永山則夫のレビュー一覧
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永山則夫(1949~97年)は、北海道網走市で、8人兄弟姉妹の第7子(四男)として生まれ、幼い頃に父親は家からいなくなり、母親や兄弟からも疎まれて育ち、小学校、中学校にはほとんど通わなかった。集団就職で上京した後、仕事を転々としながら、ときに窃盗事件を起こし、また、外国船に乗って密航を企てたりしたが、一時通った明大付属中野高校夜間部では上位の成績だったという。そして、1968年、19歳のときに、在日米軍・横須賀基地内の住宅で盗んだ小型拳銃を使って、4件(東京都・京都市・函館市・名古屋市)の連続殺人事件を起こし、最終的に死刑判決を受け、1997年に死刑が執行された。
本書は、ほとんど学校に通うこ -
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1968年に4人を殺害した事件で知られる著者が、獄中で哲学や心理学などの本をむさぼるように読みながらつづった手記です。
見田宗介は『まなざしの地獄―尽きなく生きることの社会学』(河出書房新社)で著者をとりあげ、高度成長期の疎外状況における著者の実存に迫る考察を展開しています。また、批評家の井口時男や、近年では哲学者の細見和之も、著者について鋭い論考を発表しています。
本書につづられているぎこちないことばを読みながら、いったい著者は、マルクスやカントのことばをどのように読んでいたのだろうかという疑問に、つねにつきまとわれていました。おそらくわれわれがマルクスやカントを理解するように読んでいた -
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永山則夫は1968年のうちに
米軍基地から盗んだ拳銃を用いて4人を殺した
これといった理由もなく
そうすることで、自分という存在を見いだそうとしたのだ
とする評論家もいた
彼が、家族愛をまったく知らなかったものかどうかはわからない
甘えの感情から、悪い記憶に固着して
被害者意識を募らせていただけという可能性もある
ただしまともな生育環境に置かれてなかったことは確かだ
中卒で学もなかった
この書物は、永山が逮捕された直後の拘留中
新聞雑誌等からの漢字の書き取りに並行して、ノートの余白に記された
詩や雑感をまとめたもの
殺人者の回想録としてはまったく空虚なものだ
どこかで見たものの寄せ集めと言っ -
Posted by ブクログ
ネタバレかつて4人を殺害した事件の犯人で、死刑に処された筆者の、自伝にも似た作品…なのかな?簡素で素朴な文体が北国の寒々しい雰囲気や、N少年の寂しく孤独な感情を表してるかのようで、読んでいるとこっちまでわびしい気分になってきます。
ただ、厳しい見方をすると、自分が荒んでしまった理由をすべて他人や境遇のせいばかりにしているようにも感じられます。普通だったら同情を禁じ得ないはずの内容なのに、自分可愛さが前面に出過ぎていて、同情どころか自分勝手な人だなぁという印象すら覚えてしまいました。
現実と著作の中身を切り離して読むことが出来れば、違った受け捉え方が出来たと思うのですが… それが出来なかったためか、 -
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河出文庫版はかなり内容が追加されているらしい。
よく言われているように、著者は確かに詩才があり、知識欲やその吸収力も凄い。でも、本書で書かれているのはいわば延々と、自分が殺人を犯したことは社会のせいであるという開き直りである。殺された4人の遺族に印税を寄贈したらしいけど、これじゃ、受け取りを拒否した遺族がいたのも無理はない。殺された側にとっては、なぜ自分が・父が・息子が、ということが最大の問題だが、永山はそこに対しては語りかける言葉を持っていないようである。
この本を読んでいるときに、取手駅前でリストラされた男がバスの中で刃物を振り回す事件が起きた。これも社会のせいなのだろうか。いや、社会のせ -
Posted by ブクログ
未成年時に米軍から盗んだ拳銃で四人殺した凶悪犯が書いた手記。
詩に関しては読むべき価値は十分あると思う。
文学的もそれなりに評価されたのも頷ける出来となっている。
ただ後半に占める政治的・哲学的考察はどうも好きになれなかった。
古臭さとともに幼いような気がした。
多分彼がこういう思想に走ったのも取り巻きの影響が大きかったのではなかろうか。
中途半端に知識を得た人間がよく陥る典型というのだろうか。
また自己愛も随分強いな、と。
まあ獄中結婚したくらいだし、なんだかんだと言いながらもこの人は俗物だったのだろう。
それでも読み書きも満足にできない人間が刑務所で独学し、ここまでのもの