産業医による職場の「うつ」の問題への取り組み方を書いた本。
一口に職場の「うつ」といっても、従来型のうつ病ばかりではなく、現代型とか新型とか言われるうつ病もあり、ほかにパーソナリティ障害や統合失調症、双極性障害なども「うつ症状」などと診断書に書かれることがある。
これら職場「うつ」を2本の軸によ
...続きを読むり4分割して示した図はものすごく分かり易い。
4通りの「うつ」に対し、これまでほとんどの職場が従来型うつ病に関する対策ばかり行ってきたが、残り3通りにそれはよくないという。4通りの「うつ」それぞれに適切な対策はこれだ、と著者はその対策を示している。
タイトルがよくなくて、まるで最近話題の「新型うつ病」を<うつ病じゃねえ、甘えんな>とか言っている内容かと勘違いしてしまう。表紙の右上に「間違いだらけの企業の「職場うつ」対策」と書いてなかったら買うのをためらうところだった。
ちなみに著者は「新型うつ」も病気であるというスタンス。従来型ともども、「頑固でこだわりが強い」という共通点があるという(80ページ)。ただし、推奨される職場の対策は両者でかなり違う。手段は違うけど、両者とも大事な人材だから職場にちゃんと戻れるようにする、という対策の目的は同じ。
新型うつだけでなく、従来型うつ病で職場復帰に悩んでいる人にも、読んで得るところがある本。
199ページ以降の「仕事を減らさずにうつを減らす」という項など、この本ならではのいい論考だと思う。