冨田恭彦のレビュー一覧

  • カント入門講義 ――超越論的観念論のロジック

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    口語調で書かれ、かつ、様々な概念が噛み砕いて、説明されているおかげで、哲学書としては、本当に読みやすい本になっている。経験、アプリオリを常に念頭に置きながらの説明で、カントの超越論的観念論を再認識することが出来ました。最後のカント哲学への批判、歪みの指摘も問題意識をもつために初級者には適度な記述でした。カントの人生の来し方も参考になります。

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    2025年12月02日
  • デカルト入門講義

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    ネタバレ

    「省察」を丁寧に解説してくれており、デカルトの論旨をトレースすることができ解像度がぐっと上がった気がします。自然科学領域にも業績のあるデカルトに対し、第一哲学としての形而上学の面にフォーカスしてるのも、自分の興味とマッチしていて楽しく読み進めることができました。
    「コギト・エルゴ・スム」がデカルト哲学の到達点とばかり思っていたけど、明晰明証的な「私」=「心」を始点として、徹底的に疑うことで一旦は存在を否定した神の存在、物質の存在を明らかにしていくところまで証明しているなんて知らなかった。気づけたのは、本書が「省察」を大局的に扱ってくれているおかげです。

    P175:
    人間が間違いを犯すのは、「

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    2022年03月06日
  • デカルト入門講義

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    2冊購入したデカルト入門のうちの1冊。

    『省察』を丁寧に解説してありわかりやすい。「観念とは」というあたりを中心にしてグルグルと回る。

    夢と覚醒時の区別は明確ではない。

    デカルト以降の解説はもう少し読みたかった。

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    2020年09月01日
  • 詩としての哲学 ニーチェ・ハイデッガー・ローティ

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    絶対的なもので束縛する哲学ではなく、創造する哲学を。
    それを著者は詩としての哲学と呼ぶ。

    本当のサブタイトルは、「ロマン主義・ニーチェ・ローティ」だろう。

    他書で冨田先生からローティ哲学の良さを教えてもらったにもかかわらず、その後、勝手に見くびってしまい、本書でまたその価値を再発見できた。やはり原著にあたらなければ。

    終盤のデカルトとカント哲学の真の意図の暴露に目から鱗が落ちる。
    自然哲学の絶対視は、現代こそ戒めなければならない。

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    2020年07月16日
  • 観念論の教室

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    冨田さんの本、ほんとめちゃ面白い

    バークリーの分かり易い解説。
    驚くべき観念論の豊かさに驚く。驚きつつ、違和感、疑問を拭えない。
    そんで、バークリーへの批判として、そうそう、だよね、そこがずっと気持ち悪かったよ、というところを指摘してくれる。
    でも、それでもバークリーの観念論の魅力を話す
    が、最後、明るい観念論としてのバークリと、暗い観念論としてデカルトの懐疑の果ての我と観念だけ、という孤独を紹介したのち、どうしてこんなに暗い観念論は魅力的なのか、となる

    え!デカルト本だったっけか?と思うのだけども、そうでなく、明るい観念論から暗い観念論に転じてしまわないようにね、暗い観念論は魅力的なので

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    2020年02月13日
  • デカルト入門講義

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    これはめちゃくちゃ面白かった

    なんで、デカルト、スピノザ 、ライプニッツといって、フランシス・ベーコン、ジョン・ロック、ときたこのタイミングで、バークリに行かずまたデカルトに戻ったのかと言うと、この著者のロックの本がめちゃくちゃ面白かったから。
    なんだけども、ここで一旦、またデカルトに戻ったのはとても良かった。
    デカルトとフランシス・ベーコン、この2人はそれぞれにとても重要だから、一周して戻ったことは大事だった。

    デカルトの本は難しくないので、いくつか読んでみるべきと思うけども、そうすると、疑問がめちゃくちゃに湧いてくる

    えぇ?となるとこが割といっぱいある

    でも、こんなに有名な人なんだ

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    2020年02月06日
  • ローティ ──連帯と自己超克の思想

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    ローティを軸に、西洋哲学史を丁寧に概観し、布置している。今を生きていく視点が得られた。ロマン主義を再評価できた。

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    2019年05月12日
  • 科学哲学者 柏木達彦のプラトン講義

