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20世紀に描かれた絵画は、それ以前の絵画が思いもしなかった無数の認識をその背景に持っている。「具象/抽象」「わかる/わからない」の二元論に別れを告げる新しい美術史。
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Posted by ブクログ
絵画鑑賞の醍醐味は、感覚的な「好き嫌い」にとどまらずその絵画を正しく「理解する」ことであり、人間関係同様相手を「わかる」ことで単なる「好き嫌い」以上のより深く分かちがたい関係を築けると著者はいう。 本書の軸になっているのは抽象と具象の二元論だが、二次元と三次元、物語性とコンセプチュアルなど、絵画...続きを読むにおける様々な対立概念も紹介されており、20世紀絵画史を俯瞰できる。作品の成立には社会的風潮・思想・時代背景などが深く関わっており、絵画が視覚的な快・不快を超えた時代時代の一つの結晶であることがわかる。 様式・概念など単なる絵画好き以上の知識を必要とされるため、読破するのに非常に時間がかかり、この分野での勉強不足を痛感した。学びなおして再読したい。
これはよかった。 20世紀絵画というものをどのように捉えるべきか、という指針(“まなざし”とでもいうのだろうか)のようなものを呈示してくれていて、しかもそれらが作品ごとに章立てされているので、非常に分かりやすく、自然な形でそれを受け取れた気がする。 私たちが絵画を見るときに感じる「わかる」/「わか...続きを読むらない」とはどういうことなのか。なぜ、黒い正方形は「わからな」くて、モナリザは「わかる」と感じるのか。それは恐らく私たちが「そこに何が描かれているのか」という点に注目しすぎるからだろう。私たちは絵を観るときに、それを現実世界の延長として捉えているのではないだろうか。このような姿勢に対して、著者は極めて重要な指摘をしている。それは「絵画はイリュージョンに過ぎない」という指摘である。それが何を意味するのかについてはぜひこの本を読んで考えて欲しいと思いました。 具象絵画=わかりやすいなのか?(じゃあたとえばブロンジーノの「愛の寓意」はわかりやすいのか??)そもそも絵画を「わかる」ということの意味。そういったことを色々考えさせてくれる良書です。
[ 内容 ] 私たちは、ある絵画作品に出会い、そこに何が描かれているかを「再認」しえたとき、その絵を「わかる」という。 しかし、なぜそれほどまでに私たちは絵を「わかろう」とするのだろうか? 20世紀に描かれた絵画は、それ以前の絵画が思いもしなかった無数の認識をその背景に持っている。 そして、絵とは具...続きを読む象/抽象の如何にかかわらず、作家のアイデンティティ、或いは民族のアイデンティティと深く結びつき、時代を映す鏡となり、私たちの「鏡像」となっているのだ。 本書では「具象/抽象」「わかる/わからない」の二元論に終止符を打ち、“旧東独美術”も視野に収めた新しい解釈パラダイムを提案する。 [ 目次 ] 序章 『モナリザ』も『黒に黒』もわからない?(わからないから嫌い? 新たな謎 ほか) 第1章 抽象絵画の成立と展開(平べったい裸婦-マネ『オランピア』 行く川の流れは絶えずして-モネ『陽を浴びる積み藁』 ほか) 間奏 “旧東独美術”の見えない壁 第2章 具象絵画の豊饒と屈折(風景の形而上学-ベックリン『死の島』 揺れる自意識-ムンク『叫び』 ほか) 終章 「わかる」ということ(「わかる抽象」と「わからない具象」 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
いわゆる「わかる」写実的な絵画というのは近代の人間中心主義が成立したごく限られた時期と地域のものでしかない、という主張は説得力あり。
記述の仕方が理論的というか仰々しいというか。でも、感覚だけで鑑賞した人の記述よりは得るものがある。というかものすごく勉強になる。 東欧の絵画は筆者もいうように衝撃的だった。必見。 新書としてはいい本と思われ。
序章 『モナリザ』も『黒に黒』もわからない?(わからないから嫌い? 新たな謎 ほか) 第1章 抽象絵画の成立と展開(平べったい裸婦―マネ『オランピア』 行く川の流れは絶えずして―モネ『陽を浴びる積み藁』 ほか) 間奏 “旧東独美術”の見えない壁 第2章 具象絵画の豊饒と屈折(風景の形而上学―ベックリ...続きを読むン『死の島』 揺れる自意識―ムンク『叫び』 ほか) 終章 「わかる」ということ(「わかる抽象」と「わからない具象」 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 ほか) ピカソ、クレー、マティス、の天才と東独の美術がカラーでも採り上げられているところが頼もしいものにしている美術の評論集。著者は、抽象を分かり易いそれと具体を分かりにくいそれとも見方の枠組みを提示。抽象を非対象絵画としても観ることも提示。この観点からだろうがカンディンスキーを保守的な画家、具象から抽象への過渡期的な画家としても読み込んでいる。 東独の具象的なマイスタージンガー的完成度の中に、抽象的な思考を認められるのに宮下誠の戸惑いが認めれられる。絵画表現は、主体的表現であって、主観がどのように内海あるいは外界を認め、それをどのき重点を置いて表現するかの表現様式の差に過ぎない。よって、外界的な具象の形象が作家本人の認識を定着させることにある。したがって、具象の中に抽象が、その逆も主体として表現されるわけである。その過程で様式が作家個人の自己として確定されていくことにもなる。画家の自己は、書き込むことに於いて確定されていく過程で、内海と外界が作家個人に統一されていくのだろう。よって、美術作品はそれを観るもの想像力の形態を規定すると同時にその自由から己の規定し絵を屈指し作家の存在様式を確認するのである。マルクスは、「経済学批判」で、具体と抽象についてコメントしているようだが、具体とは、関連を統一的に把握することであり、抽象は現象をばらばら捉える認識をいう。その意味では、抽象画は具体的であり、様々な物事と想念を統一的に表現したものとなる。 ま、読み応えは充分にあったので、☆三つ。
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20世紀絵画~モダニズム美術史を問い直す~
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