藪光生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
和菓子を美しい写真とともに紹介し、その世界を日本史的、技巧的、食文化的など多角的に解説した本。「匠の技と個性」においては職人の精巧な技巧が表現されている。材料ひとつとっても、同じものは何一つない世界の怖さと面白味。菓銘からたどる歴史、由来などに想いを馳せる楽しみ。四季の移ろいを見た目で感じる趣。和菓子には日本の奥ゆかしさ、直接的ではない美がたっぷり含まれている。そこに、多くの人が魅了され続けているのではないかと思う。この本はコンパクトながらも抑えるべきポイントが学べる。また、眺めているだけでも十分楽しい。最初の和菓子の本としておすすめしたい。
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Posted by ブクログ
一粒のねりきりは、「食べる俳句」!?
つつましやかに収まっている和菓子のカラー写真と、全国和菓子協会の理事である著者の和菓子への思い。そして和菓子と日本の風土や日本人の感性との関わりを語った本です。装幀のクールさが目立ち、つい手にとってしまいました。世界ブランドを意識した「WAGASHI」のタイトルロゴ、余白を活かしたスタイリッシュなカバーデザイン、なにより文庫本のサイズ感と和菓子のミニマルな世界観の相性の良さがじんわりとうれしい1冊です。
練切(ねりきり)や饅頭など、季節をそのまま一粒にあらわしたような上生菓子のカラー写真を眺めるだけでも十分に楽しめます。
何より嬉しかったのは、「和菓子って俳句みたいだな」とこの本が気づかせてくれたことです。和菓子も俳句も、味わうための感性は同じ源泉から派生しているかも、なんて思いました。
和菓子は小さな一粒の練切に、巡り行く自然の広がりを。
俳句は五・七・五の短い音節に、無限のリズムを。
そしてどちらも、季節という概念が持つ「時間」と「空間」を過度な説明なく、つつましやかに現しています。自然に恵まれた日本の、季節に対する敏感さがあるからこそ味わえるものかもしれません。
正月のお菓子に「花びら餅」というものがあるそうで、それは円形の餅が四角の餅を抱き込むような形。陰陽道では、円は天を、四角は地を意味していることから、宇宙を包み込んでいる菓子として著者が紹介しています。もち、あん、砂糖。これだけで無限の広がりを持つ宇宙を包みこんでいる。最小限で最大限の仕事をしているところにも、和菓子と俳句のつながりを感じました。
また和菓子は、その歴史から茶との関係性を避けて語れません。和菓子の香りはほのかなものが多く、それは主役である茶の香りを引き立てるためだそう。そういったつつましさも、最小限の素材で、受け取る側に最大限の豊かさを与え、全体的な調和を目指すいい仕事をしています。日本食にかかせない「出汁」も、具材を活かしつつ味をまとめる、同じ役割と言えるでしょう。
受け取る側の感受性を刺激で埋め尽くしてしまわず、しずかに味わうことができたり、味以上のものを想像させるような「余白」。余白が日本の美意識に通底している流れのひとつだと思いました。
和菓子、イケてる!!!
上等なお菓子だけでなく、町のせんべい屋や団子屋など、もっと庶民的な和菓子文化についても見識が広がるような本にも今後であえるといいなあ。