宮下誠のレビュー一覧

  • 20世紀絵画~モダニズム美術史を問い直す~

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     絵画鑑賞の醍醐味は、感覚的な「好き嫌い」にとどまらずその絵画を正しく「理解する」ことであり、人間関係同様相手を「わかる」ことで単なる「好き嫌い」以上のより深く分かちがたい関係を築けると著者はいう。
     本書の軸になっているのは抽象と具象の二元論だが、二次元と三次元、物語性とコンセプチュアルなど、絵画における様々な対立概念も紹介されており、20世紀絵画史を俯瞰できる。作品の成立には社会的風潮・思想・時代背景などが深く関わっており、絵画が視覚的な快・不快を超えた時代時代の一つの結晶であることがわかる。

     様式・概念など単なる絵画好き以上の知識を必要とされるため、読破するのに非常に時間がかかり、こ

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    2015年11月17日
  • 20世紀音楽~クラシックの運命~

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    超お勧め本。現代音楽に関心がある方には是非読んで欲しい。著者が素人の音楽ファンであることがまず〇。あくまでファンの観点からお勧めの曲が大量に紹介されいる。読んでいる最中だが、この分厚い内容で1000円は滅茶苦茶安いと思う。

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    2012年08月16日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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    どういう内容の本多か調べもせず何気なく買って何気なく読み出したのだが、カラヤンを通して20世紀という時代の人類の行過ぎた快楽主義を問うという内容だった。しかもカラヤンと比較されるのがクレンペラーとケーゲル。読み始めてどんどん引き込まれていった。しかし、この本で使われている言葉、哲学や美学の用語なのだろうが私には一度読んでも意味が酌めずに数回読みかえした文が何回も在った。

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    2011年04月23日
  • 20世紀絵画~モダニズム美術史を問い直す~

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    これはよかった。
    20世紀絵画というものをどのように捉えるべきか、という指針(“まなざし”とでもいうのだろうか)のようなものを呈示してくれていて、しかもそれらが作品ごとに章立てされているので、非常に分かりやすく、自然な形でそれを受け取れた気がする。

    私たちが絵画を見るときに感じる「わかる」/「わからない」とはどういうことなのか。なぜ、黒い正方形は「わからな」くて、モナリザは「わかる」と感じるのか。それは恐らく私たちが「そこに何が描かれているのか」という点に注目しすぎるからだろう。私たちは絵を観るときに、それを現実世界の延長として捉えているのではないだろうか。このような姿勢に対して、著者は極め

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    2009年10月04日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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    指揮者として他に例を見ないほどの地位、名誉、そして破格の収入と財産を築き上げたカラヤン。彼が何を考え、どのように歩んでいたのか。
    それは音楽性とは無関係とは言えないが、多分に政治的な権力を行使してきた結果でもある。

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    2021年11月17日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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     『クレー──越境する天使』のなかで、本書のことが触れられ、その内容に対する中傷によって、著者は相当に消耗したと書いてあった。カラヤン的なものが、その流線型への化粧が覆い隠してしまった、音楽が本来深く肯定すべき、苦悩に満ちた、死と隣り合わせの生の本質に迫る表現を、クレンペラーとケーゲルの仮借のない音楽に見て取る著者の議論が、なぜそれほどの攻撃の対象にならなければならないのか。そこには一部の歴史修正主義とも共通する、慰撫された状態を逆撫でされることへの過剰な反撥があるのかもしれないが、そうしてまで寄りすがろうとするものが虚無でしかないことを、まずは直視するべきだろう。ただ、そのことを暴き出す著者

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    2011年06月20日
  • 20世紀絵画~モダニズム美術史を問い直す~

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    [ 内容 ]
    私たちは、ある絵画作品に出会い、そこに何が描かれているかを「再認」しえたとき、その絵を「わかる」という。
    しかし、なぜそれほどまでに私たちは絵を「わかろう」とするのだろうか?
    20世紀に描かれた絵画は、それ以前の絵画が思いもしなかった無数の認識をその背景に持っている。
    そして、絵とは具象/抽象の如何にかかわらず、作家のアイデンティティ、或いは民族のアイデンティティと深く結びつき、時代を映す鏡となり、私たちの「鏡像」となっているのだ。
    本書では「具象/抽象」「わかる/わからない」の二元論に終止符を打ち、“旧東独美術”も視野に収めた新しい解釈パラダイムを提案する。

    [ 目次 ]

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    2011年04月08日
  • 20世紀絵画~モダニズム美術史を問い直す~

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    いわゆる「わかる」写実的な絵画というのは近代の人間中心主義が成立したごく限られた時期と地域のものでしかない、という主張は説得力あり。

