松村劭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・たとえば、一家で奥さんが、「子供によい教育を受けさせるためには、〇〇学校に入れてその後は海外に留学させなければなりません。そのためには、授業料が高くてもA予備校に入れなければ。このままでは将来の希望がないのよ」といえば、一方で夫のほうは、
「そんなことをいったって、いま俺が稼げるのはこれが精一杯だ。会社の付き合いの飲み代にもこと欠く始末なんだから…。でもそれをしなければ、稼げるようになる人間関係もできないんだよ。少しづつしか進めないんだ」という。
…奥さんのほうは目標からアプローチするから、どうすべきかの道は見えるが、現実とのかい離が大きくて答えが出ない。一方、可能性からアプローチする夫のほうは、遠くに目標は見えるが到達する方法はなかなか見つけることができない。この夫婦の議論は永遠に結論が出ない。異なる国の軍隊が共同して戦う連合作戦が可能なのは、ほぼこの「見方、考え方」の手順が合っているからだ。
・それまで米軍は定型の状況判断の思考方法を実はもっていなかった。ドイツ軍もフランス軍も同様で、どちらかといえば、「目的に寄与するためには、何をしなければならないか」を考察し、それを達成する方法を経験則に当てはめて実行要領を定め、妨害する敵と戦い、戦闘環境を排除するという「演繹的思考過程」を使っていた。要は、「何をすべきか」を考える方法だが、これは米軍も日本軍も同じだった。
考え方が違っていたのは、英軍で、彼らは「遠くの目的に向かって何ができるか」の選択肢をかき集めて、最も容易な道を選択するという「帰納法的思考過程」を使っていた。「何をすべきか」ではなく、「何ができるか」を考える方法である。なるほどイギリスはゴルフ発祥の国といわれるだけあって、考え方はゴルフ的だ。ピンが立っている遠くのグリーンに近づくために、とりあえず最初の一打で、どのクラブを使ってどこを狙って打つのが合理的か、と考える。
・ある命題、つまり「何かのために」「どうすればよいか」という結論を得る考え方が適用される状況は、「かけ引き」を必要とするかどうかによって、二つに分かれる。
たとえば、前者は、東京から富士山麓の山中湖に行くときに、高速バスを使うか、電車を乗り継ぐか、レンタカーで行くかの三つの選択肢の中から最良案を選ぶようなケースであり、後者は、犯人(自分)が警察(敵)に捕まらずに東京から山中湖に逃れるのに、どの移動方法が最も危険が少ないか、を考えるようなケースである。
・フランス革命に命を賭けていたころのナポレオンは、ある人から戦略の極意とは何かと尋ねられて、
「一人の農民に『ジェノアに行く道は?』と尋ねたら、『ボビオの街を通って(もっとも判りやすい経路)を行け」と答えるだろう。そして、そうするのが最も優れた戦略機動である」と答えている。
・実際には、部下部隊は容易に実情を報告しないものである。それは悪意があって報告しないのではなく、部下の性格や直面している状況によって実情の認識や報告のタイミングが狂ってしまうのである。
気の強い部下なら、苦戦していても「大丈夫です」と報告するだろうし、慎重な部下なら、「敵の勢いが強くて、苦戦中」と報告するだろう。戦闘の最中にある部下なら、「報告は後回しだ」ということになり、戦況が不明なら「見込み勘定で報告」する。
だから、名将ロンメルは機関銃大隊を自分の直轄指揮下におき、味方の第一線の状態を報告させた。パットンは騎兵大隊を、モンゴメリーは”ファントム部隊”を臨時に編成して同じ目的に使った。
・「主敵はどれか?」の認識は、よほどのことがないかぎり間違うことはない。問題は主敵のなかの”打撃する弱点”をいずこと判断するかにある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
異なる国の軍隊が共同して戦う連合作戦は、いかに遂行されるのか。
指揮系統の上下間や部隊間で、スムースな調整を行なうためには、「見方、考え方」の順序を厳密に定めることが不可欠だ(「軍隊の思考過程」)。
一方で、組織の上に立つリーダーの思考法は正反対。
体験的知識をもとに「直覚」を活用し、電光石火、手を叩く間もなく決断し行動する(「プロの思考過程」)。
本書では古今の軍隊の豊富な事例と名将の言葉をもとに、状況判断における二つの思考過程を徹底的に解剖する。
[ 目次 ]
第1章 軍人のものの見方、考え方
第2章 目標の選択
第3章 名将たちの思考過程
第4章 状況の特質を把握する
第5章 四分の三は霧の中
第6章 転機を知る
第7章 全感覚の活用
第8章 連想と直覚
第9章 納得できる説明
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
相変わらず松村さんの本は要点をまとめにくい。けどこの著作でもいつもどおりのことを言っている。
軍人が徹底した現実主義であるべきこと、それから命題・前提・分析・総合・結論の手順で思考する演繹的帰納法、それから目標を立てる際に代替のきくものを選ぶとか、それから自身でいろいろ経験し、さらに歴史を追体験することの大事さ、修練によって得る得意技、状況を把握し全感覚を活用し直感的に決断し合理的な説明を創ること、それから敵の選別、敵の出方をできる限り考えること、ブレーキ現象とゆう転機、しっくりこないなら視座を変えてみること、クードゥイユやら心眼について、そして軍人が政治的配慮を一切せず戦理にのみ基づいて行動すること。
こんな感じ。