内田宗治のレビュー一覧
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ネタバレなんでこういう地理本って、定期的に読みたくなるんだろう。好きなんだよなあ〜。面白い。
公式の紹介から、どんな本か引用すると
『80~90年代に習った「日本の姿」と現代の「日本の姿」は全然違う!』をコンセプトに、『この30年で、静かに激変している日本を県別に細かく解説する47都道府県本』である。
日本一を誇っていた産業が衰退した県、逆に生産量日本一を実現した県。地域を代表する企業がなくなった県、新たに企業が立地した県。歴史の教科書に載っていた事項がなくなった県、新たに記述された県。新たに世界的な観光地が生まれた県。新幹線や空港が新たに開通して経済活動が変わった県。
などなど、知識のアップデ -
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あーー、面白かった。
知人曰く、ブラタモリと近しい話題だね、とのことだったけれど、関東の鉄道と馴染みの深い生活を長くしていた身からすると、発見が多く楽しい一冊だった。
馬車鉄道という歴史をまず知らなかったし、線路を引くときの考慮要素(寄りたい町を通らせる、用地買収が難しそうな場所を避ける、山谷崖など地形的障害物をなるべく避ける、大きな川は直角に渡る、急カーブ急勾配を避ける)というのも良くわかってよかった。
街道と関係ありなしで作られた鉄道の変遷も面白かったし、山手線の上半分と下半分の土地的性格や、北品川の由縁、関東大震災とその鉄道への影響、東急の当時の社長の先見の明の度合いなどなど……読ん -
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ネタバレP114- 新河岸川、川越街道と東武東上線
軍関係がなぜかスルー。私の乏しい知識でも成増、板橋、朝霞、所沢、川越(上福岡)
川越工廠では、新河岸川の水運も構想にあったとか。危険物は自動車、工員と安全な荷物は、上福岡駅と南古谷駅を利用ですって。
P132 関東大震災 都心の震度が5-6。
P136 普通は不通かと
P150 万世橋駅・須田町の衰退は道路のせい。
P173 成城学園前駅が昭和2年で2面4線。
P188 東京山手急行電鉄 未成線をここまで書きますか?なこだわり。
P209 「もはや戦後ではない」って、経済白書が言いたかったのは、戦前の経済水準を越えました。これからは復興需要は一段落で -
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面白かった。で終わらしてはならぬな。
少し前の出版物なので、今は変わっている部分もあるだろうが、ゼンリンの地図の作り方、更新の方法、使用する筆記用具(4色ボールペンの色毎の意味、そして桃色は特注!)、調査の方法等の内部情報は興味深かった。
ハザードマップやGPSの利用、ナビゲーションシステム。
技術の進歩とともに、都市の発展とともに新たな情報を組み込んだ地図は必要とされ続けてきた。
目的によって必要となる情報は異なる。
情報ごとに分けたレイヤーは1000に及ぶという。
震災直後の地図の重要性からも、どれだけ技術が発達しても人の手と足と耳(口)を使ったアナログな方法は、おそらく残り続けるん -
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明治維新、開国から現在まで外国人観光客の誘致の歴史を俯瞰する。外国人の求める日本と日本人の見せたい日本のギャップが興味深い。
外国人向けの観光ガイドブックに記される観光スポットは日本人のイメージと時に大きく異なる。京都の伏見の鳥居などはその顕著な例。
明治から大正、昭和戦争を経てその後平成、令和まで、外国人観光客を増やそうとする歴史について語られる。
最終章は偶然ながら観光産業のリスクについて。戦争、テロのほか伝染病によるリスクについて指摘を奇しくも筆者の懸念は新型コロナウィルスの蔓延により的中してしまった。
壮大なテーマをコンバクトに解説。新書ならではと一冊。 -
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案外起伏に富んだ東京の地形。微地形を元に開発以前の湧水からの水の流れを解説する。3D地図を駆使し地形と開発の歴史が良く分かる。
