饗庭孝男のレビュー一覧

  • 日本の隠遁者たち

    Posted by ブクログ

    能因と西行、長明と兼好、芭蕉、山頭火と放哉の姿をたどりながら、日本における「隠遁者」のあり方について論じている。

    「竹林の七賢」に代表される中国の隠者たちの背景には、権謀術数が渦巻く過酷な政治があると著者は指摘している。彼らは、時の政治権力に反抗的・批判的だった。彼らは、反政治的なトポスとしての農村=「自然」を、みずからの生きる場所としたのである。しかしそれゆえ、彼らは「可能性としての政治」に賭けているということができる。

    他方、西欧にも隠者の系譜は存在する。彼らは、自己の内なる「悪」を退け、キリストへの「模倣」としての修業の道として、隠者という生き方を選んだ。彼らの内面劇がおこなわれてい

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    2014年01月01日