韓国は1950年から1953年までの間に行われた隣国北朝鮮との間の朝鮮戦争の休戦状態にある。休戦中であるだけで、今尚、両国は戦争状態だ。何年か前に北朝鮮からのミサイル攻撃があったのを記憶しているが、1953年以降に大規模な戦闘は発生していない。この戦争自体は北朝鮮が韓国に攻め込んだ事で始まり、両国を支援する各国の犠牲者数も合わせると、百万人以上の命を奪った戦争であり、韓国を支援したアメリカ兵も3万5千名近くが亡くなっている。にも関わらずそれ以前に行われていた第二次世界大戦の印象が大きすぎて、この戦争については「忘れられた戦争」と呼ばれ、歴史に埋もれてしまった。
1950年6月に北朝鮮が38度戦を越えて一気に南のソウルまで攻め入る。劣勢な韓国軍はその後、南方釜山まで逃れるが、朝鮮半島の共産化を恐れたアメリカが、ソウル近郊の仁川に逆上陸し、戦線が伸び切って兵力不足や補給困難に陥っていた北朝鮮軍をアメリカ・国連軍が猛攻する。これで一気に戦局は韓国軍に有利に傾き、北朝鮮軍は北緯38度線どころか更に北へと押し戻され、平壌までをも奪われるという状況に陥った。その後は中国軍の参戦で南北の兵力は互いに責めつ守りつの拮抗状態となるが、最終的に1953年7月に休戦協定が結ばれ、現在に至る。
このような経緯を辿る朝鮮半島であるから、未だ韓国には徴兵制が継続されている。具体的には19歳になる年に徴兵検査(兵役判定検査)を受け、30歳迄に2年弱の兵役義務を終えなければならない。期間は陸軍、海軍、空軍、海兵隊など配属により異なるものの、概ね20ヶ月前後である。よくニュース報道で韓流スターが兵役義務を果たすため軍隊に入隊するシーンが流れたりするが、我々日本人には馴染みのない情景である。ファンにとっては約2年舞台上で見ることができないのだから、それはかなりの精神的ショックに繋がることもあるだろう。
この韓国の兵役に関する様々な情報や、芸能界に与える影響などを制度面や参加した芸能人の言葉などを用い、様々な角度から分析していくのが本書の内容となっている。約2年という期間を兵役に費やし、人気絶頂期にある世界的なスター達がそれをどう受け止め、かつその後の人生に活かしたか。韓国人の国民性なども合わせて、わかりやすい言葉で綴っていく。勿論、ファンにとっての(約2年の空白を耐える)心持ちなどにも影響するだろう。中々我々日本人には理解できないかもしれないが、近年経済的にも芸能面でも大躍進を続ける韓国という国について、より深く理解する一助となるだろう。