太田蘭三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・・・・・世界中に男女差別や人種差別が根強くあるように、そしてまた年齢差別という若年層からの老人たちへの差別が厳然と存在する。人間にとって、焼肉定食じゃなかった弱肉強食であってはいけなく共存共栄でなければいけないなずなのに。
ところで、ゆめゆめ老人を侮ってはいけない。老人を汚いとか見苦しいとか見っとも無いとかヨボヨボだとかという眼で見てはいけない。というか、若年層たちよ、そう見えるのは、実は君たちの恐怖の表れなのだ。
目の前の老人は、確実に70歳なら70歳の人生を、荒波を乗り越えて生き抜いてきた人なのだ。20歳の君もやがて確実に、50年後には70歳の老人となる、必ずしもそうなるわけではない、確証は何もないのだ、一週間後に事故で死ぬかもしれないし、2年後には第三次世界大戦が起こって、君は22歳にして戦死するか、安保条約で守ってくれるはずだった米国軍によって空襲で虐殺されるかもしれない、そういうどす黒いもやもやした不安を、無意識裏に感じて、目の前の確実に生きてきた老人を、嫉妬の眼で見て君のこころは慟哭しているのだ・・・・・。
・・・・・うつらうつらしていたら、どこからか低い声で語られる黙示録めいたものが聞こえてきました。
なんだ夢か。親戚の人が心臓麻痺で亡くなりました。また葬式仏教の茶番劇が行われます。そういう時、悔しいさを紛らわすためにこの本を読んだり映画化されたものを見ます。
本書を知ったとき、びっくり仰天したものです。太田蘭三は、津村秀介や斎藤栄のような推理作家の重鎮という認識はありましたし、何作か読んでいましたが、失礼ながら、まさかこういう大傑作を書かれるとは思いもよりませんでした。 -
Posted by ブクログ
評価は4
内容(BOOKデーターベース)
「おれは無実だ!」戦争下の昭和十七年、久世圭介は何者かに恋人を惨殺された。だが、西青梅署は圭介を殺人犯として逮捕した。拷問による執拗な取調べは凄惨を極め、圭介は虚偽の自白を強制され、無期懲役の刑に服した。そして、敗色濃い昭和二十年三月、東京を直撃した大空襲下、圭介は火炎の海の中、脱走した。その日から、圭介は別人になり変わり、冤罪を晴らすべく新たな歩を始めたのだった…。一人の男の数奇な半生を重厚、劇的に描く迫真の推理傑作。
警察官になり、検事になり懸命に冤罪を晴らす。昔はあったんだろうなぁ〜今でもあるかもしれないけど冤罪ってのは辛いだろう。誰も自分を信じてくれないなんて。私なんて言いたいこと言えないだけでも辛いのに。 -
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年老いていくことの哀しさと怖さが、ユーモアを交えながら軽快に語られている。
自らの葬式を演出していた源田が届いた棺桶に入ってみる場面は、何か妙な感じがした。
順番に棺桶に入ってみる老人たち。
この人たちにとって死とはどんなものなのだろう?
老いるという言葉には「枯れる」というイメージがあった。
だが、源田の葬儀で起きた事件は、老人はけっして枯れてなどいないことを教えてくれる。
人生の最後に思い切ったことをした女性の心情が現実感のあるものなのかどうか。
わからないけれど…。
クライマックスはやはり老人たちが「死に花」を咲かせる場面だろう。
なぜか活き活きとしている老人たちの姿が、哀しくもあり、おかしみもあり。
それぞれの人生で得た経験と知識を総動員し、「死に花」を咲かせるべく奮闘する過程は読み応えがあった。
何歳になっても生きる目的がある人は輝いている。
そんなふうに感じた物語だった。 -
Posted by ブクログ
今年の2月に『白の處刑』を讀んで以來の太田蘭三作品。
太田蘭三といへば、私にとつてのベストは『脱獄山脈』。
その次に面白かつたのが、今囘の『死に花』だ。
この作品では、山も釣りもさほど絡んでこない。
主人公は老人ホームに入所してゐる「老人」達である。
彼らは自らの「老い」を認めた上で、最後の「死に花」を咲かせやうとする。
そして、その「死に花」たるや・・・
これまでの經驗や智慧を活かしての、人生最後の大バクチ!
