ホールディングス経営のお勉強。さすがに1回読んだだけでは覚えられないが、わかりやすかった。
…現在多くの会社が採用している事業持株会社(親会社)と当該子会社との関係は、換言すれば主従の関係にあるといっても過言ではない。多くの場合、当該子会社の業務は、親会社の業務の一部を担っているにすぎず、親会
...続きを読む社の存在なくして小会社は独自で存在しえないという関係にある。…これに対し、純粋持株会社(親会社)と子会社との関係は、親会社によるグループ全体の経営戦略の中で子会社自体に事業活動の独立性を求める関係にある。つまり、純粋持株会社を中核とするグループ経営に変わりはないが、グループを形成する子会社群は、利益及び財務面において独立した事業体として運営することを求められる。したがって、純粋持株会社は事業持株会社における子会社と比較してグループの求心力という点においては潜在的に問題を抱えているのである。
■持株会社のメリット
①戦略と事業の分離
②経営構造変革のスピードアップ
③グローバル・スタンダードの充足
④経営責任の明確化
■持株会社のデメリット
①経営の求心力の低下
会社法では大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上)とそれ以外の中小会社で機関設計の選択の幅を変えている。中小会社の方が機関設計の自由度が高い。…
グループ会社各社の機関設計の自由度を確保するためには、ビジネスの規模と収益性を見ながら資本金を5億円未満かつ負債を200億円未満に抑えて会社法上の中小会社とすることができるかどうかがポイントになる。
・監査役設置会社…明治時代から続いている会社形態で、多くの会社が採用しており、わが国では違和感なく受け入れられる。ただし、わが国独特のガバナンス形態であり、海外では説明しにくい。
・指名委員会設置会社…米・英等で幅広く採用されているガバナンス形態であり、国際的な理解を得やすい。ただし、2002年の制度導入後、採用する会社は少数にとどまっている。経営者の指名や報酬決定を社外取締役が過半を占める委員会で行うことに抵抗があるようである。
・監査等委員会設置会社…比較的シンプルなガバナンス形態である。ただし、どの程度のガバナンス機能を発揮できるか、国際的な信認を得られるかは、未知数である。
わが国において内部統制は、「基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びITへの対応の6つの基本的要素から構成される」と定義される。
持株会社と子会社との関係は、ちょうど親が子どもを育てる過程とよく似たところがある。子どもを産みっぱなしで、何の世話もせず、子どもが成長して立派になったら、自分が本当の生みの親だといまさら親の顔をされても子どもとしては困る。
これと似たところがあって、生みの親である持株会社が子どもである子会社が育つ過程でどれだけの犠牲を払ってきたか、いざというとき、どれだけ子会社に救助の手を差し伸べてきたかによって親子の絆が培われるのである。
持株会社がグループ経営を成功させるか否かはまさにこの点にかかっているのである。それを、資本の論理だけで支配しようなどと、いわば力でねじ伏せようとすれば弱者はいつか対抗する力を蓄え、やがて牙をむいて立ち向かってくる、これが自然の摂理である。
グループ法人の一体的運用が進展している状況を踏まえ、実態に即した課税を実現できるように、2010年度税制改正により新たに「グループ法人税制」が導入されている。グループ法人税制は、記述のとおり100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引における課税の繰延べ等を規定したものであるが、連結納税制度との最も大きな違いは、グループ法人間の損益の通算である。連結納税制度では、連結所得計算を通じて連結法人間の損益を通算することにより連結グループ全体の法人税額を減少させることができるが、グループ法人税制は、あくまでグループ各社は単体納税制度のもとでの所得計算を行うこととなるため、グループ法人間の損益通算は行われない。