熊谷亮丸のレビュー一覧
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2021年ももう少しで終わる。この時期になると来年の経済はどうなるという本が出始める。
日本経済はどうなるのか。「人の話を聞く」を売りにしている岸田文雄内閣だが、果たして聞いたことを政策にして実現できるのかな。
「2022年も不確実性が大きい日本経済の先行き」としている。確かに、コロナウイルス感染拡大の影響は、外国に比べて経済損失あるいは死者数では少ない。
しかし、全産業で見ると経済活動の業種格差は、リーマン・ショック後並みに拡大している。
日本経済が回復するかどうかは、個人消費と過剰貯蓄次第と指摘している。個人消費は分かるが、「過剰貯蓄」とは何か。過剰貯蓄は、就業の有無や年収に関係なくあり、特に高所得世帯と無職世帯で増えている。
一見すると、高所得世帯の消費が増えたようなニュースを見聞きするが、過剰貯蓄が消費に回り、日本経済が潤うかと言うとそんなに単純ではない。
高所得世帯の過剰貯蓄は、12.7兆円ある。そのうち5.7兆円は住宅ローンを返済している2人以上世帯が保有している。
その上、子供がいれば教育費もかかる。教育費に充てるための貯蓄をするので、大盤振る舞いとは行かない。
無職世帯に関しては、もともと持っている貯蓄額が少ないこともあり、過剰貯蓄を切り崩して、パーッと使おうという意欲がない。
アメリカに目を移すと、コロナ禍からの脱却で、実質GDPがコロナ禍以前の水準に戻りつつある。
しかし、アメリカにも抱えている問題がありバラ色とは行かないようだ。インフレ率が加速して物価が上がっている。その上に、アメリカに入ってくる商品がコロナ禍による海外の工場閉鎖や港湾施設及びトラックドライバー不足で、供給不足になっている。フライドチキンもその影響を受けている。
アメリカの場合、政治リスクもある。来年の中間選挙で与党民主党が過半数を取らないと「決められない政治」で、混乱する。
変異株が現れても影響が限られて、コロナウイルスが収束し、サプライズチェーンも回復すればのぞみはなくてもひかりぐらいは見えてくるのかな。 -
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ネタバレ熊谷氏の解説は、テレビを拝聴しても、書籍でも、非常に論理的でわかりやすいと感じています。
本書は、まず第1章で新型コロナとの向き合い方について述べられています。対策案として挙がる消費減税、所得補償、コロナ国債などについての意見がまとめられています。
著者が反対意見を持つ事柄についてはその理由を明確に述べています。政策を実行した場合のメリットデメリットの比較などを提示しています。これらが自分の意見を持つのに参考になります。
意2章では、SDGs、格差、米中対立などの8つの構造変化について解説。
これらを踏まえて、日本の強みと弱みを分析し、ポストコロナをどう生きるかのテーマにつなげているという構成になっています。
リズムよく読み進められるので、ページをめくるペースも軽快です。個人的には「あとがき」が一番面白かったかな。 -
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アクティベーションプログラム(職業訓練、コーチング、就業体験などの就労移行支援プログラム)in Sweden
生成AIによって変化する職業
協働グループ、代替グループ、その他
代替グループは仕事奪われやすい
その他は奪われにくい
代替グループは女性6割
ヒトの流動化
モノ・サービスの流動化
コロナによって露呈したサプライチェーンの脆弱性→デカップリング、再編成
フレンドショアリング
国際物流、地政学リスク
地球温暖化、エネルギー問題
中国依存、過剰生産
カネの流動化
大規模カネ余り
金融政策の転換、2024年の利上げ、
半導体投資促進
家計の過剰貯蓄 -
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本書は、コロナ禍真っ只中の2020年に執筆され、ポストコロナ時代の経済変化を分析した一冊である。「格差拡大による反グローバリズム・ナショナリズムの台頭」や「サプライチェーンの再構築の必要性」 など、実際に起こった変化を予測していた部分も多い。一方で、「都市部の地価が大幅に下落する」 という予測は外れており、2025年現在も地価の下落は限定的である。コロナ後の世界を正確に見通すことの難しさを実感させられる。
●中国経済の分析
本書で特に興味深かったのは、中国経済のバブル構造とデータ管理の優位性 に関する分析である。中国の不動産バブル崩壊はすでに現実のものとなっており、短期的な経済の持ち直しはあっても、中長期的には厳しい状況が続くと予測される。
一方で、中国の「データを制する者が覇権を制する」という考え方にも注目すべきだ。民主主義陣営ではデータは民間企業に帰属するが、共産主義の中国では国家がデータを一括管理する。この体制により、①モラルハザードの抑制(怠けた者が得をしない)、②エリート層の能力不足の補完 という、共産主義の長年の課題を解決している。
●日本人の強み・弱み
本書では、日本人の特性についても鋭い指摘がなされている。
<強み>
✅ 社会の安定性が高く、サステナビリティに優れる
✅ 勤勉さ・繊細さが、世界一の技術とサービスを生む
<弱み>
❌ 強いリーダーシップを嫌い、嫉妬深い傾向がある
❌ 付和雷同的で「熱しやすく、冷めやすい」
❌ 論理的思考力の弱さと情緒的な意思決定
❌ スピード感の欠如
❌ 多様性の欠如