さて、このバクチは、果して成功するのか?
主人公はいづれもひと癖もふた癖もある老人達で、彼らの言動そのものが面白い。
爺さんと婆さんのセックスまで描かれてゐるが、それもまた一興。
「老いる」とはどういふことなのか。
そんなことを考へさせられた。
北多摩署の蟹澤警部と相馬刑事が登場するのも、太田蘭三ファンには嬉しいところ。
ちなみに、この作品は映畫化され、5月8日から全國の東映系で上映されてゐる。
2004年4月30日網走にて讀了
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Posted by ブクログ
1989年に書かれた作品なので、内容的に昭和感が強い。
忍びこみ専門の泥棒である八島大二郎は、泥棒の二代目で、父親は警察でも有名な泥棒だった。
そんな大二郎が盗みに入った宝石商の事務所で、金庫から出てきたのは死体だった。
大二郎は驚き逃げそびれ、そのまま逮捕されるが、殺しはやっていないのに、その罪まで被せられては堪らないと逃走。
聴取されていた刑事の蟹沢は、大二郎の父親も知っており、その相棒の相馬は大二郎を逃がしてしまったと大目玉をくらう。
しかし、大二郎は自分で殺人犯を捕まえることにしたと連絡してくる。
刑事と泥棒と被害者の娘と…奇妙な関係性が築かれながら、犯人探しが始まる。
古い話だけど、なんともテンポが良くて面白く読めた。
2026.4.6
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太田蘭三の長篇ミステリ作品『箱根路、殺し連れ~北多摩署純情派シリーズ3~』を読みました。
ここのところ、国内のミステリ作品が続いています。
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北多摩署・相馬刑事の車から絞殺死体が発見された!
被害者は新宿・歌舞伎町の駐車場オーナー・平賀喜一郎。
彼は高額地所所有者ゆえに殺されたのか?
所轄外のため捜査できない相馬刑事だが、箱根・芦ノ湖で揚げ羽蝶の刺青をした溺死体を発見、平賀殺害の容疑者との間に奇妙な共通点を見いだした!
お馴染み相馬刑事(ウマさん)が泥棒(ノビ)の大二郎とコンビを組んで大活躍!
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1994年(平成6年)に刊行された、北多摩署純情派シリーズの第3作です。
■死体とドライブ
■箱根の滝と湖
■物色の跡
■死体遺棄
■重要参考人
■自供の内容
■解説 中島政利
上司の小言は馬耳東風、ウマさんこと、北多摩署刑事・相馬の車で死体が発見された… 新宿歌舞伎町で駐車中に運び込まれていたのだ、、、
微妙な状況に置かれた相馬は、所轄外の事件を単身、追う… 被害者は駐車場オーナー・平賀喜一郎、平賀が高額の地所を所有していることから、巨悪の匂いを嗅ぎ取る相馬。
しかし所轄署からの圧力により、相馬は捜査を断念… 休暇を取り、箱根へ向かった相馬は芦ノ湖で溺死体を発見する、、、
死体には奇妙な揚げ羽蝶の刺青が… しかも平賀殺害の容疑者に同じ刺青をした者がいたことが判明、さらに箱根登山道で出会った女にも不審な行動が浮かぶ。
二つの事件に深く関わった我らがウマさんの相棒は、泥棒の大二郎… 捜査本部の顰蹙を買いつつ、事件の鍵を握り疾走する純情刑事に勝算は!?
北多摩署の名物刑事、箱根路を駆ける! 爽快人情警察小説。
<駐車場管理人殺人事件>と、その容疑者であった駐車場管理人の息子が殺された事件… そして<多摩川バラバラ女性殺人事件>を、有馬刑事と泥棒の大二郎のコンビが見事に解決する展開、、、
新宿歌舞伎町で発見された遺体と、芦ノ湖で発見された遺体を、いずれも有馬刑事が発見し、さらに多摩川バラバラ女性殺人事件の関係者と有馬刑事は箱根登山道で出会っていた… という現実離れした都合の良い展開には苦笑してしまいましたが、読みやすい平易な文章とキレの良い絶妙な会話に惹き込まれて、意外と愉しめました。
読みやすい… というのは、小説としては大切な要素だと思いますからねー 次も太田蘭三の作品を読んでみようと思います。