動に出るだろうと考えた。
しかし実際は大多数の国民にはそんなことに関心はなく
占領軍の懸念は杞憂だったことが分かる。
他、天皇の人間宣言に関しての逸話、新しい憲法が出来るまで
占領軍による厳しい検閲、東京裁判の実態などの話が進む。
戦後から60年以上が経過したが、我々は本当の意味での
「独立」を果たしたのだろうか。確かに経済発展はした。
物質的な豊かさに関しては世界有数であることは間違いない。
しかしその