塙和也のレビュー一覧
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明治時代に遡る公務員制度は硬直化しており、時代の変化に対応できていない、、と戦後から言われているにも係わらず、一向にその仕組みが変わることはない。同じ課長職でも等級が異なる厳格な年功序列や、内閣からも独立した人事院の権限など、憲法における労働基本権と絡んで公務員制度改革が非常に難しい問題であることが体系的に理解できた。
福田内閣時の行革相・渡辺喜美が端緒をつけ、麻生内閣時の行革相・甘利明が与野党内・省庁の抵抗を粘り強く交渉していったプロセスが克明に記載されているが、当時の政局に絡んだ福田首相の投げ出しや麻生首相の破れかぶれ解散といった事態で、この公務員制度改革は不首尾に終わった。
事実は小 -
Posted by ブクログ
公務員制度改革を巡り、時の福田、麻生内閣と官界、そして民主党がいかにやり合い、最終的に公務員制度改革がフイになったかまでのプロセスが詳細に書かれている。記述は筆者の綿密な取材と鋭い分析に基づいて書かれており、特に政治に興味がある者にとっては、非常に面白い。
個人的には、最後の公務員制度改革の難しさへの筆者の見解が的を得ていると思う。公務員制度改革は、郵政等のシングル・イシューの改革とは違い、制度全体を相手にする改革である。このような性質の改革を成し遂げるには、時には冷徹なトップのリーダーシップが必要である。さらには、周囲の各アクターへの注意も要する。それぞれが、何を達成したいのか、何を手放し -
Posted by ブクログ
本書はジャーナリストである著者による,福田・麻生両内閣期における公務員制度改革について肉薄したものである。評者はこの時期の公務員制度改革に動きについて正直,政局との絡みでしか見ておらず,どうせ官僚の抵抗により失敗するだろうくらいの認識でしかなかった。しかし本書によれば,必ずしもそうではない実態が明らかにされる。詳細は本書に譲るとして,著者の主張としては,今後の公務員制度改革の成否はつまるところ,首相のリーダーシップによるということだろう。福田首相と麻生首相の公務員制度改革へのスタンスが,政策の帰結に差異をもたらしたという仮説は,なかなかに興味深かった。