矢満田篤二のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
◯予期せぬ妊娠などで生まれた赤ちゃんを、養子縁組を期望する親とを仲介する取り組みを行なう愛知方式を紹介。
◯不妊治療を行なっても子どもを授からない場合に、養子縁組によって新生児を迎えるということは、自分の頭の中ではリンクしなかったので、なるほど、と思いつつ読んだ。勉強不足を恥じること甚だしく。
◯現政権では不妊治療への拡充が声高に言われているが、こういった取り組みも大変重要であると思う。ただ、治療していた方の思いと、子どもたちや児童相談所などの職員では、考え方が違う部分もあるだろうなと思われる。その点、この本で紹介されている方式は、一見厳しいようで、それぞれの視点を子どものためにという点で統一 -
Posted by ブクログ
「愛知方式」と呼ばれる特別養子縁組の方法がある。
愛知県の児童相談所では、産みの親が育てることができない赤ちゃんを、特別養子縁組を前提とした里親委託によって、生まれてすぐから家庭の中で育てる取り組みを30年来続けてきた。
かつて一地方公務員の手で始まったこの前例なき取り組みが、今、注目されている。
「虐待死の中で最も多い、0歳0カ月0日の虐待死」
「恒久的な家族の愛情を知らずに施設で育つ子どもたち」
「里親や里子を苦しめ続ける反応性愛着障害という病」
これらすべてをなくすために、公務員でありながら圧力に負けずに新生児の特別養子縁組を断行し続けた矢満田氏、そしてその方式を愛知県に定着させる役 -
Posted by ブクログ
上司のオススメということで早速購入しました。
今日ポストに入ってて一気に読みました。
正直なところここまでできるかな…とは思います。
でも人それぞれ自分の福祉観を持ってて「あの子のため」と思えるなら間違いではないと思います。
ただ難しいのはやはり日和るというか「この辺でええか」と思ってしまうところやと思います。
でもそこには「あの子のため」という視点は失われてるので間違いになるのかなと思います。
僕個人としては生保でやり残したこともあるし児相にも行っとかなあかんかなと思っています。
将来的には里親制度でもやれることがあるんじゃないかと思いますし児童養護施設でも自分のできることがあるんじゃない -
Posted by ブクログ
産んでも育てることができないという事情は、若年出産であったり、経済的に困窮していたり、暴力による妊娠であったり、とさまざまです。それなのに、どんな事情があろうと、産みの女性一人に責任を押し付けています。また、「女性は産んで母親になったのなら、子どもに対する愛情が湧き、離れがたいはず」と主張される方も少なくありません。(本文より)
赤ちゃんポストは批判を受け、赤ちゃん縁組は諸外国に比べ日本は圧倒的に少なく、中絶は合法。虐待死の多くは生まれたその日に母親の手により殺められている、という。もしも望まぬ妊娠だとしても、出産まで大切に育てて子どもが欲しくてもできなかった人の、コウノトリになれるのなら・・ -
Posted by ブクログ
最近よく耳にする子どもの虐待事件。
ニュースなどでは、被害者が生後数か月の赤ちゃんとか、2歳3歳の子どもといった報道をよく見かけるが、実は、最も多いのが新生児の虐待である。予期せぬ妊娠、経済的な理由、若すぎる母親などなど理由は様々だが、新生児の虐待とは、つまり「育てられない」と産んですぐに殺してしまう、または置き去りにしてしまうことだ。
そんな状況を嘆き、どんな理由があるにせよ生まれてくる赤ちゃんには何の落ち度もない、命こそが何よりも大切、と赤ちゃんの養子縁組をライフワークとして取り組んでいるのが筆者だ。
矢満田氏は満州生まれで、その時の体験が自分の現在の活動に大きく影響しているとして、引き -
Posted by ブクログ
平成23年3月、厚生労働省は「里親委託ガイドライン」を定めて、児童相談所を設置している事自体に通知した。その中で、新生児についても里親委託、とりわけ親の意向がはっきりしてる場合は特別養子縁組前提の里親委託を推奨している。しかし通知はあくまでも「技術的な助言」であるので、まだ目に見えて赤ちゃん縁組は広がっていない。家庭養護を本格的に進めるためには、人や予算を投入することが必要である。
愛知県内の児童相談所での「特別養子縁組前提の新生児里親委託の取り組み」は、現在の制度の中で、特段の人員・予算がない中で30年以上続いている。
親の虐待で死亡する子供の年齢で最も多いのは、0歳児、中でも生まれてすぐの -
Posted by ブクログ
ネタバレ辻村深月さんの「朝が来る」を読んで、参考図書にこの本の題名が載っていたのをきっかけに手に取りました。
実際に本書を読んでみると、有川浩さんの「明日の子どもたち」も思い出さずにはいられませんでした。
児童福祉と銘打っているにもかかわらず、子どものための福祉ではない現状。そのことにいち早く(なんと福祉も全然進んでいなかった昭和から!)気がつき、常にできることを即断即決してきた矢満田さんの頭の回転の速さとフットワークの軽さには脱帽しました。そして常に子どもの、家族のしあわせを願う姿にきっとたくさんの人たちが心を動かされてきたのだと思いました。こうのとりってたまに人の姿をとることもあるのだなと思わせ