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    柏木達彦シリーズ文庫版の第2弾ですが,プラトンに関する講義ではないです。前作から通底しているのは,あるがままの事実を我々は見ることはできないということ。結局のところ,観察の理論負荷性に代表されるように,事実を知ることはものの見方に束縛されているということなんですね。つまり,絶対的事実など求めても仕方がない,事実と思っているものは「解釈済みの事柄」なのだ,と。また,科学だけでなく文献学(古典学)もまた観察の理論負荷性があってこそ成立しているということを知りました。プラトンの著書の中に出てくる「アトランティス」は大陸のことではなく○○のことだ!という新説が紹介される第3話は特に面白かった。アトラン

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    2010年08月21日
  • デカルト入門講義

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    後半になるにつれ難しくなる(泣)
    本文の引用を言い換えて分かりやすく教えてくれる。
    理解した気になってる可能性が全然あるけど自分が理解したことはデカルトは哲学、科学の前身のような功績を残したこと。
    まだ科学が成立していない時代で「私」を起点に論理を展開していく。「我思う、ゆえに我あり」の意味が重要なのはそれが原因なのが分かりました。

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    2025年05月17日
  • ローティ ──連帯と自己超克の思想

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    ローティのことを知りたくて読んだが、期せずして西洋哲学史を概観することとなり、かつ平易な語り口で、しかし確信を持って進む叙述には感銘を受けた。端的に言って良著。

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    2020年09月21日
  • アメリカ言語哲学入門

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    ローティに目覚めました。「神は死んだ」ニーチェ的なところがありますね。ただし、ニヒリズムだけではない、そこからの出発、対処もある。

    以前、入門書で読んだときはチンプンカンプンだったデヴィッドソン、クリプキ、そして、同じく概論として学んでいたオースティンやサールのそれぞれの位置づけがわかり、さらに、デカルト、ロック、カントへの架橋もみられ、歯ごたえがありつつも、刺激的な読書でした。

    絶版なのが、本当に惜しい。

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    2019年04月12日
  • ローティ ──連帯と自己超克の思想

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    ローティ本人の論文に挫折した私も、識者の解説で迂回してでも、ローティを理解しようと考えたため、本書を手にとった。蓋を開けてみれば、極めて分かりやすい説明で、ローティ理解は格段に進んだと言える。絶対的真理を掲げる人は怪しげだと見ていた私に、ローティの主張は恵みの雨であり、我々に関わりなく定まったものとして真理を探してそれに従うのではなく、我々を豊かにしてくれるような知見を形作り、さらにはそれも更新を続けて不断の発展を図る、というローティに心から賛同した。次はローティ本人の手に成る論文に挑戦してより良い理解を目指したい。とはいえ、アメリカと日本では思想風土は明らかに相違しているわけで、あまり熱狂的

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    2018年06月01日
  • ローティ ──連帯と自己超克の思想

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    リチャード・ローティの多面的な思想を、ローティと密接な個人的交流のあった著者が平易明快に解説。ローティの思想の前提となる哲学史的なことについても丁寧に触れられており、これを読むだけで近現代哲学の簡単なおさらいをすることもできる。
    広範な哲学的話題に言及するローティの思想をたどることは、著者の噛み砕いた説明をもってしてもなかなか難解であったが、絶対的真理は人間の考えとは別に定まっていて、人間はそれを鏡のように正確に捉えるよう努めるべきという「自然の鏡」的人間観を否定し、人間の「創造的」行為を重視するローティの基本的考え方には非常に共感した。

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    2017年06月25日
  • 科学哲学者 柏木達彦の哲学革命講義

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    教授と生徒の対話にのせて、色はどこにあるのか?という問いから始まり、わたしたちの知識の由来の問いへと広がっていく。その広がりを認識論的転回と言語論的転回という、二つの哲学史上の革命をキーにして解説。

    そもそも哲学の問題は、今自分たちがしていることや見聞きしていることをどうやって一貫性をもって説明するか、という問題が前提になっているということはおさえておきたい。

    この「変化」する物事と「一貫性」をもって語ることとのあいだにある相入れなさをどうやって解消するのかということが哲学の最大の問題。

    この問題のなかに集約された要素の中のどこに問題の原因を見て、その解決を図るのか。
    その答えが潮流によ

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    2017年06月12日
  • 科学哲学者 柏木達彦のプラトン講義