特に、「熱しやすく、冷めやすい」という特性は、著者の指摘の中でも印象的だった。例えば、2005年の「郵政解散」で小泉政権が大勝した後、2009年には民主党へ政権交代が起こる など、日本の政治の流れは短期間で大きく変わりやすい。また、戦時中は敵対していたアメリカに対し、戦後すぐに親近感を抱く国民性 も、この特性を裏付けている。
この「水に流す文化」は、人間関係を円滑にする上ではプラスに働くが、失敗の原因を十分に検証しないため、同じ失敗を繰り返してしまう要因にもなり得る。これは、ビジネスや政治の場において、長期的な成功を収める上での課題だと感じた。
●まとめ
ポストコロナの世界を見通すことは容易ではないが、本書では日本・中国を含む世界経済の構造変化について、多角的に分析されている。特に、日本人の国民性や、データを巡る世界の覇権争い についての洞察は、新鮮であった。 -
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戦後最悪の不況をもたらしつつある新型コロナウイルス。それは今後、世界経済に劇的な構造変化を引き起こす。ポストコロナ時代に予想されるグローバルな構造変化を読み解く書籍。
新型コロナウイルス感染症が収束しても、“元の世界”は戻ってこない。感染症の拡大とグローバリゼーションはセットであり、近年の地球環境破壊の深刻さなどを勘案すると、今後も人類は様々な感染症に悩まされ続けることになる。
ポストコロナの時代には、以下の「8つのグローバルな構造変化」が起き、世界はそれ以前と全く異なるものに変わる。
①株主の利益を重視する利益至上主義から、利害関係者や環境などに目配りするステークホルダー資本主義へ移行する。
②格差が拡大し、分断が進む。この結果、反グローバリズム、自国中心主義、ナショナリズム台頭のリスクが高まる。
③新型コロナウイルスをめぐる米中の対立が激化することで、資本主義と共産主義の覇権争いが先鋭化する。
④新型コロナショックの反省を踏まえ、平時の経済性だけでなく、感染症拡大や気候変動など様々なリスクを考慮したグローバル・サプライチェーンを再編する動きが起きる。
⑤金融緩和が長期化し、過度な債務拡大などの不均衡が蓄積することで、金融危機が起きる危険性が高まる。
⑥大きな政府が指向され、財政赤字が深刻化する。そして財政政策と金融政策の境目が曖昧になり、両者の融合が進む。
⑦感染症を避けるために、リモート社会(非接触型社会)が指向されるなど、産業構造に激変が起こる。
⑧感染症に対して脆弱な「中央集権型システム」(都市への集中)から、「分散型ネットワーク」(地方への分散)への転換が進む。 -
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本書は、2011年9月に発行されている。
「東日本大震災の影響を踏まえた上で、今後の日本を中心とするグローバルな経済や金融市場を展望し、わが国がとるべき政策対応に等について考察し」ている。
基本的メッセージが冒頭にまとめられている。
「?世界経済の潮流が着実に『インフレ』へと向かうなか、わが国の『デフレ』基調は曲がり角を迎える。
?しかしながら、東日本大震災の悪影響(電力不足等)や投機的な商品価格上昇といった『供給ショック』が続けば、わが国では良性の『インフレ』ではなく、悪性の『スタグフレーション(不況下の物価高)』が進行するリスクがある。
?わが国の政策当局は、従来以上に、経済の『供給サイド』の政策(電力不足問題の解決)、規制緩和、法人税減税、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加等)と『財政再建』への取り組みを強化する必要がある。」
「日本は赤字国家に転落するか 」を読んだ際、「日本の最重要政策課題が『需要刺激とデフレ解消』ではないことは明らかであり、政府は、供給能力の強化を目的にしたサプライサイド政策を早期に実施する必要がある。」という主張に感心したものだが、意外と常識だったことに気付かされた。
エネルギー業界に携わる者として供給サイドの問題に対して、何ができるのかを改めて真剣に考えるきっかけとなった。 -
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輸出産業が日本を支えているとの観点から「円高=悪」という先入観があったが、ひとえにそうは言えないものだなぁという気づきがありました。
確かに考えてみれば、円が高いということは日本が買われていることであり、日本が評価されているということに他ならないと認識。逆に、これだけ負債を抱えながら、円安が止まりませんという事態であれば、いよいよ危険だな、、と。
ただ今日本が買われていることは、欧米の不安定性が原因であり、日本が評価されているわけでないということが問題であり、円高そのものが問題ではない。円高に対応ができないという状況へ問題意識を持ち、官民が一丸となって取り組まなければならないのだろうと感じた。
著者は欧米の景気回復に伴い円安に向かうと述べておりますが、世界に振り回され続ける状況が世界における日本のプレゼンスを示しており、欧米と比して基軸になり得ない日本の現状へ悲哀を感じました。
企業買収、海外移転など円高に適応した経済モデルを進め、強い円を創造していきたいと思いました。そう思うとシンガポールや香港はすごい。
また、雑感としてデフレの経済やBOPビジネスを読んだ際も感じましたが、改めて政治は難しいなぁと。マクロ経済学と経営学、金融工学の背反性を取り持ちながら、全方面が納得する結論を出す。。政治家は大変だなぁ。
円高で潰れた国はない。いかに輸出産業に依存しているか、がわかる。金融リテラシーを学べばお金持ちになれる。