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    2009年10月04日
  • 20世紀絵画~モダニズム美術史を問い直す~

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    記述の仕方が理論的というか仰々しいというか。でも、感覚だけで鑑賞した人の記述よりは得るものがある。というかものすごく勉強になる。
    東欧の絵画は筆者もいうように衝撃的だった。必見。
    新書としてはいい本と思われ。

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    2010年03月11日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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    カラヤンによってクラシックは大衆に消費されるものになってしまったことを舌鋒鋭く批判している本です。

    著者は本書を「精神史」の方法にもとづいて執筆したと述べており、アドルノを思わせる消費社会と大衆に対する呪詛のことばがつづられるとともに、カラヤンがそうした二十世紀の動向にみごとにこたえるような天才性をもっていたことを、皮肉めいた筆致で論じています。そのうえで、オットー・クレンペラーの「世界苦」(ヴェルトシュメルツ)と、ヘルベルト・ケーゲルの「絶望」に、現代のクラシック音楽を取り巻く閉塞した状況から脱する道筋を見いだそうとしています。

    本書の議論そのものはおおむね興味深く読むことができました。

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    2019年06月27日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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    言っていることは概ね当たっていると思うし共感も感じるが、カラヤンによって薄っぺらで物事を深く考えない今の社会がもたらされてるというのは言い過ぎである。むしろそのような社会の兆候あるいは表出がカラヤンなのではないかと思った。

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    2013年01月11日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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    駅ビルの本屋さんで購入する。正直、期待はずれでした。著者の本は、いつも期待はずれです。この本を読むまでは、こちらが悪いと思っていました。僕には、美術、音楽を楽しむための基礎的教養が欠けています。それが、理由だと思っていました。もちろん、それも、原因の一つだと思います。主な原因は、著者にあることが分かりました。芸術評論は、可能なのでしょうか。絵画を見て、美しいと感じる。音楽を聴いて、すばらしいと感じる。それは、言葉で表現できるものではないでしょう。もちろん、何故、すばらしいと感じるのかを知りたいと思います。しかし、それは不毛なことではないでしょうか。著者の書くものは、すばらしいという感動と理屈が

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    2014年07月23日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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    ちょっと面白いタイトルでしたので、手にとってみました。今は自分で演奏することはないですがクラシックは4年間いちおう演ってましたので気になります。

    さて、内容は表紙に記述されているものをそのまま引用します。

    20世紀を代表する指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤン。その流麗な「美」に魅せられた人は少なくないだろう。しかし、「カラヤン以後」、音楽の風景は一変し、何かが決定的に失われてしまったことに気づいているだろうか。かつて音楽を聴く聴衆は、その成り立ちに息を潜めるがごとく、宗教儀式のように音楽を体験し、享受した。そこには特別な「意味」が存在した。
    本書は、カラヤンの音楽と、それを鋭く断罪する二

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    2011年06月08日
  • カラヤンがクラシックを殺した

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    [ 内容 ]
    20世紀を代表する指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤン。
    その流麗な「美」に魅せられた人は少なくないだろう。
    しかし、「カラヤン以後」、音楽の風景は一変し、何かが決定的に失われてしまったことに気づいているだろうか。
    かつて音楽を聴く聴衆は、その成り立ちに息を潜めるがごとく、宗教儀式のように音楽を体験し、享受した。
    そこには特別な「意味」が存在した-。
    本書は、カラヤンの音楽と、それを鋭く断罪する二人の音楽家、オットー・クレンペラーとヘルベルト・ケーブルの、絶望や狂気、矛盾や破滅が内在する『危険な音楽』を通して、20世紀から現代までを覆う「負の遺産」を問い直し、音楽、芸術、そして人

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    2011年04月09日
  • 20世紀絵画~モダニズム美術史を問い直す~

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    序章 『モナリザ』も『黒に黒』もわからない?(わからないから嫌い?
    新たな謎 ほか)
    第1章 抽象絵画の成立と展開(平べったい裸婦―マネ『オランピア』
    行く川の流れは絶えずして―モネ『陽を浴びる積み藁』 ほか)
    間奏 “旧東独美術”の見えない壁
    第2章 具象絵画の豊饒と屈折(風景の形而上学―ベックリン『死の島』
    揺れる自意識―ムンク『叫び』 ほか)
    終章 「わかる」ということ(「わかる抽象」と「わからない具象」
    『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 ほか)
    ピカソ、クレー、マティス、の天才と東独の美術がカラーでも採り上げられているところが頼もしいものにしている美術の評論集。著者は、抽象を

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    2009年10月04日