筆者の本はこのじっぴコンパクトから多く出版されている。いずれもカラー図版を活用し地理と地形を解説したもの。
本書は23区を中心に微地形を解説。特に皇居周辺の記載が豊富。同じ濠でも水源や水面の高さが、異なったり神田川の流れを本郷台地を貫くように変えたり(現代の御茶ノ水駅付近)、江戸の街の開発の歴史の痕跡をたどる。
他にも渋谷川だったり古川だったり、港区などの複雑な地形に関する記載も。
本書を片手に「地形読み取り散歩」を堪能したい。 -
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ネタバレ〈要約〉
訪日外国人数は近年急激に増加しており、政府は高い目標を設定してるが外部要因による影響を大きく受けやすい。リスクヘッジの為にも、外国人が体験したいと考えていることと日本人が体験して欲しいことのギャップを念頭に歴史を学び分析し、きめ細やかなマーケティングを行うことが欠かせない。
〈感想〉
「観光」という観点から日本の近現代史を俯瞰した「歴史の教科書」です。
幕末から現代に至るまでの外国人から見た日本、興味がある日本と、それを受けて日本の観光に対しての意識がどのように変遷してきたのかが分かりやすく書かれています。
最終章では、更なる外国人観光客の増加を見込む日本に対しての、著者から -
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ネタバレ大正期の関東地上を襲った未曾有の大災害「関東大震災」を鉄道各線の被災状況と鉄道員の対応という観点からまとめ上げた貴重な資料。あいにく自分に関東の土地勘がないので具には映像が思い浮かばないパートも少なくなかったが、それでも、これまで視覚化されてきた関東大震災の中にはなかったさまざまなシーンを克明に捉えている。
海岸沿いを走る列車が軌道ごと海に崩落し、乗客の多くが命を失うなか、命からがら陸にたどり着いた人々がいること。
大きな揺れの直後に起きた猛火に対し、民衆の避難場所となった各駅がいかに人命と車両や設備を守ろうとしたか。そして震災直後の被災状況をどうやって他の都市に伝えたか。または使いものになら -
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多摩地域出身なので、この本に書かれていることは既知だったことも多かった。が、それらは住民として日々の生活の中で知った事項であったりするので、体系的に学んだわけではなく(体系的に学んだのは小学校時代まで遡るわけで)、断片的な知識になってしまっていた。その断片的な知識をこの本でつなぎ合わせることができ、なるほどと思うことが多々。早速、この本に書かれている場所を訪ねて、自分の目で確かめてみたい。
ただ、付章はいらなかったかな…。分析も浅いし、こういう内容を載せるくらいなら、地形に関してさらにもうひと話題取り上げてくれたほうがよかったのにと思った。 -
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本来なら東京オリンピックは、外国からの観光客を迎えてアピールするいい機会だったのだろうが、コロナウイルス感染拡大でうまく行かなくなった。
外国人が日本のどんな所に期待してやってきたのか、そして迎える側の日本人が見せたかったものの間にはギャップがあったようだ。
明治時代に外国人が日本のどのような点に興味を抱いていたのかわかるのが旅行案内書だ。
アーネスト・サトウという幕末に日本にやってきたイギリス人外交官が編著者として関わった旅行案内書がある。それは「明治日本旅行案内」だ。最初は横浜に拠点を置くケリー社から発行された。第2版からは創業1768年のイギリスの出版社マレー -
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鉄道と街道の関係を見るとマリアナ海溝並みに深い。昔の絵や写真と地図を引用しながら説明している。
1872年に開業した新橋ー横浜間の鉄道は、海上に線路を敷いた。その理由の1つは戦後、首都高速を東京オリンピック間に合わせるために川沿いに建設した理由と似ている。
当時のメインストリートだった東海道に人家密集していて鉄道用の敷地を確保しにくかった。その上、漁船の船溜まりあり、線路を敷くと漁船の係留に困る。
この時代ならでは理由があった。それは陸海軍を統括する兵部省が鉄道建設よりも軍艦を建造することを優先して反対した。
様々な事情が積み重なって海上に線路を敷くしかなかった