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    『科学哲学者柏木達彦の秋物語―事実・対象・言葉をめぐる四つの話、の巻』(ナカニシヤ出版)の加筆改題版です。観察の理論負荷性と相対主義の問題や指示理論、言語行為論などのトピックを扱った、小説仕立ての哲学入門になっています。

    第1話は、咲村紫苑という物理学専攻の女子学生が、柏木のもとで現代の指示理論について解説を受ける話です。フレーゲとラッセルの指示理論、サールのクラスター説、クリプキらの指示の因果説などを一通り説明した後、指示の因果説においても記述内容が機能しなければ指示ができないとするサールの立場が柏木によって紹介されています。

    第2話では、柏木の同僚でフランス文学を研究している霧島直哉が

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    2017年11月30日
  • 科学哲学者 柏木達彦の多忙な夏 科学がわかる哲学入門

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    目にする科学哲学の本は,どれも事実をあるがままのものとして捉えることはあり得ないということを説いていますが,この本はそのあたりのことを何人かの科学哲学者の主張をもとに論じています。どのように事実を捉えるかという視点(=理論,そして全体論として整合すること)こそが大事だということが再確認されます。若干,説明が親切なようで粗いところもあるように感じました。

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    2011年12月10日
  • ローティ ──連帯と自己超克の思想

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    リチャード・ローティは、20世紀後半のアメリカを代表する哲学者で、ネオプラグマティズムの主要な思想家。真理は文脈や実践に依存するため固定されたものではなく、常に変化し続けると主張した「真理の相対性」が有名。近代哲学の認識論的な伝統を批判し、哲学が絶対的な真理を追求することをやめ、より柔軟で多様な視点を受け入れるべきだと提唱した。固定観念にとらわれず、柔軟に思考することの重要性を強調したという事だ。

    これが、ネオプラグマティズムの立場であるという事なのだが、ネオプラグマティズムという思想は解釈が難しい。「価値は固定されたものではなく、常に変化し続けるもの」、そして、「価値が実際の使用や文脈に依

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    2024年12月12日
  • 詩としての哲学 ニーチェ・ハイデッガー・ローティ

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    タイトルにひかれて買ってみた。ニーチェやハイデガーは最近関心のあるところだし、ローティも面白い。

    著者の本は、以前に「哲学の最前線 ハーバードから愛をこめて」を読んだことがあって、わかりやすくて楽しかった記憶があり、この本も比較的わかりやすいかな?

    ニーチェはエマソンの影響を受けているというのは、初耳。エマソンは、これまでまったく興味感心が向いていなかったのでけど、ちょっと読む価値ありと思った。

    さて、ニーチェ、ハイデガー、ローティとつながり、なんか知的に理解しようというより、創造性のほうが大切なのだというのは、かなりなるほどの課題設定だと思う。

    で、その辺をもうちょっと深めたいと思う

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    2021年07月15日
  • ローティ ──連帯と自己超克の思想

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    リチャード・ローティの哲学を、わかりやすい語り口で解説している本です。

    ローティほど幅広い分野で活躍している哲学者は少なく、その思想の全貌を捉えることは容易ではありません。本書では、哲学プロパーの話題が中心となっており、政治思想についてはあまり述べられていません。著者はこれまでにも、「科学哲学者柏木達彦」シリーズなど、現代哲学の中心問題をわかりやすく解説する本を刊行しており、本書でも比較的ローティの思想になじみのない読者にも理解できるような工夫がなされています。

    前半は、20世紀の言語哲学における最大の事件というべき言語論的展開と、それについてのローティの見方、さらに『哲学と自然の鏡』にお

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    2017年11月29日
  • 観念論の教室

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    ジョージ・バークリの観念論を、「明るい観念論」と評価し、その内容をわかりやすく解説。
    わかりやすく解説されてはいるのだが、自分にはバークリの観念論が十分には理解できなかった。人間は観念としてしか世界を理解できないというのはよくわかるのだが、だからといって観念しか存在しないということにはならないのではないか。ちょっと言葉遊びのような議論になっている気がした。バークリの記号的世界観という考え方は興味深かった。

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    2017年04月01日