松尾秀哉のレビュー一覧
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ベルギーで興味深い点がいくつか。
1.言語
ベルギーは北部がオランダ語圏、南部はフランス語圏となっており、言語は一種のアイデンティティのような位置付けになってる。20世紀後半にルーヴェン大学では言語分裂が起きたり、選挙では国家分裂の危機に陥ったほど、両言語間の確執は深い。ベルギーが1つの国としてまとまるのは、サッカーベルギー代表を応援する時だけだと揶揄されるのも理解できる。首都ブリュッセルは例外的に両言語とも使用されるらしい。現地の雰囲気を実際に行ってみて感じてみたい。
2.独立までの道のり
世界史でうっすら習った記憶もあるが大部分を忘れていた。近代まではフランスやオランダの支配下にあった -
Posted by ブクログ
1950年を起点にして、2000年代までのイギリス、フランス、ドイツを中心に、適宜大きな動きがあったその他のヨーロッパ各国やソ連を含む東欧諸国の動向を簡潔にまとめている。序章において筆者が全体の流れを提示しているので、それを踏まえて読むことができる点が分かりやすさにつながっている。
映画「リトル・ダンサー」で主人公の親と兄がストライキに参加していた描写が不思議だったが、サッチャー政権下で進められた経済改革が背景にあったと納得する副次効果を得られた。
前後関係が分かりやすく書かれており、同時期の各国の動向を比較したり、一国の経緯を追って読むこともできる良書であると思う。 -
Posted by ブクログ
現在ベルギーに住んでいる。何も知らずに住み始めたものの、街中の銅像や歴史的建造物に触れる機会も多いことから、さらっとは知っておきたいと思い手に取った。ベルギーが一つの国であり続けるために奮闘する歴代の国王の人間性や考え方に焦点をあてて歴史を語っており、とても分かりやすくおもしろい。地名がマニアックなので、たまに地図を確認しながら読むとよいかもしれない。昨今のEU金融危機くらいまでの記述があるのもうれしい。
世界史はどうも苦手だが、日本史と同じように、こうしてひとつひとつの国にしぼって考えると楽しめるのかもしれないという大きな気づきも得ることができた。 -
Posted by ブクログ
「ヨーロッパの十字路」と呼ばれるように、周辺の大国に翻弄されてきた国。通史で学ぶ機会は少ないが、ヨーロッパ史において常に重要な役回りを演じている。
独立を果たしたオランダとは異なり、スペインに留まったことでベルギーは波乱の歴史を歩むことになる。毛織物の産地フランドルや大航海時代以降特に発展するアントウェルペンを擁することもあり、古くから大国間の係争地となる。
19世紀に入りようやく独立を果たすものの、その歴史故の地域間での言語問題が国家を分断してしまう。分裂を防ぐために連邦制を取り入れるものの、地域間対立は今なお根深い。ワロンとフランデレンについて、「あちらを立てればこちらが立たず」という状況