戸堂康之のレビュー一覧
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東日本大震災後の日本を立て直すにはどうすればよいのかについて、経済学を中心とした学術的な理論や実証研究の結果に基づいて、2つの提言を行っている。1つ目は、TPPをはじめとするEPAの締結や、起業に対する情報支援によって、日本人、日本経済をさらにグローバル化して、外国との貿易、投資、知的交流を活発化させることである。2つ目は、東北をはじめとして日本の各地に特区をつくることで、高度な技術を核とする産業集積を創出することである。2つの提言とも、「つながり(3人寄れば文殊の知恵効果)」が経済成長のために重要であるという考え方がベースとなっている。
図表も交えながら、わかりやすく、論理的に議論が展開され -
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東日本大震災以降の、日本のあるべき姿をグローバル化と産業集積というキーワードをもとに教えてくれる本です。
現在、復興に向けて様々な支援、活動が行なわれているものの、原発問題やがれきの処理など、まだまだ解決できていない問題が山積しています。大震災は短期的に見れば日本にとって大きなダメージです。しかし、統計的には自然災害が多い国が必ずしも経済成長が低いわけではなく、過去の歴史をなぞれば、第2次世界大戦後の焼け野原から日本は成長を成し遂げた例を挙げて、今後の復興・成長への期待感を教えてくれます。
著書では、グローバル化と産業集積が、今後の日本の将来を決めるキーワードになると主張しています。グ -
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東日本大震災によって甚大な被害を受けた日本であるが、筆者は「復興」だけではダメであり、復興を越えた「飛躍的成長」が必要であるとする。
なぜなら震災前の日本経済は停滞しており、復興しても長期的には凋落していくだけだからである。
そこで震災後の今こそ、日本経済の飛躍的成長のために手を打つべきであると述べている。
その方法として、①TPPへの参入により企業のグローバル化を図ること、②東北など地方に特区を設け、産業集積による発展を図ること、の二つを主張している。
日本には力を持った臥龍企業が多くあり、TPPによって海外とつながり、特区により企業同士や大学などとのネットワークを拡充して、産業集積に -
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戸堂康之著「日本経済の底力」中公新書(2011)
本書の特徴としては、経済学を中心とした学術的な実証研究の結果をもとにしていることだ。それによって、東北の地震による復興、そしてその復興を超えた成長のために乗り越えなければならない2つのことで議論を展開していることだ。1つがTPP(環太平洋戦略的連携協定)の締結により、日本経済をさらにグローバル化して、外国との貿易、投資、知的交流を活性化させること。つまり筆者はTPPについては、積極的な論者となっている。もう1つが東方をはじめとして日本の各地に特区をつくることで高度な技術を核とする産業集積を創出することである。産業集積が経済成長を促進する上でどの -
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大学教授である著者が数々の研究結果から多様な国と交流するグローバル化について有効性や問題点などを書いた一冊。
コロナによって拍車がかかる反グローバルや米中分断の流れに対して各種データを用いて多様性がいかに人や企業を成長させるのかや人間が本能的に内集団を贔屓してしまうことなどを学ぶことができました。
また、所得格差や災害時などグローバル化によって様々な場面でどのような影響が出るかということも本書で知ることができました。
そして、多様な人が集まることで文明など発展を遂げることは歴史的にも証明されていることや政府が政策やルールを決めること強い絆とよそ者とのつながりが大事であることなどグローバル化に